夜噺骨董談義

収集品、自分で作ったもの、見せていただいた品々などを題材に感想談など

伊勢海老図 中村左洲筆 その3(真作整理NO)

2018-03-01 00:01:00 | 掛け軸
本日紹介する中村左洲の作品「海老」の作品を入手し、これで中村左洲の作品、「海老」で「鯛」を「漁(釣る)」が揃いました。どうも小生の蒐集した作品には「鯛」、「海老」の作品が多いようです。いずれも吉祥の画題です。

展示室に飾る際に手前に置いた作品は「蛸 バーナードリーチ作」です。ご愛敬・・

伊勢海老図 中村左洲筆 その3(真作整理NO)
絹本水墨淡彩軸装 軸先陶器 鑑定箱 
全体サイズ:縦2060*横540 画サイズ:縦1255*横417

 

昭和24年菊月(菊月(きくづき):旧暦9月(長月)の別称。10月とする説もある)の76歳、最晩年の作と推測されます。



昭和28年(中村左洲没年)2月に百松(中村左洲の門人で子息)による鑑定箱となっています。箱書きが誰なのという知識として持っていないとただの落書きに見えますね。

  

中村左洲は魚類以外の題材もむろん描いています。美人画や山水画もありますが、業業に関わる以外の作品にあまり見るべき作品がないのは残念です。(ただ小生が入手する契機となった美人画のように、中にはいい作品が一部にあります。)

游鯛図 中村左洲筆 その1
絹本水墨淡彩軸装 軸先象牙 昭和19年共箱 
全体サイズ:縦1883*横540 画サイズ:縦1282*横423



伊勢では、左洲といえば鯛の専門画家のようにいわれることがあります。 それは、左洲が漁師でもあったこと、 魚類は円山四条派の重要な写生対象であったこと、 鯛の絵は吉祥画として多くの需要があったことなどが主な理由でしょう。鯛を描いた作品には終生伊勢の海に親しみ、伊勢志摩の自然と一体化したかのような彼の特質を見ることができます。

*大正6年(1917)の第11回文展では、入選した「群れる鯛」 が御木本幸吉翁(御木本真珠店(現・ミキモト)創業者。真珠王とも呼ばれた)の眼にとまり、 買い上げられたという逸話が伝えられています。

鯛釣図 中村左洲筆 その2
絹本水墨淡彩軸装 軸先象牙 共箱 
全体サイズ:縦2035*横540 画サイズ:縦1170*横420



一方、内宮や外宮、山岳風景、漁業を主題とした情趣こまやかな風景作品には画家中村左洲の技量がより強く現れている作品に思われます。伊勢神宮が近くにあり、皇族や宮司からの依頼や招待が多く、作品を献上することもあったとのこと。

本作品で「海老で鯛を釣る」(海老が伊勢海老というのは?)が完結しました



「海老図」について写真をアップしてみました。



「海老図」は「髭長く、腰曲がるまで」と長寿に関する吉祥画題です。



「伊勢海老」・・、伊勢の画家ですから「伊勢海老」・・???



こんなにたくさん伊勢海老がいると愉しくなります。



むろん中村左洲の代表作は鯛を題材とした作品ですが、こういう作品のいいと思えるのではないでしょうか?



鯛家の作品。もとい大家の作品を蒐集するより地元の出身の画家に各々目を向けると意外に良き作品を描いている画家がいるものです。



漁師をしながら絵を描いたという中村左洲・・、特異な画家と言えるかもしれません。繰り返しますが、鯛などの漁業に絡んだ作品以外には見るべき作品がないのも得意、もとい特異・・・。



ちなみに同郷の画家には本ブログでも取り上げている、女流画家で美人画で名高い伊藤小坡がいます。



現在では中村左洲の名を知る人は数少ないでしょうね。先週のNHKの日曜美術館では不染鉄の特集をしていましたが、このように世にあまり知られていない画家を蒐集、鑑賞するのは非常に愉しいものです。



作品にシミが入り始め全体に暗い感じがします。この状態は染み抜きをするかしないかの限界の状態ですが、まだ鑑賞には耐え得る状態だろうと判断しています。

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