夜噺骨董談義

収集品、自分で作ったもの、見せていただいた品々などを題材に感想談など

一茶句意名月 酒井三良筆

2019-07-02 00:01:00 | 掛け軸
大坂なおみのテニスは一回戦で敗退。攻撃仕掛けたい大坂選手をはぐらかすようにスライス、ネット際、奥への高いボールを使用する相手選手が一枚上手でしたね。強いボールを打ちたい欲をセーブできなかった大坂選手の若さが出た試合だった思いますが、三試合連続でのストレート負けするというのも作戦、戦術の無さがも気になりました。

ところで本ブログに投稿された作品に興味を持たれる方には、入手したいという方もおられるかもしれませんが、当方のブログにて作品を紹介している趣旨には売買目的は一切ありません。またアクセス件数獲得も目的でありません。あくまでも作品整理の一環ですのでその趣旨をご理解ください。

さて茶味?のある日本画というと小杉放庵、小川芋銭、そして酒井三良の三人の画家を上げる方が多いと思います。南画的でありながら、山水画ということはなく素朴な題材で日本人の気風にあった作風の絵を描いた三人の代表的な画家と言えるのでしょう。

一茶句意名月 酒井三良筆
古紙水墨淡彩軸装 軸先象牙 共箱 
全体サイズ:横670*縦1330 画サイズ:横*縦(未測定)



「一茶句意名月」という題名から小林一茶「名月をとってくれろと泣く子かな」という句を基に描いた作品と推察されます。



子どもの無邪気な願い、そして親子の情愛がほほえましく表現された句であり、理屈抜きで忘れられない句ですね。



ま~実際にそのようなことを言う子供はいないと思いますが、禅画にもある「水面に映った月に手を伸ばす猿の作品」が背景にあるのでしょう。こちらは実際にないものへの欲というものを示していますので、子供の無邪気さとは違う示唆の作品ですが、共通して考えられるのは「人間とは生まれながらにそのような欲や願いがある。」ということなのでしょう。



人の成長とはある意味で己の欲との闘いでもあり、欲とは生きているものの性なのでしょうね。



人は寿命が延びているぶんだけ生き方の幅が広がってきますが、その分だけ欲との葛藤もあり、生き方も難しくなっているように思います。テニスの試合も然り、欲を前面に出すと勝てない、セーブして我慢することも大切なようです。



本作品は和紙に描かれ趣のある作品に仕上がっています。

 

働けるだけ働いて残りの余生を愉しんで死するという生き方ではなく、働く期間と死する間に何かができる時代になっていますが、そこに生きがいを見出せるか否かがどうもポイントのようです。どうもそれが現代を生きる者の「名月をとってくれろと泣く子かな」ということかと・・・。



夏用の扉に入れ替えた茶室に飾ってみました。



手前は南蛮焼の双耳花入れです。

なお本作品は「酒井三良展 ふるさとを描きつづけた画家」(2001年8月4日~2001年9月2日)に出品されています。



喜多方市美術館、やないづ町立斎藤清美術館 三島町交流センターやまびこで開催された際にこの作品集が発刊されています。



きちんとした作品にはきちんとした履歴が伴いますので、資料を良く集め読み返し、また作品の筋のよい作行を見極めるのが肝要なようです。欲とは蒐集するものの性でもあります。



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