夜噺骨董談義

収集品、自分で作ったもの、見せていただいた品々などを題材に感想談など

葡萄ニ鷹図 天龍道人筆 82歳

2019-06-19 00:01:00 | 掛け軸
本日は亡くなった家内の命日です。郷里へ飛行機で日帰りの墓参りですので、昨日は鳩居堂でお線香を買った来ました。もうすぐ13回忌、時が経るのは早いものです。

天龍道人は鷹と葡萄の画家とも言われる様に、葡萄の絵はかなり多いそうですが、鷹の方は少なく、山水画の方はもっと少ない。

葡萄ニ鷹図 天龍道人筆 82歳
絹本水墨淡彩軸装 軸先骨 合箱
全体サイズ:縦1695*横450 画サイズ:縦1020*横330



鷹を描いた作品で製作時期がもっと早いのは安永5年(1776年)59歳作の「鷹鶉図」と思われます。鷹を描いた作品は水墨で描いた作品との濃密な色彩でもって描いたものとあります。



鷹画は、葡萄図と同じように絵画制作時期の早い時期から晩年まで描いていますが、葡萄よりは綿密で手の込んだ描写になりますので、晩年になるにつれて作品は少なくなっていきます。

天龍道人は、鷹を飼っている鷹匠の家で生態を観察して、様々な鷹の姿を描いたと言われていますが、その詳細は確認できていません。ただし、天龍道人が描いた鷹には線の文様が縦方向のものと横方向のものが見られ、若鳥では縦方向に縞模様となり、成鳥になると羽が生え変わって横方向になるようです。天龍道人は、若鳥と成鳥を描き分けていることが確認できます。

 

天龍道人は沈南蘋門人の熊斐に学ぶとされますが、作品にもその影響が見られます。熊斐は天龍道人より6歳年下ですが、熊斐と天龍道人の作品を比べると天龍道人の鷹画は、明らかに写実性が低くなり、装飾化が進み整えられた鷹画になっています。70歳頃の鷹画のようが南蘋派の傾向の強い画風となっています。

 

落款には「天龍之道人八十有之二歳筆 押印」とあり、印章は白文朱方印「王墐」、「不明」の印章が押印されています。

 

当方にはかなりの数の天龍道人の作品がありますが、80歳代の鷹の作品は現在はこの作品のみです。ただ90歳代になるとまた作品の数が増えてきますし、この最晩年の作品は70歳頃の作品に見劣りしない優品が多くあります。





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