普段使いとなる作品の探しているとときおりハッとするようないい作品に出合うことがあります。今回はそのような出会いの作品です。
色絵古九谷 雲龍図花文陽刻楕円長皿対
合二段箱
幅195*奥行122*底径75*高さ30 幅187*奥行124*底径73*高さ33
絵柄は柿右衛門風、中国からの赤絵の影響である口縁などからは古九谷風、そして陽刻からは古伊万里風の作品です。
絵の出来などからは非常に趣の良い作品となっています。
後世の模倣ではこの白が青みがかっているようです。むろん近代の窯ではこの白は出せます。
高台は砂付高台のようです。
古九谷色絵、古九谷様式、伊万里の初期赤絵や古伊万里などの区分けに参考となる作品は意外に少ない。古九谷様式や柿右衛門様式と大きく仕切る傾向があり、そのほうが価値が上がる傾向にあるのが影響しているのかもしれませんね。
下記の年譜のように中国からの南京赤絵、天啓赤絵、五彩手を含めて日本国内で製作された陶磁器が互いに影響しながら変遷しているので、素人の我々が混乱するのも無理はないと思います。
本作品の区分に参考となる作品には下記写真の作品がありました。
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参考作品
なんでも鑑定団出品作 2019年11月19日放送
評価金額:50万円
評:古九谷に間違いない。元は10枚の揃いものだったのが独立したもの。端皿は古九谷の中では特に人気がある。陽刻で白磁に文様を描いて、見込みに八重の紅梅がぽんと描いてある。鉄絵で縁取りがしてあり、メリハリが利いている。高台は切れ込みが鋭い。中側が広がっていて指で持ち上げることができる。
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「中側が広がっていて指で持ち上げることができる。」というのも特徴のひとつなのだろうか?
柿右衛門風の絵柄ながら、陽刻文も美しいですね。
実にセンスの良い作品です。古九谷色絵や初期柿右衛門は素人では区別がつきずらいほどの中国で製作されている贋作が横行していますが、さすがにここまでは模倣できないのでしょう。
あまりお勧めできませんが、上記写真のように持ち上げると「高台は切れ込みが鋭い。中側が広がっていて指で持ち上げることができる。」(なんでも鑑定団の評)ということが実証できます。落として破損の恐れがありますので、あくまでも自分の所有物となって責任がとれる状況においてのみ許される確認行為です。ちなみに当方の知見では中国産の贋作などはこの高台の作りまではできていないようです。