佐藤九段対糸谷八段のA級最終戦。
B1への陥落が決まっていた両者の対局。
勝っても敗けても来季の順位には影響しないのだが、今季ここまで0勝8敗と振るわない佐藤康光九段にとっては、負ければ屈辱の全敗となる。
全敗となれば、これまで積み上げてきた輝かしい期歴が汚れてしまう。
だって全敗は素人が指したってできるのだから。
局後「順位は関係ない対局だったが、自分の棋歴には残るので、恥ずかしくない将棋を指そうと思った」
そう語ったように、この対局にかける思いは並々ならぬものがあっただろう。
20〜30歳代の若い頭脳に混じり、ただ一人53歳でA級に在籍。(羽生九段は先に陥落した)
2017年からは日本将棋連盟会長として棋士をまとめ、多忙な公務をこなしながらの現役生活。
卓越した人望と実績がなければ務まらない要職。その要職に就きながらA級に在籍していることが、本来奇跡なのだ。
今季限りで通算26期在籍したA級からは陥落となるが、誰もそれを責めることはないし、皆んながお疲れ様でしたという気持ちだろう。そして、年齢的には非常に厳しいだろうが、来季の捲土重来を期待したい。
最終局に見せた意地の1勝は、将棋ファンとして何より嬉しかった。
同じ歳なことが余計にそう思わせるのかもしれない。
佐藤康光九段が糸谷八段降す 1勝8敗で終了 名人戦A級順位戦
出典:毎日新聞
静岡市葵区の浮月楼で2日に指された第81期名人戦A級順位戦(毎日新聞社、朝日新聞社主催)最終9回戦一斉対局で、佐藤康光九段(53)は糸谷哲郎八段(34)を108手で降し、今期初白星を挙げて1勝8敗で全日程を終えた。
糸谷八段も1勝8敗。
両者は来期、B級1組への降級が決まっている。
A級での順位が糸谷八段の方が上のため、来期B級1組の順位は糸谷八段が1位、佐藤九段が2位となる。
佐藤九段は終局後、「順位は関係ない対局だったが、自分の棋歴には残るので、恥ずかしくない将棋を指そうと思った」と話し、糸谷八段は「A級に復帰できるよう、将棋を直して頑張りたい」と再起を誓っていた。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます