セーラ・マリ・カミングスはアメリカ出身の女性。
日本にふらっとやってきてたどり着いたのは、長野駅から電車で北に30分ほどのところにある小布施町だった。
17代続いた老舗「枡一市村酒造場」で働き始めたことが、彼女の人生を大きく変えることになる。
小布施町は、浮世絵師・北斎ゆかりの地で、晩年逗留した北斎が数々の名作を残した場所だった。
そこで彼女は、「町おこしのシンボルにしよう」と、例年ヴェニスで開催されていた国際北斎会議を小布施に招致しようと思い立つ。
「そんなことができるのか?」
提案を受けて戸惑う町の人を尻目に、彼女は悩む前に行動を起こす。
国際会議が行われたヴェニスに飛び、ニューヨーク大学やロンドン大学で教鞭をとる北斎研究の第一人者を説得して回る。
そして、東京ですら難しいと言われた国際会議を信州の片田舎で開催することに成功する。
長野冬季オリンピックのときには、アン王女と英国選手団の民間特命大使を努め、選手団のお土産として五輪カラーの蛇の目傘150本を3カ月以内につくろうと決意する。
30軒の傘メーカーに断られながらも粘り腰で交渉を続け、ついに京都の内藤商店を口説き落とす。
英国選手団は大喜びだったという。
「町の人はコミュニケーションを求めている。」
そう考えた彼女は、毎月1回ぞろ目の日に開催する町民イベント「小布施ッション」を立ち上げ、著名人を講師に呼ぶなど、知的で遊び心に満ちた内容で多くの来訪者を呼び寄せている。
これらの事業は、もちろん彼女一人の力で成し遂げられたわけではない。
周りの人々の協力を得ることができたからこそ実現にこぎつけたのだ。
では、なぜ周りの人は彼女を応援したのか。
筆者はそれが知りたくて小布施町まで出かける。
---
会ってすぐに筆者は心をつかまれた。
人から好かれる人間性をもつ魅力的な女性で、彼女がいるだけでその場の雰囲気が和やかになったという。
その生来の明るさが多くの人を魅了したのは間違いがないが、しかし、それだけで人を巻き込むことができたわけではない。
むしろ、それは本質ではなく、それ以上に、彼女の生きる姿勢に心を打つものがあったから。
小布施について語るときの真剣な眼差し、言葉に込められた深い説得力。
筆者は彼女と話しながら、いかに彼女が小布施を愛しているのかを実感した。
彼女が小布施に貢献したいと本気で考えていることが、ひしひしと伝わってきたという。
だからこそ、彼女は、どんな困難が立ちふさがっても、あきらめることなく進んでこれた。
彼女自身、「私に何か能力があるとすれば、それは粘り強さ」と話したという。
彼女のパッションあふれる姿に周りの人たちは感動し、力になりたいと思ったのだ。
そして、このような人こそ「真のリーダー」なのだ。
その人の存在そのものが周りの人を元気にする。
その人がいるだけで、周りの人にも自然とやる気が湧いてくる。
この人とまた一緒に仕事がしたいと思える。
そんな人こそリーダーなのだ。
政治家や上司が必ずしもリーダーというわけではない。
上司も部下もベテランも新人もない。
どんなところにもリーダーはいるし、誰もがリーダーになることができる。
君は、職場でリーダーシップを発揮できているか?
「いい仕事がしたい、いい職場にしたい」と本気で思っているか?
そのために、あきらめずに努力しているか?
周りの人たちのやる気をかきたてる存在になれているか?
上司の悪口を言いたくなったら、少しだけ自問してほしい。
自分はリーダーたりえているか、と。
元東レ取締役で経団連理事なども勤めた筆者。
長男は障害を抱え、妻は肝臓病とうつ病を併発し、自殺未遂をするまでに至ったという。
家族を支えながらもビジネスマンとして成功を収め、「ワーク・ライフ・バランス」のシンボル的存在である。
たくさんのへえーがあった
良書。
日本にふらっとやってきてたどり着いたのは、長野駅から電車で北に30分ほどのところにある小布施町だった。
17代続いた老舗「枡一市村酒造場」で働き始めたことが、彼女の人生を大きく変えることになる。
小布施町は、浮世絵師・北斎ゆかりの地で、晩年逗留した北斎が数々の名作を残した場所だった。
そこで彼女は、「町おこしのシンボルにしよう」と、例年ヴェニスで開催されていた国際北斎会議を小布施に招致しようと思い立つ。
「そんなことができるのか?」
提案を受けて戸惑う町の人を尻目に、彼女は悩む前に行動を起こす。
国際会議が行われたヴェニスに飛び、ニューヨーク大学やロンドン大学で教鞭をとる北斎研究の第一人者を説得して回る。
そして、東京ですら難しいと言われた国際会議を信州の片田舎で開催することに成功する。
長野冬季オリンピックのときには、アン王女と英国選手団の民間特命大使を努め、選手団のお土産として五輪カラーの蛇の目傘150本を3カ月以内につくろうと決意する。
30軒の傘メーカーに断られながらも粘り腰で交渉を続け、ついに京都の内藤商店を口説き落とす。
英国選手団は大喜びだったという。
「町の人はコミュニケーションを求めている。」
そう考えた彼女は、毎月1回ぞろ目の日に開催する町民イベント「小布施ッション」を立ち上げ、著名人を講師に呼ぶなど、知的で遊び心に満ちた内容で多くの来訪者を呼び寄せている。
これらの事業は、もちろん彼女一人の力で成し遂げられたわけではない。
周りの人々の協力を得ることができたからこそ実現にこぎつけたのだ。
では、なぜ周りの人は彼女を応援したのか。
筆者はそれが知りたくて小布施町まで出かける。
---
会ってすぐに筆者は心をつかまれた。
人から好かれる人間性をもつ魅力的な女性で、彼女がいるだけでその場の雰囲気が和やかになったという。
その生来の明るさが多くの人を魅了したのは間違いがないが、しかし、それだけで人を巻き込むことができたわけではない。
むしろ、それは本質ではなく、それ以上に、彼女の生きる姿勢に心を打つものがあったから。
小布施について語るときの真剣な眼差し、言葉に込められた深い説得力。
筆者は彼女と話しながら、いかに彼女が小布施を愛しているのかを実感した。
彼女が小布施に貢献したいと本気で考えていることが、ひしひしと伝わってきたという。
だからこそ、彼女は、どんな困難が立ちふさがっても、あきらめることなく進んでこれた。
彼女自身、「私に何か能力があるとすれば、それは粘り強さ」と話したという。
彼女のパッションあふれる姿に周りの人たちは感動し、力になりたいと思ったのだ。
そして、このような人こそ「真のリーダー」なのだ。
その人の存在そのものが周りの人を元気にする。
その人がいるだけで、周りの人にも自然とやる気が湧いてくる。
この人とまた一緒に仕事がしたいと思える。
そんな人こそリーダーなのだ。
政治家や上司が必ずしもリーダーというわけではない。
上司も部下もベテランも新人もない。
どんなところにもリーダーはいるし、誰もがリーダーになることができる。
君は、職場でリーダーシップを発揮できているか?
「いい仕事がしたい、いい職場にしたい」と本気で思っているか?
そのために、あきらめずに努力しているか?
周りの人たちのやる気をかきたてる存在になれているか?
上司の悪口を言いたくなったら、少しだけ自問してほしい。
自分はリーダーたりえているか、と。
元東レ取締役で経団連理事なども勤めた筆者。
長男は障害を抱え、妻は肝臓病とうつ病を併発し、自殺未遂をするまでに至ったという。
家族を支えながらもビジネスマンとして成功を収め、「ワーク・ライフ・バランス」のシンボル的存在である。
たくさんのへえーがあった
良書。