トランスジェンダーの権利保障に向けて大きな一歩が刻まれた。
以下、自分用まとめ。
- 法律上の性別を変更するためには生殖不能にする手術が必要とする「性同一性障害特例法」の規定が憲法に違反するか問われた家事事件で、最高裁大法廷は2023/10/25憲法13条に違反し無効とする決定を出した。
- 特例法は性別変更に五つの要件を定めているが、そのうち卵巣や精巣を摘出する「生殖不能要件」と変更後の性別の性器に近似する外観を備える「外観要件」は、事実上手術を求めるもの。
- 性自認に従って法律上の取り扱いを受けることは「重要な法的利益」とし、生殖不能要件は「身体への侵襲を受けない自由を制約するもの」と認定。
- 社会の理解や医学的知見の進展により生殖不能要件の必要性は低減したと指摘。同要件は手術を受けるか、性別変更しないか、の二者択一を迫るもので合理性を欠くとして憲法13条(個人の尊重)違反とした。裁判官15人全員一致の結論。
- 「外観要件」は審議が尽くされていないと高裁へ差し戻しとなったが、3人の裁判官は「外観要件も違憲で性別変更を認めるべき」と反対意見をつけた。
- 国際的には2014年に世界保健機構(WHO)などが「性的少数者への不妊手術の強制は人権侵害」と共同声明を出し、EU諸国では急速に手術要件の撤廃が進んでいる。
- 2017年に欧州人権裁判所が手術要件を「身体への侵襲を受けない権利」を侵害すると判断。国際社会では、あるがままの身体を尊重される権利が重要な人権とみなされつつある。
- 生物学的にも男女間にはグラデーションがあることは明らかになっている。「性同一性障害特例法」はトランスジェンダーの人を障害とみなし、性別二元論に基づく既存の社会に無理やり組み入れるためのものとなっている。
- 非婚・子なし要件も「異性婚とその子ども」という特定の家族観を前提にするもの。「父である男性、母である女性」の子どもでないと子どもの成育に良くないという価値観がある。社会や法律が当事者たちの葛藤や差別を作り出している面がある。
- 欧州では性自認尊重に即した法改正が進んでいる。申告だけで法的性別変更を認める国があるなどあり方は多様。
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身体の自己決定や性のあり方は、憲法が保障すべき人権であり、人の根幹に関わる尊厳なのだ。
自分も古い家族観を捨て、固定概念に囚われず、今の社会に合致した思考を柔軟に取り入れる頭を持たなければいけない。
憲法問題についての重要な判断は小法廷ではなく大法廷で行われる。
天井にある大きな吹き抜けや、壁に飾られたタペストリーが特徴で日本で一番大きな法廷だ。
ここでは人は皆、厳かで厳粛な気持ちになるのだろう。
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