連休中は息子は調理・・??、というか好きなものを食べたいがゆえに家内の手伝いをしているようです。たとえば昼食はヤキソバ。皆で外で食べるのが愉しいようです。亡くなった義父も「お爺ちゃんも!」と言って写真も持ち出しました。こういうところは義理堅い・・。明日はラーメン、次はスパゲッティ、ピザ、寿司・・・???
さて本日の作品は見覚えのある作品で、なにかの販売カタログだったかに18万円で出品されていた作品だったと思います。インターネットオークションであったかもしれません。他の所蔵作品である「菱の沼 (その1)」、「古沼採蓴」などの似た構図の作品を調べていくうちに知り得た作品かと思います。
今回は4万円ほどで入手できたのは、お買い得と思って入手したのですが、やはり廉価なのは酒井三良、そして掛け軸の人気が今はないせいかもしれませんね。
思い出の画家 菱の沼 その2 酒井三良筆 その17
紙本水墨淡彩軸装 軸先骨 共箱二重箱
全体サイズ:縦1410*横650 画サイズ:縦320*横510
今までこのように沼地を描いた酒井三良の構図の作品は茨木県か福島県を描いたと思っていたのですが、箱の小口には「福島潟」とあります。この福島潟(ふくしまがた)はどうも新潟県新潟市北区新鼻に位置する潟のことのようです。
そして題の「菱の沼 その1」(額装)の記事でも説明しましたように、「菱(ひし)」とは池や沼に自生する水草のことです。秋に実が水底にくっつき、春になると発芽して、水面に芽が出ます。また、この実の部分は食用であり、栽培もされています。
*似た構図の作品である他の所蔵作品「古沼採蓴」はジュンサイ(蓴菜)を採る作業を描いた作品です。
酒井三良は農村や自然の風景をよく描きました。菱収穫の何気ない日常が描かれた本作品からは素朴ですが、温かみのある人々の日常が感じられます。この作品はどうも酒井三良が良く描いたとされる生まれ故郷の福島県ではないようです。
酒井三良は戦中は新潟県水原に疎開していましたが、昭和20年11月、横山大観に五浦の大観別荘へ住むことを勧められ、同月三良夫妻は一人娘を連れて茨城県多賀郡大津町五浦に移り住み、以降8年間、太平洋に面した豊かな自然の中で暮らすこととなります。妻の郷里新潟から送られてくる僅かな米で一家は慎ましく暮らし、釣りと写生に明け暮れたそうです。
この作品が「福島潟」を描いたとしたら、戦時中というよりおそらく生活が落ち着いてきた晩年の作と推定されます。
箱に貼り付けてある説明では「菱の実の熟す頃」ですから、秋か? 菱(ひし)は1年草の実であり、水面に浮かぶ葉の形が菱型であることが名前の由来です。栄養が豊富で「水中の落花生」とも呼ばれます。
菱というのを調べてみました。
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蓮子のように水中から茎を伸ばし、葉は水面に浮かんでいます。菱の実は果肉部分であり、柔らかい茎も野菜として食べることができます。果肉の形が特徴的で、餃子のようないびつなハート型をしており、先端が尖っているものや丸みを帯びているものなど、産地によって種類もさまざまです。
実の大きさは、人工栽培でマッチ箱ほどの大きさまで成長し、野生のものはそれより小ぶりの爪ほどの大きさになります。毎年8月ごろから成熟し始め、ツル状に伸びた先に緑色の葉が生えます。茎は赤みがかった紫色で、鮮やかな黄色の小花を咲かせます。成熟すると実は硬くなり、秋の終わりまで収穫されなかった菱の実は、茎から自然に落ちて翌年水中で発芽します。2月ごろには栽培用の苗が出回るようになり、水面に密集させる方法で栽培されます。
菱は温帯気候の湿地に多く自生し、実際は沼地や池で多く栽培されています。寒さに弱く、気温は25-36℃、水深60cm程度が最適な環境とされます。原産はヨーロッパで、現在では中国南部やロシア、日本、ベトナム、台湾、ミャンマーでも栽培されており、国内では福岡や佐賀が特産で少しずつながら出荷量を伸ばしています。
菱の実は豊富な成分からなり、昔から漢方にも使われています。硬い皮に滑らかな舌触りの菱の実は、栗や芋のように蒸す、茹でるといった下処理をしてから食べられてきました。ホクホクとしてほんのり甘みがあり、昔からおやつのほか、重要な食料として食べられてきました。菱の実はビタミンとミネラルの種類が豊富なほか、βカロテンやリボフラビンといった生理活性作用(体の調子を整える)成分も含まれています。
菱の実は、栗と同じように硬い皮を剥いて食べます。しかし、この皮の部分にも栄養がたっぷり含まれており、さまざまな病気への治療効果が期待されています。菱の実の皮を炒って乾燥させ、お茶の葉の代わりにして飲むと、肝硬変や腹水の治療に効果があることが明らかとなりました。また現段階の研究において、菱の実の皮はがん細胞の成長と増殖を抑え、白血球や貪食細胞の働きを活発にする作用があり、そのがん細胞抑制率は28.8%にも達するそうです。皮を剥いて残った実の部分にも肝癌や腹水の抑制作用が確認され、特に胃がんや食道がんなど、消化器系のがんに対する治療効果が高いとされています。
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「現段階の研究において、菱の実の皮はがん細胞の成長と増殖を抑え、白血球や貪食細胞の働きを活発にする作用があり、そのがん細胞抑制率は28.8%にも達するそうです。」・・・、おそるべし菱の実
本作品は大きめの作品で、出来も表具も良く大事にされていた作品でしょう。
落款と印章も良さそうです。
二重箱の誂えです。
酒井三良の作品は母方の叔父が好きで集めていた作品ですが、叔父が亡くなって子息らがおそらくすべて売却したと思われます。叔父から作品を説明されたことを今でも覚えています。雪の景色を描いたいい作品でした。そういう思い出が蘇る画家でもあり、そのような観点からは今回の作品はお買い得・・
息子が教えてくれるようにともかく温かみのある日常が一番大事なのさ、それを失ったら骨董集など意味がない。「仲良く働け、笑って暮らせ」は父方の祖父の家訓の最終章。
さて本日の作品は見覚えのある作品で、なにかの販売カタログだったかに18万円で出品されていた作品だったと思います。インターネットオークションであったかもしれません。他の所蔵作品である「菱の沼 (その1)」、「古沼採蓴」などの似た構図の作品を調べていくうちに知り得た作品かと思います。
今回は4万円ほどで入手できたのは、お買い得と思って入手したのですが、やはり廉価なのは酒井三良、そして掛け軸の人気が今はないせいかもしれませんね。
思い出の画家 菱の沼 その2 酒井三良筆 その17
紙本水墨淡彩軸装 軸先骨 共箱二重箱
全体サイズ:縦1410*横650 画サイズ:縦320*横510
今までこのように沼地を描いた酒井三良の構図の作品は茨木県か福島県を描いたと思っていたのですが、箱の小口には「福島潟」とあります。この福島潟(ふくしまがた)はどうも新潟県新潟市北区新鼻に位置する潟のことのようです。
そして題の「菱の沼 その1」(額装)の記事でも説明しましたように、「菱(ひし)」とは池や沼に自生する水草のことです。秋に実が水底にくっつき、春になると発芽して、水面に芽が出ます。また、この実の部分は食用であり、栽培もされています。
*似た構図の作品である他の所蔵作品「古沼採蓴」はジュンサイ(蓴菜)を採る作業を描いた作品です。
酒井三良は農村や自然の風景をよく描きました。菱収穫の何気ない日常が描かれた本作品からは素朴ですが、温かみのある人々の日常が感じられます。この作品はどうも酒井三良が良く描いたとされる生まれ故郷の福島県ではないようです。
酒井三良は戦中は新潟県水原に疎開していましたが、昭和20年11月、横山大観に五浦の大観別荘へ住むことを勧められ、同月三良夫妻は一人娘を連れて茨城県多賀郡大津町五浦に移り住み、以降8年間、太平洋に面した豊かな自然の中で暮らすこととなります。妻の郷里新潟から送られてくる僅かな米で一家は慎ましく暮らし、釣りと写生に明け暮れたそうです。
この作品が「福島潟」を描いたとしたら、戦時中というよりおそらく生活が落ち着いてきた晩年の作と推定されます。
箱に貼り付けてある説明では「菱の実の熟す頃」ですから、秋か? 菱(ひし)は1年草の実であり、水面に浮かぶ葉の形が菱型であることが名前の由来です。栄養が豊富で「水中の落花生」とも呼ばれます。
菱というのを調べてみました。
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蓮子のように水中から茎を伸ばし、葉は水面に浮かんでいます。菱の実は果肉部分であり、柔らかい茎も野菜として食べることができます。果肉の形が特徴的で、餃子のようないびつなハート型をしており、先端が尖っているものや丸みを帯びているものなど、産地によって種類もさまざまです。
実の大きさは、人工栽培でマッチ箱ほどの大きさまで成長し、野生のものはそれより小ぶりの爪ほどの大きさになります。毎年8月ごろから成熟し始め、ツル状に伸びた先に緑色の葉が生えます。茎は赤みがかった紫色で、鮮やかな黄色の小花を咲かせます。成熟すると実は硬くなり、秋の終わりまで収穫されなかった菱の実は、茎から自然に落ちて翌年水中で発芽します。2月ごろには栽培用の苗が出回るようになり、水面に密集させる方法で栽培されます。
菱は温帯気候の湿地に多く自生し、実際は沼地や池で多く栽培されています。寒さに弱く、気温は25-36℃、水深60cm程度が最適な環境とされます。原産はヨーロッパで、現在では中国南部やロシア、日本、ベトナム、台湾、ミャンマーでも栽培されており、国内では福岡や佐賀が特産で少しずつながら出荷量を伸ばしています。
菱の実は豊富な成分からなり、昔から漢方にも使われています。硬い皮に滑らかな舌触りの菱の実は、栗や芋のように蒸す、茹でるといった下処理をしてから食べられてきました。ホクホクとしてほんのり甘みがあり、昔からおやつのほか、重要な食料として食べられてきました。菱の実はビタミンとミネラルの種類が豊富なほか、βカロテンやリボフラビンといった生理活性作用(体の調子を整える)成分も含まれています。
菱の実は、栗と同じように硬い皮を剥いて食べます。しかし、この皮の部分にも栄養がたっぷり含まれており、さまざまな病気への治療効果が期待されています。菱の実の皮を炒って乾燥させ、お茶の葉の代わりにして飲むと、肝硬変や腹水の治療に効果があることが明らかとなりました。また現段階の研究において、菱の実の皮はがん細胞の成長と増殖を抑え、白血球や貪食細胞の働きを活発にする作用があり、そのがん細胞抑制率は28.8%にも達するそうです。皮を剥いて残った実の部分にも肝癌や腹水の抑制作用が確認され、特に胃がんや食道がんなど、消化器系のがんに対する治療効果が高いとされています。
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「現段階の研究において、菱の実の皮はがん細胞の成長と増殖を抑え、白血球や貪食細胞の働きを活発にする作用があり、そのがん細胞抑制率は28.8%にも達するそうです。」・・・、おそるべし菱の実
本作品は大きめの作品で、出来も表具も良く大事にされていた作品でしょう。
落款と印章も良さそうです。
二重箱の誂えです。
酒井三良の作品は母方の叔父が好きで集めていた作品ですが、叔父が亡くなって子息らがおそらくすべて売却したと思われます。叔父から作品を説明されたことを今でも覚えています。雪の景色を描いたいい作品でした。そういう思い出が蘇る画家でもあり、そのような観点からは今回の作品はお買い得・・
息子が教えてくれるようにともかく温かみのある日常が一番大事なのさ、それを失ったら骨董集など意味がない。「仲良く働け、笑って暮らせ」は父方の祖父の家訓の最終章。