夜噺骨董談義

収集品、自分で作ったもの、見せていただいた品々などを題材に感想談など

鍋島焼 その6 染付桃果文尺皿

2024-11-19 00:01:00 | 陶磁器
先週末から昨日まで庭の剪定作業に植木屋さんが来て手入れしており、その際に剪定されて落ちていた松の枝を家内が活けて応接室に飾っています。



花入れに使っているのは脱衣所の洗面台にあった歯ブラシ立てに使用していた染付の器・・・。松の枝だけでは寂しかったようで畑から採ってきた菊も活けていました。ついでに畑から採ってきた草花を赤絵の花入れを使って玄関の欅の飾り台に活けていました。



さて本日紹介する作品は久々に鍋島焼の作品です。私のような素人で、資金の少ない蒐集には絶対入手不可能な陶磁群には、古九谷の大皿、そして盛期の尺皿の鍋島焼があります。それでもチャレンジするのが蒐集する者の性・・・。



鍋島焼 その6 染付桃果文尺皿 
合古箱
口径305*高台径*高さ93



江戸期の鍋島焼の主力は皿類です。鍋島の皿は木盃形(もくはいがた)と称される独特の形状のもので、側面から見ると高台(こうだい)が高く、高台から縁へ張りのあるカーブを描く。皿は円形のものが主で、直径が1尺、7寸、5寸、3寸に規格化されています。特に直径1尺(約30cm)の大皿は現存品が少なく「尺皿」と称されて珍重されています。その中でも色絵尺皿は特に貴重とされています。



鍋島焼の文様は松葉、青海波などの細かい線まで正確に描かれ、染付の濃み(だみ)は1点の滲みやムラも残らないように完璧に塗られています。5客、10客などのセットの食器では、各器に完璧に同じ文様が繰り返されています。



基本的に鍋島焼は藩の統制の上で献上用に作られたもので、献上用の製品の余りものや、不出来の製品は、藩庁の年寄や進物役と相談の上、割り捨てるよううに管理されていました。そのため少しでも不良がある作品は出回っていないとされています。

藩としては藩窯の製品の質を常に高く保ち、不良品を世に出さないことを方針とし、さらには技術の漏洩を防ぐため、藩内の他窯の職人といえどもみだりに藩窯に出入りすることを禁じていたとされます。

よって出来の悪い作品らはまず後世のものか模倣品と判断され、通常は市場には出回らないものとされています。



鍋島焼の皿の裏文様は、染付一色で唐花文、七宝つなぎ文などを規則正しく三方に配するものが典型的です。鍋島皿の特徴は、表の図案の天地と裏の文様の天地が連動している点ですね。

皿の裏面は3つの文様がほぼ等間隔に配置され、それらが形作る三角形の角の1つが皿表の画面の上側に一致するように配置されています。



高台の側面には輪郭釧のある丁寧に描かれた櫛歯文を表すものが多く、高台内には銘、界線などを入れず、目跡なども残さず、白一色に仕上げるのが通例です。

*収納されていた箱は下記のものですが、入っていた古い布も含めて誂え物は真贋の判定には考慮しないほうがいいでしょう。



*この手の贋作には「中国伊万里」と称されている贋作群があります。鍋島焼に限らず、柿右衛門手、色絵古九谷などはかなりの数において、この「中国伊万里」と称する者が多く、日本の骨董商の方が製作費を安くするために製作を依頼しているそうです。出来が良いもの?も多くあり、骨董商でも見分けがつかないとか・・。

**鍋島焼は高台に指1本だけにて掛けて持っても落ちないのが真作・・??? という判別方法もあるとか。これは高台の削り込みが内側に鋭く削られていることの確認のようですが、素人は絶対にしてはならず、やるにしても自分の所有のものでした行わず、落としても割れないようにする注意が肝要です。本作品はこの点では大丈夫そうです。色絵古九谷にもこの検証は通用するようですが、本当かどうかは当方では不詳です。色絵古九谷に高台がへたったようなものはまずだめ・・・。



本作品に似た構図の作品には下記の作品があります。

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参考作品:鍋島同手                        
福岡市美術館蔵
鍋島染付桃果文大皿
作品サイズ:口径312*高台径158*高さ84 



評:肥前鍋島藩の御用窯として活動した大河内藩窯最盛期の作品。器形はいわゆる木杯型の典型的な形で、見込み全面に、花と果実を持つ桃の花枝で格子状の意匠を表わし、背面には牡丹唐草文を巡らしている。高台脇は七宝繋ぎ。桃の実と花および枝は薄濃みとし、葉は濃度の高い濃みで表わしている。一筆一筆をおろそかにしない厳格な描線、整然とした文様配置など、いかにも鍋島焼らしい気品にみちた作品である。

福岡市美術館:古美術から現代美術まで幅広いジャンルの作品を収蔵する。九州ゆかりの画家をはじめ、ミロ、ダリなど20世紀を代表する作品を常設展示している。

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参考作品はさすがですが、本作品は飾っておくだけなら何の弊害の無いものですね。



基本的に鍋島焼の尺皿には同模様のものが少なく、1点生産だったと思われます。本作品についてはほぼ参考作品と似ていますが、構図は違い、高台脇は七宝繋ぎではなく櫛歯文様となっています。はてさてむろん真贋は不明です。























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