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近所の親戚の方が不要なものでリサイクルできるものを引き取ってくれるということなのでで急遽、週末の早朝より駐車場に置いてある不用材を処分することになりました。
義父が農作業で使うものがメインなので任せておいたら、義父が煙草入れのようなものを持って来て「これ捨てる?」と言ってきました。その品物は木製の彫りものの作品で今で言うと「お土産品」程度のようなものですが、物自体が古いものなので「とっておきましょう」と答えました。
そうこうしているうちに義父が一人ではたいへんなので、家内と小生も手伝い始め、材木やら農作業の道具やらを仕分けてリサイクルで処分できるものを選んでいると、家内が隅に置いてあった缶の中身を全部出して広げはじめました。
最初に目をひいたのが袋・・。なにやら「町田銀行」とあります。町田にこのような銀行あったの?
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袋の絵柄は恵比寿様。内側は高級そうな絹・・。
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なにやらお金に縁がありそう・・。こいつは捨てないでとっておこう。
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その他に二個の印籠がありましたが、一個は痛みがひどく捨てることにしました。もう一個は多少痛みがありましたが、状態がまだ良いので捨てないことにしました。
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日本人が思っているよりも海外で高額の取引となっているのが印籠と根付ですが、高額で取引される作品はかなり出来の良いもので状態もしっかりしたものです。
海外で高額で取引される江戸期の著名な作家の作品は明治期には模倣品が出回っていたようです。根付に至っては中国の練りで作られたものが象牙として売られており、小生も騙された経験があります。素人目には見分けが難しいです。実際には高額で取引されるような作品は当然ながらかなり数が少ないのが実情のようです。
処分するはずのごみから見つけた印籠、はたして鑑定や如何に?
本作品を「題する」と下記のような題になろうかと思います。
刀鍔蒔絵印籠 伝水谷秋登甫作
根付:硝子徳利(珊瑚玉)
四段重螺鈿高蒔絵 桐箱入 底銘
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底には銘が記されており、「水谷秋登甫作」とあります。調べると「水谷秋登甫」は印籠を作った江戸期の有名な漆芸師のようです。
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水谷秋登甫:漆芸師。活躍した時期は江戸期寛文年間より寛保年間で尾形光琳や小川破立らの活動時期と同じです。出来のよい作品は欧米で人気があり高額(1000万弱)で取引されている。
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僅かのことしか当方の資料では解りませんが、江戸中期の人物ということのようです。家内の実家は宝暦の頃から続いているので所蔵していた可能性はあるのですが、明治の頃の模倣作品かもしれません。
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痛みはあるものの出来はよさそうです。本当の刀鍔のような金属の材質感があり、刀の鍔をデザインした印籠は小生は初めてみました。おそらく類例はかなり稀だと思います。
有名な作りに「立翁細工」というものがありますが、本作品がその作りかどうかは、残念ながら印籠については小生の蒐集対象外ですので詳しいことは知りません。
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立翁細工:小川破立が蒔絵に鉛・金・銀・銅・鉄・陶器片・象牙・ギヤマン(硝子)など、多種多様な美しい異物を混然と嵌入して、時にはその上にさらに蒔絵を凝らすという、独自のいわゆる一種の蒔絵破笠細工(笠翁細工)を生み出し、派手好みだった当時の人々に大歓迎を受けました。
鉛の使用は本阿弥光悦らにもみられますが、作風は光悦の侘び寂びとした純和風に対し、かなり異国風(中国趣味)が感じられます。ただし当時から小川破笠は人気作家だったので、本人が手がけた作品以外にも彼の工房製、つまりは弟子の手による作品も「破笠細工」として流通しています。
近代になって、欧米でも評価が高くなったことにより、輸出目的で製造された明治以降の職人の手による「破笠風に作られた新作」も多く存在します。
幕末の漆芸家柴田是真もしばしば破笠写しの作品を作り、外国人観光客に売っています。小川破立・水谷秋登甫・野村九国・野村摴平・三浦乾也・貞二などの作品にも見られます。
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取り合い部分にも絵柄が描かれています。
根付はガラス?? 古ガラスというものでしょうか?
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玉は珊瑚??
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缶の中にはその他の作品として根付も・・、それらはまた後日。
水谷秋登甫については海外におけるオークションの記録でいくつかの作品を見つけることができます。下記の作品の落札金額は約170万円のようです。
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下の作品はかなりの力作で約500万円での落札です。
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ほかに写真はありませんでしたがいいものになると1000万円弱の落札のようです。
贔屓目かもしれませんが上記のふたつの作品よりは本作品のほうが私は好きですね。出来もよいように思います。なんといっても刀の鍔のデザインがいいです。売り払って放蕩三昧などという罰当たりなことを考えてはいけませんね。
早起きは三文の得・・、捨てていたら縁のなかった作品です。痛みや使用した跡がありますが三文くらいの価値はあるかもしれません。町田銀行?の袋といい、印籠といいなにやら朝から得した気分になりました。
ガラクタやごみの中から掘り出し物が見つかるということは私の骨董蒐集の経験としてはときおりあることです。ただそういう機会とどうめぐりあいをつくれるかがポイントです。たとえば知人が古いものを処分する際に私が骨董蒐集が好きであるということを知っていないと処分する際に声をかけてくれませんから・・。ただめやたらに掘り出し物があるということでもありません。
古くから家内の実家に伝った作品です。私の所有物ではありませんが痛んでいる部分を修復しようかと思いますが、印籠の修理を受け付けているところはあるのかな? それとも手を加えずこのままがいいのか・・。下手すると早起きは三文の損になりかねませんね。
ちょうど印籠を収納する箱だけが空いているのがありましたので保存箱として使うことにしました。印籠棚に印籠掛け・・これもどこかにあったはず・・。男は凝り性なものです。
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印籠などのように昔の男の趣味は粋だった。昔の男の趣味はゴルフ三昧などという実に安っぽい趣味ではなかったです。
義父が農作業で使うものがメインなので任せておいたら、義父が煙草入れのようなものを持って来て「これ捨てる?」と言ってきました。その品物は木製の彫りものの作品で今で言うと「お土産品」程度のようなものですが、物自体が古いものなので「とっておきましょう」と答えました。
そうこうしているうちに義父が一人ではたいへんなので、家内と小生も手伝い始め、材木やら農作業の道具やらを仕分けてリサイクルで処分できるものを選んでいると、家内が隅に置いてあった缶の中身を全部出して広げはじめました。
最初に目をひいたのが袋・・。なにやら「町田銀行」とあります。町田にこのような銀行あったの?
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袋の絵柄は恵比寿様。内側は高級そうな絹・・。
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なにやらお金に縁がありそう・・。こいつは捨てないでとっておこう。
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その他に二個の印籠がありましたが、一個は痛みがひどく捨てることにしました。もう一個は多少痛みがありましたが、状態がまだ良いので捨てないことにしました。
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日本人が思っているよりも海外で高額の取引となっているのが印籠と根付ですが、高額で取引される作品はかなり出来の良いもので状態もしっかりしたものです。
海外で高額で取引される江戸期の著名な作家の作品は明治期には模倣品が出回っていたようです。根付に至っては中国の練りで作られたものが象牙として売られており、小生も騙された経験があります。素人目には見分けが難しいです。実際には高額で取引されるような作品は当然ながらかなり数が少ないのが実情のようです。
処分するはずのごみから見つけた印籠、はたして鑑定や如何に?
本作品を「題する」と下記のような題になろうかと思います。
刀鍔蒔絵印籠 伝水谷秋登甫作
根付:硝子徳利(珊瑚玉)
四段重螺鈿高蒔絵 桐箱入 底銘
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底には銘が記されており、「水谷秋登甫作」とあります。調べると「水谷秋登甫」は印籠を作った江戸期の有名な漆芸師のようです。
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水谷秋登甫:漆芸師。活躍した時期は江戸期寛文年間より寛保年間で尾形光琳や小川破立らの活動時期と同じです。出来のよい作品は欧米で人気があり高額(1000万弱)で取引されている。
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僅かのことしか当方の資料では解りませんが、江戸中期の人物ということのようです。家内の実家は宝暦の頃から続いているので所蔵していた可能性はあるのですが、明治の頃の模倣作品かもしれません。
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痛みはあるものの出来はよさそうです。本当の刀鍔のような金属の材質感があり、刀の鍔をデザインした印籠は小生は初めてみました。おそらく類例はかなり稀だと思います。
有名な作りに「立翁細工」というものがありますが、本作品がその作りかどうかは、残念ながら印籠については小生の蒐集対象外ですので詳しいことは知りません。
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立翁細工:小川破立が蒔絵に鉛・金・銀・銅・鉄・陶器片・象牙・ギヤマン(硝子)など、多種多様な美しい異物を混然と嵌入して、時にはその上にさらに蒔絵を凝らすという、独自のいわゆる一種の蒔絵破笠細工(笠翁細工)を生み出し、派手好みだった当時の人々に大歓迎を受けました。
鉛の使用は本阿弥光悦らにもみられますが、作風は光悦の侘び寂びとした純和風に対し、かなり異国風(中国趣味)が感じられます。ただし当時から小川破笠は人気作家だったので、本人が手がけた作品以外にも彼の工房製、つまりは弟子の手による作品も「破笠細工」として流通しています。
近代になって、欧米でも評価が高くなったことにより、輸出目的で製造された明治以降の職人の手による「破笠風に作られた新作」も多く存在します。
幕末の漆芸家柴田是真もしばしば破笠写しの作品を作り、外国人観光客に売っています。小川破立・水谷秋登甫・野村九国・野村摴平・三浦乾也・貞二などの作品にも見られます。
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取り合い部分にも絵柄が描かれています。
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根付はガラス?? 古ガラスというものでしょうか?
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玉は珊瑚??
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缶の中にはその他の作品として根付も・・、それらはまた後日。
水谷秋登甫については海外におけるオークションの記録でいくつかの作品を見つけることができます。下記の作品の落札金額は約170万円のようです。
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下の作品はかなりの力作で約500万円での落札です。
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ほかに写真はありませんでしたがいいものになると1000万円弱の落札のようです。
贔屓目かもしれませんが上記のふたつの作品よりは本作品のほうが私は好きですね。出来もよいように思います。なんといっても刀の鍔のデザインがいいです。売り払って放蕩三昧などという罰当たりなことを考えてはいけませんね。
早起きは三文の得・・、捨てていたら縁のなかった作品です。痛みや使用した跡がありますが三文くらいの価値はあるかもしれません。町田銀行?の袋といい、印籠といいなにやら朝から得した気分になりました。
ガラクタやごみの中から掘り出し物が見つかるということは私の骨董蒐集の経験としてはときおりあることです。ただそういう機会とどうめぐりあいをつくれるかがポイントです。たとえば知人が古いものを処分する際に私が骨董蒐集が好きであるということを知っていないと処分する際に声をかけてくれませんから・・。ただめやたらに掘り出し物があるということでもありません。
古くから家内の実家に伝った作品です。私の所有物ではありませんが痛んでいる部分を修復しようかと思いますが、印籠の修理を受け付けているところはあるのかな? それとも手を加えずこのままがいいのか・・。下手すると早起きは三文の損になりかねませんね。
ちょうど印籠を収納する箱だけが空いているのがありましたので保存箱として使うことにしました。印籠棚に印籠掛け・・これもどこかにあったはず・・。男は凝り性なものです。
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印籠などのように昔の男の趣味は粋だった。昔の男の趣味はゴルフ三昧などという実に安っぽい趣味ではなかったです。