「大日本魚類画集」の作品蒐集では何点かは難点のある作品(下記写真右)を入手しています。下記の「大日本魚類画集 NO66 眞鯉」は両側にヤケが少しある作品を入手していましたが、今回はヤケのない作品(下記写真左)を入手しています。
大日本魚類画集 NO66 眞鯉 大野麥風画
紙本淡彩額装 版画 1938年9月第1回(第1号の1) タトウ 説明書付
シミあり 画サイズ:縦400*横280(版木部分:270*391)
この両作品では「麥風」の落款と印章の位置が違うのと魚印の丸印の位置も違うようです。ちょっとでもシミやヤケがあると版画の作品は評価がかなり落ちます。その程度によってはほぼ無価値とさえなりますので、保存には最新の注意が必要とされます。
大日本魚類画集については額を厳選に選択して楽しんでいます。むろん新しい額を購入すると費用が嵩むので、ネットオークションを利用して古い額を探して似合うような額を選んでいます。
日本画用の額だと種類が少ないので、今回は油彩用の額も選択肢に入れています。
大日本魚類画集 NO73 カサゴ 大野麥風画
紙本淡彩額装 版画 1938年12月第5回
画サイズ:縦280*横400
本ブログで何度も説明しているように、このシリーズは日本の版画技術の真髄が盛り込まれています。
これ以上の版画は過去にもこれからもできないでしょう。
写真ではうまく写り込んでいませんが、素晴らしい技術です。
日本には古くから浮世絵の版画技術がありました。その技術を取り込んだのが陶芸では源内焼ですが、浮世絵が廃れるに従って、分業制の版画工房は一部の工房を除き姿を消しています。近代版画は創作版画に移行し、版画技術そのものは停滞したままとなりました。
版画にそれほど精通していない当方では詳しく述べることはできませんので、画像でしか伝えられませんが、できれば実物をご覧なるといいでしょう。
下記は図集に掲載されている記事です。
本日の題材は「カサゴ」です。
次の作品は下記の「ハマチ」です。額はだいぶ迷った末に下記の額を誂えました。
雲母摺の銀色に輝く見事な版画ですが、これこそ実際に見ないと写真では解らないものです。
大日本魚類画集 NO81 ハマチ 大野麥風画
紙本淡彩額装 版画 1940年1月第3輯第5回
画サイズ:縦280*横400
こちらも図集に掲載されている記事です。
出世魚のひとつですね。
全部で72種、戦前から戦中の多難の時代に発刊された貴重なシリーズです。