夜噺骨董談義

収集品、自分で作ったもの、見せていただいた品々などを題材に感想談など

氏素性のわからぬ作品 倣古九谷色絵(五彩手)鳥文大皿

2022-09-24 00:01:00 | 陶磁器
古九谷の大皿と言えば陶磁器ファンには垂涎の的、ゆえに模倣作品が多く、それが「古九谷」と称して市場に出回るから陶磁器ファンには手に負えなくなる・・。


青手には吉田屋窯などの再興九谷があって悪意はないのですが、明治以降から現代まで模倣作品が多々あり、色絵(五彩)も同様のようです。


本日は「倣古九谷色絵(五彩手)鳥文大皿」という作品を紹介しますが、この程度の作品が「古九谷」と称しているから始末に悪い・・・・???

氏素性のわからぬ作品 倣古九谷色絵(五彩手)鳥文大皿
箱無
口径375*高台径*高さ66


そもそも古九谷の色絵(五彩)とは下記のような作品群のことです。

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古九谷色絵(五彩):緑・黄・紫・紺青・赤の色絵の具を自在に活用して、絵付けされたスタイルです。5色の色絵の具をフル活用することから、「五彩手」とも呼ばれます。

器の中央に、作品のモチーフを絵画的・写実的に描くことも、色絵の特徴です。作品の見どころは、屏風や掛軸から器へ抜け出してきたかのような絵画を描いた、熟練された絵付けの筆づかいです。特に色絵の古九谷は、中国の明王朝末期から清王朝初期にかけての色絵磁器がモデルになっているとも言われ、大皿 (大平鉢) から小皿 (端皿) に至るまで、中国風の人物・動物・山水 (風景) を見事に描写した名品が数多く残されています。

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雰囲気は出ていますが、本作品ですぐわかるのは絵が下手・・・。

地紋に使われている七宝繋ぎ文様を見ると列が乱れていますが、本物ではこのようなことはないようです。初期の色絵と称してこのような作品も出回っているので、陶磁器ファンは余計に混同してしまいます。


白磁の全体に胡麻がふられている感じがしますが、これはわざと土の中に不純物を入れて多く胡麻を出している可能性があるとか。

紋様はいわゆる慶長小袖の染織意匠でのようですが、本物はもっと丁寧のように思います。


古九谷の陶画工というのは日本画の素養をしっかり持っているようなので、一目で鳥の種類がわかるように描くそうです。本作品はムクドリ?? 愛嬌はあって面白いことは面白い・・。


裏の文様は上手・・・???


このような作品は「倣古九谷」として量産されたのかもしれませんね。


古九谷は基本的に素焼きをしないで乾燥しただけの生素地に釉薬を掛けていますが、本作品は手跡のところを見ると1回素焼きをして釉薬を掛けた感じがあります。

近代の工房で作った可能性もありますが、高台にはその兆候がありません。

そもそも手の跡が解るようなことは初期伊万里ではありますが、古九谷ではあるのでしょうか?


裏の高台内には約束通り角福の文様を入れてありますが、上手にまとめてあって荒々しい野趣に欠けている?


なお「岩の上に(2羽の)鳥」という図柄は古九谷では定番ですね。ともかく氏素性の解らぬ作品です・・。




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