夜噺骨董談義

収集品、自分で作ったもの、見せていただいた品々などを題材に感想談など

四季山水図四幅対 寺崎廣業筆 その68

2018-11-28 00:01:00 | 掛け軸
七五三は近所の神社で皆でお祓い。



息子は着物を着るのが好きなようです。



お祝いを戴いた親戚に集まって頂き、昼食会です。



さて本日の作品の紹介です。

ある程度の特定の画家の作品が蒐集されたらやたらとその画家の作品を蒐集するのではなく、蒐集にとって意味のある作品に狙いを定めて蒐集していくのがいいようです。数が集まるとたしかに真贋や時代推定にはいい資料にはなるのですが、そこからもうひとつステップアップになる作品を追い求めていきたいと思います。

そのような対象分野の作品は本ブログで例を挙げるなら福田豊四郎や平福父子、そして本日取り上げる寺崎廣業らの郷土出身の画家、他には源内焼、明末呉須赤絵の作品だと思います。

本日は寺崎廣業の四季山水図の四幅の小点の作品を紹介します。

四季山水図四幅対 寺崎廣業筆 その68
絹本水墨小点軸装 軸先象牙 鳥谷幡山大正9年鑑定箱 昭和9年売立記録書在中
各々全体サイズ:横290*縦1295 画サイズ:横175*縦205



この時期の寺崎廣業の山水画は出展作品を除くと凡作が多いのですが、席画程度の小点が四季分揃っていることで観ていて愉しくなる作品となっています。



















表具もそれなりに立派で見栄えがします。この表具は乾燥していて、小点ゆえ巻いて保存するときに強く巻いたせいでしょうか、一文字が糊が効いていなくて捲れていました。当方で糊を挿して補修しています。あくまでも紙専用の接着材にて補修しています。



春と夏で飾ってもいいでしょう。

 

そして秋と冬。いくらでもバリエーションが愉しめるのも4幅揃の楽しみ方です。一点だけではつまらなくなるのが不思議です。

 

寺崎門下の青森出身の画家、鳥谷幡山による鑑定箱書きの収められています。真作と判断されます。

 

大正9年の鑑定箱書きで寺崎廣業が大正8年に没していますので、寺崎廣業が亡くなった翌年の鑑定です。

 

この作品の印章は当方の所蔵作品「山水図 寺崎廣業筆 その3」と同じ印章が押印されています。この作品は「その3」ですので当方の蒐集ではかなり早い時期に入手した作品です。

 

この作品はサイズが本日紹介している「四季山水図四幅対 寺崎廣業筆 その68」とまったく同じです。このような作品が複数描かれた可能性があります。

 

違うのが落款の字体です。

「山水図 寺崎廣業筆 その3」の「業」の字がいわゆる「2本寺業」と呼ばれるもので、「四季山水図四幅対 寺崎廣業筆 その68」の「業」の字は「3本廣業」と呼ばれています。「3本廣業」は後期の作品で明治40年代以降の作と推察されます。画風が似通っていることからほぼ同時期と思われますので、「山水図 寺崎廣業筆 その3」は「2本寺業」時代の終盤の明治40年前後の作と推察していいでしょう。

なお寺崎廣業の落款の字体はとくに前期で変化があり、時代の特定の根拠となります。

また寺崎廣業の前期の傑作は美人画に多くあり、後期は山水画に多くありますが、著名となってきた「3本廣業」の時代には作品を依頼されることも多くなり、多作である山水画にはかなり凡作が多いように思います。また著名になったことと並行して贋作が横行し、後世になって徐々に寺崎廣業の作品は評価を下げていきました。

*ネットオークションでの寺崎廣業の山水画の作品には贋作や凡作が多く混じっていますので手を出さないほうがいいでしょう。

なお本作品には売り立て記録があります。

 

落札金額は昭和9年にて150円? 当時の150円は現在の50万円くらいでしょうか? 資料的に面白い作品だと思います。むろん下記のように飾っても愉しい作品です。



このような四季を揃えた掛け軸は「紐の保護紙」にて四季の作品を淡い色で分類するといいでしょう。いちいち作品を広げなくてもどの季節の作品か解るようにしておきます。



巻いているとどの掛け軸がたとえば「春」の作品なのか解らなくなりますので・・。巻き止めに書くのは無粋というものです。



このような幅が一尺程度以下の作品はその掛け軸の長さ別にサイズで収納場所を決めています。長さがバラバラな収納はよくありません。長さ別に一尺程度、二尺程度、三尺程度、特大と収納場所を工夫するとどこになにを収納しているかがすぐわかるようになります。

*貴重な作品だからと金庫や地下室に刀や掛け軸の作品を収納するのは自殺行為です。湿気を嫌うのでいくら空調されていても停電もありますので、金庫や地下室に収納するのは厳禁です。ついでに陶磁器も箱が痛むのでよくありませんよ。


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