掛け軸の表具が痛んだら単に改装するのは考えものです。どのような表具材にするのかを検討しますが、まずは時代背景のある表具の材料はそのまま使えないかと考慮したほうがいいでしょう。
下記の作品は当時のままの表具材で改装した例です。
梅月想思図(羅浮仙) 平福穂庵筆 明治21年(1888年)
紙本水墨着色軸装 軸先象牙 鳥谷幡山鑑定箱(昭和12年)
全体サイズ:横663*縦2170 画サイズ:横517*縦1285
*分類第4期:さらなる飛躍の時(明治18年~23年)
100年以上経過している表具はどうしても浮きや巻きシワなどの障害が出てきますので、状態を考慮して改装がある一定期間を過ぎると考慮しなくてはいけなくなります。
表具の痛みがひどくなる前に締め直し(表具材をそのままで改装する)すると当時のままの表具にて改装できます。
現在では調達できない裂でもそのままの状態に復元できます。
腕の良い表具師、良心的なお値段の表具師との出会いが必要ですね。
この作品は「締め直し(すべて既存の表具材を使用)+紙タトウ」という誂えを施しました。改装費用は¥41,000でした。
改装された作品を自宅で、自分だけが愉しめるというのは蒐集家だけの特権ですね。
さて本日の作品紹介です。
本ブログの他の記事の「色紙作品 鉄線 その1 福田豊四郎筆」にて記述しましたが、当方には父が亡くなった際に描いてもらった母が所蔵する「鉄線」の色紙作品と、本家にて叔母が大切にしていた同じく「鉄線」の色紙作品のふたつの福田豊四郎が晩年に描いた作品がありました。
今では懐かしい「鉄線」の色紙の作品ですが、本日は「その2」となる作品ですが、今また当方に福田豊四郎が描いた「鉄線」の作品、2作品が揃いました。
色紙作品 鉄線 その2 福田豊四郎筆 その176
紙本着色色紙額装 作品サイズ:縦270*横240
母が所蔵していた作品は当方の結婚披露宴の司会の方にさしあげ、父の実家にあった叔母の作品は御子息が頂いていかれたようです。両作品とも懐かしい作品ですが、しばらく福田豊四郎の描いた「鉄線」の作品については入手の機会がありませんでした。
地元の骨董店でも見かけたことがなかったのですが、たまたまインターネットオークションにて福田豊四郎の「鉄線」を描いた色紙の作品と入手できました。前述の当方に古くからあったふたつの作品とは限りませんが、どちらかはそのうちのひとつのような気がします。
インターネットオークションでは「桔梗」と題されていましたが、桔梗とは花びらの数が違いますので、この作品は「鉄線」を描いたものでしょう。
福田豊四郎の晩年に描いた色紙の作品は手抜きがなく、私の好きな作品群のひとつです。
落款と印章から晩年の作品に相違ないでしょう。母は晩年の福田豊四郎氏に依頼して、多くの色紙の作品を描いたもらいました。福田豊四郎の晩年は病気がちで母と姉が見舞いに行ったこともあったようで、その際には祖母にと作品を預かってきたこともあったそうです。
父が亡くなった際に、母は父がお世話になった方々に福田豊四郎の色紙の作品を差し上げたそうです。
今は望郷を含めて当方の蒐集対象となっています。
当方には思い出深い福田豊四郎の描いた「鉄線」・・・。
隠居していた頃の叔母の部屋の床の間に、当方の実家の玄関に、それぞれ飾られていた記憶があります。
ひとつは全布タトウを誂え、今一つは福田豊四郎の色紙箱に収納しています。
同じような額に納まっていた作品ですが、額は額で保管しておきます。古い色紙額にはいいものが多い・・・。
古き良き色紙用の額もとっておくとそれなりに数(種類)が多くなるため、これ以上は増やさないように取捨選択しています。