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男の隠れ家から古い箱類を物色したらまた新たにいくつかの作品を発見しました。家人の蒐集した作品は奥が深く、侮れない作品があります。
これらの作品はいい出来と判断し、調べてみることを目的に写真撮影してきました。
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まずは吸い物椀から・・・。調査の結果では、下記の蒔絵師の作品であろうと推定しました。
輪島蒔絵松唐草文蓋付吸物椀 竹園自耕作
10客揃(50客の内)
杉共箱入
サイズ:最大口径121*全体高さ95
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使っていた器なのでしょうか、内部は黒から少し変色していますが、これは真塗の器にはよくみられる変色かな? 熱いものを入れた場合にみられる白っぽい変色ですが、これは磨き直しても修復できません。塗り直ししかないのですが、家人が実際に使っていた作品ということでしょう。
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箱書からは50客あったようですが、そのうちの10客だけ買い入れたのか、譲られたのかは不明です。現在はこの収納箱分しかありません。
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箱書はよく読めませんね。「蒔絵松唐草 ▢塗小丸?形吸物椀 五拾人揃」と書かれているようです。
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収納箱の脇にも同様の題名が記されています。どこかの旧家?の所蔵であったようですね。
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箱裏には作られた方の名前があるようですが、よく読めませんが、
「箱裏には「輪島 塗師庄右エ門 花押 蒔絵自耕 押印」とあり、塗師と蒔絵師の合作の作品のようです。
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塗師は不明ですが。蒔絵はどうも下記の蒔絵師の作らしいです。
竹園自耕
明治25輪島市に生まれる
蒔絵を鈴木繁太郎に師事
昭和4年第10回帝展初入選
昭和7年特選受賞
昭和27年北斗賞受賞
戦時中は輪島軍刀会社の経営に専念し、漆芸関係技術者の離散防止を図るなど、輪島漆器業界に果たした役割は大きい。彩漆を効果的に使用した作品を制作する。
昭和42年死去
昭和7年特選受賞
昭和27年北斗賞受賞
戦時中は輪島軍刀会社の経営に専念し、漆芸関係技術者の離散防止を図るなど、輪島漆器業界に果たした役割は大きい。彩漆を効果的に使用した作品を制作する。
昭和42年死去
近年では下記の展示会が開催されています。
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竹園自耕(たけその じこう 1892〜1967)は類まれなる意匠構成と精細な蒔絵技術をもって輪島で初めて帝展入選を果たし、その後の当地の漆工芸の発展に大いに貢献した人物とされます。高度な技術で同業間の盟主となり、モダンな図案構成と鮮やかな彩漆を用いて評判を呼んだ漆芸工芸師です
戦時中は輪島軍刀会社の経営に専念し、漆芸関係技術者の離散防止を図るなど、輪島漆器業界に果たした役割は大きい。彩漆を効果的に使用した作品を制作する
帝展・新文展において入選を重ねましたが、戦時中は業界保持に専念し、戦後は徐々に一品制作よりもむしろ椀の加飾などの実用品制作に立ち戻り、地元の産業を支えました。今日の輪島塗作家の先駆者として活躍したと言っても過言では有りません。
「侮るなかれ、我が家人らが蒐集したり、実際に使っていた器」といった思いです。
同じような文様の作品が共箱ではないのですが、杉箱に収められていますが、竹園自耕の描いた作品かどうかはわかりません。
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輪島蒔絵唐草文茶托・菓子皿 伝竹園自耕作
各20客揃
杉箱入
茶托:サイズ:最大口径129*全体高さ24
菓子皿:サイズ:最大口径137*全体高さ20
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帰省中に男の隠れ家で多くの器で遊びましたので、作品を磨いている時間的な余裕はなく、ちょっと埃や汚れが付いたままで作品を撮影しています。
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茶托と菓子皿のセットです。
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おそらくこれらの作品も50客揃いであったものでしょう。
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当時も20人揃いや10人揃いで分割されて割譲されてきたのでしょう。
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このような器を膳からすべて揃えた30人前後の人数の宴席を段取りしようかと・・。
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昔は料理も含めて、すべて家で賄っていた記憶があります。
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遊べや、遊べ・・・、男の隠れ家で・・・・。暑い中で汗をかきながらも、夢中になって楽しい時間が過ごせました。