夜噺骨董談義

収集品、自分で作ったもの、見せていただいた品々などを題材に感想談など

観桜二美人図 松村梅叟筆

2019-03-26 00:01:00 | 掛け軸
本ブログの訪問者数がいつのまにか100万を超えましたが、ここまでおおよそ10年かかりましたが、おかげさまで作品の整理が終着駅の手前まで来ました。

さて本日は初登場の画家の作品です。あまり名の知られていない画家ですが、出来の良い作品でしたので金額的には多少無理をして購入した作品です。



観桜二美人図 松村梅叟筆
絹本着色軸装 軸先骨 誂太巻二重箱
全体サイズ:縦2185*横510 画サイズ:縦1290*横360



「生活風俗に取材した美人画」を描いた画家ですが、50歳で亡くなっており、年齢的には惜しまれる画家です。

 

松村梅叟の略歴は下記のとおりです。

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松村梅叟:明治〜昭和期の日本画家 。生年明治18(1885)年8月~没年昭和9(1934)年3月2日、享年51才。出生地京都。本名松村 仁一郎。



京都市立絵画専門学校別科〔大正2年〕卒。初め今尾景年に学び、山水・人物・花鳥を能くした。主に四条派を研究する。



明治42年の第3回文展に《京のまんなか》で初入選となり、明治43年には日英博覧会で銅賞を受賞し、京都美術協会や帝国絵画協会の会員となる。以後も文展に大正4年まで《蛇皮線》《鴬》《白粉の花》《画室の花》《祭の日》などで大正元年〜4年連続入選を重ね、褒状などを受けた。生活風俗に取材した美人画を発表した。



大正8年には日本自由画壇に参加して、壇友となり、9年には日本自由画壇同人となって定期展に出品を重ね、11年に同人の池田桂仙 玉舎春輝 林文塘等と共に中国を歴遊し、昭和8年の日本自由画壇第13回展には《自笑軒》《北野大茶》を出品した。



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画風から昭和初期の頃の作か?



美しい女性を描いた「美人画」が注目を集め、全国で幾多の美人画展が開催されてきています。意外に西洋美術の範疇に「美人画」はなく、江戸期の浮世絵に端を発する美人画は日本独自のものらしい。



明治以降、洋画の世界でも美人画は多く描かれましたが,とりわけ日本画の分野では美人画は重要な位置を占めているのは事実です。



美術館や百貨店催事でも美人画展の人気は留まるところがないようですが、いずれも「上村松園…」とか「鏑木清方…」などの著名画家を中心とした展覧会が圧倒的に多いですね。



興行的に多くの観客が見込めるからでしょうが、我々蒐集家からすると少々食傷気味であり、観た作品が数多く、素人受け作品が多い。



先日は「なんでも鑑定団」に島成園の作品(上記写真)が出品されていましたが、本ブログにも投稿されている池田焦園を含めてもいずれもはやありきたりの感・・・。



現在では莫大な資金力がないかぎり美人画の著名作家の作品は入手は難しい。掘り出し物を探せば贋作や駄作を入手するのがオチのようです。そこで過去美術史の陰の部分に葬り去られてきた無名画家たちの作品に蒐集する者は目を向けることになるのでしょう。



近年になって研修が進み、各地の美術館での企画展で取り上げられて脚光を浴びてきた画家の作品もありますが、未だにどのような経歴の持ち主か分からない画家、忘れ去られた画家も多くいます。そうした作家の作品にも陽を当て女性たちの美しさがどのように絵に生かされてきたかを愉しむのも一興・・。



美人画はその着物の表現も見どころのひとつですね。



この作品も箱もなくあまり大切にはされていなかったのかもしれません。ただぎゅうぎゅうに保管箱に入れるよりはかえって良かったのかもしれません。当方では太巻きの箱を誂ええることにしています。



ちょっと早めに展示室にて桜の鑑賞です。


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