夜噺骨董談義

収集品、自分で作ったもの、見せていただいた品々などを題材に感想談など

野 松尾敏男筆

2020-06-30 00:01:00 | 日本画
週末の土曜日には雨が降らないとの予報でしたので、ジャガイモの収穫を家族全員で行いました。



以外に体力を使いましたが、数で勝負で短時間で完了・・・。



さて本日は松尾敏男の作品の2作品目の紹介です。



野 松尾敏男筆
紙本着色 誂黄袋+タトウ
額サイズ:横705*縦580 画サイズ:横515*縦395(P10号)



野に生きる二頭の鹿。その動きや野の様子は着色と勢いのある墨の線で巧みに描られている。輝く他の稲の金彩が、幻想的な雰囲気を一層引き立てる。晩年の作と推定されるが、日本画の重要なテーマである「墨」の表現に挑んだ一作であろう。



本ブログでは「花菖蒲」の色紙の作品を以前に紹介していますが、松尾敏男は花鳥画を得意とし、花鳥や人物、風景、動物など幅広いテーマに取り組んだ日本画家・松尾敏男の佳作といえると評価しています。



松尾敏男はとくに牡丹の名手として知られ、インターネットで検索するとともかく牡丹の作品ばかりが出てきます。しかし晩年に取り組んだ墨の世界は彼がたどり着いた日本画の原点である、極致だったと思われます。



多くの日本画家は墨絵の世界に最後は辿り着くようですが、これは日本画の大きな特徴と言えるのでしょう。画題や作風がどうあれ、日本画家の宿命のようなものかもしれませんね。



野で生きる動物の力強さと優しい動物の鹿でありながら、一種の野生の不気味さが感じらます。とはいえこの絵から感じるのは生き物というものはつがいで生き、そして最後は一人ということか・・・。



なにはともあれ文化勲章受章の画家の晩年の筆力には驚きです。

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松尾 敏男(まつお としお):1926年3月9日~2016年8月4日。日本画家、日本芸術院会員、日本美術院理事長。長崎県長崎市生まれ。堅山南風に師事。東京府立第六中学校(現・東京都立新宿高等学校)卒業。在学中は体操選手であった。



1949年に『埴輪』が院展初入選。以後院展に出品を続け、1962年初の院展奨励賞、1966年院展日本美術院賞、1971年芸術選奨新人賞、1975年院展文部大臣賞、1979年日本芸術院賞。1988年多摩美術大学教授に就任。



1994年、日本芸術院会員。1998年、勲三等瑞宝章。2000年、文化功労者。2012年、文化勲章受章。

2016年8月4日、肺炎のために死去。90歳没。歿後に従三位追叙。

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裏面には共シールがあります。



もしかしたら当方の最終的な蒐集作品かもしれません。ところでひとりを生きるというということを感じた絵は下記の作品です。

正面之虎 大橋翠石筆
絹本着色軸装収納箱二重箱 所蔵箱書 軸先本象牙 
全体サイズ:横552*縦2070 画サイズ:横410*縦1205



展示室の展示状況は下記のとおりです。



書き込みの多い作品ではありませんが、松尾敏男の作品としては珍しい画題の作品です。





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