夜噺骨董談義

収集品、自分で作ったもの、見せていただいた品々などを題材に感想談など

整理されていく掛け軸 3点

2024-10-03 00:01:00 | 掛け軸
作品の保管場所が東京の自宅ではほぼ満杯なので、普段使わない作品はリフォーム中の「男の隠れ家」へ移送の予定のため、作品を整理しています。その作品中にて資料や整理が未了なものを改めて追記していますが、本日はそのような作品の投稿です。



今回は横長の大幅の整理です。横長の大幅を専用に保管する棚が満杯となり、郷里の「男の隠れ家」で飾るための軸を移送することにしました。

*軸類の保管用の棚は長さ別に大別して5種類あり、その棚に画家別に整理されています。



当方の蒐集対象である山元春挙の門下ということで入手した作品です。

春の水 勝田哲筆
絹本着色軸装 軸先象牙 共箱二重箱
全体サイズ:縦1375*横665 画サイズ:縦410*横510



美人画としても蒐集対象となります。

*********************************

勝田哲:1896-1980 大正-昭和時代の日本画家。明治29年7月8日生まれ。東京美術学校(現東京芸大)で西洋画をまなぶ。日本画に転じ,大正14年山元春挙に入門。昭和5年京都市立絵画専門学校(現京都市立芸大)卒業。4年,6年の帝展で歴史画の「天草四郎」「征旅(ジャンヌ・ダルク)」がともに特選。美人画にもすぐれた。昭和55年11月17日死去。84歳。京都出身。本名は哲三。

*********************************



次は田中案山子の作品です。

大鯛 田中案山子筆
紙本水墨淡彩軸装 軸先練 共箱
全体サイズ:縦1820*横950 画サイズ:縦620*横720



普段は常駐していない「男の隠れ家」のなのでそれほど高価の作品は保管できません。

*********************************

田中案山子(たなか-あんざんし): 1906-1970 昭和時代の日本画家。明治39年5月5日生まれ。田中以知庵(いちあん)にまなぶ。昭和4年院展に初入選,7年院友となる。12年小林巣居人(そうきょじん)らと新興美術院を結成。戦後,新興美術院を再興。30年からは個展を中心に活躍した。昭和45年5月14日死去。64歳。東京出身。本名は格男。作品に「立場茶屋」「伊豆下田街道」など。

*********************************




田中案山子の作品の中ではかなり出来の良い部類でしょう。



次は田中案山子の師であった田中以知庵の作品です。

清流 田中以知庵筆
絹本着色軸装 軸先象牙 太巻二重合箱
全体サイズ:縦1435*横655 画サイズ:縦445*横510



田中以知庵の画歴と画風についての記述は下記のとおりです。

*********************************

田中以知庵:日本画家。明治26年(1896)~昭和33年(1958)。東京生。名は兼次郎、別号に咄哉州・一庵等。上原古年に画の手ほどきを受けたのち松本楓湖に師事し、巽画会・紅児会等で活躍する。速水御舟などともよく交友し1929年には小室翠雲の推薦により日本南画院同人となりその後は同展を中心に日展などでも活躍した。また、釈宗活禅師に禅を学び1912年には禅号として咄哉(州)を拝受、南画研究と禅修行の為に朝鮮半島に渡るなど求道的な一面をみせ、作品では詩情に溢れた花鳥、風景画を展開、晩年は風景画に独自の画境を拓き、飄逸な絵画世界を展開した。春陽会会友・日本南画院同人・日展審査員。昭和33年(1958)歿、65才。 

画風:身辺の自然をこよなく愛して風趣に富んだ作品を多く遺した。松本楓湖塾に入門し、歴史画や山水など伝統的な画法を学んだが、同門の速水御舟とは親交を深くし、互いに影響を与え合った。速水御舟は、庭で炊いていた焚火に蛾が集まってきた様子を描いた「炎舞」のように、当時としては珍しい昆虫を題材にしたものが多い。そして田中以知庵は「蛙の以知庵さん」と呼び親しまれたほど、蛙や鮎、蜆、また鶺鴒、雀などの小禽類を多く描いている。 以知庵には大変一途なところがあり、入門したての頃に禅宗の建長寺釈宗活師から「咄哉(とっさい)」という画号をもらったのだが、その号の意味がさっぱり解らず、以後8年に渡って参禅したと言う。しかも探究心はそれに留まらず、ついには南画研究と禅修行の為に、朝鮮半島に渡ったというほどである。その後は川崎北部の里山に住み着き、身近な自然のなかにモチーフを求めていった。 
*********************************



著名な画家の作品を蒐集するのは投資してはいいのでしょうが、当方はこのようなあまり著名でない画家の佳作に大いに魅力を感じます。



昭和36年田中以知庵遺作展追悼文(原文のまま一部抜粋)には他の画家の下記のような文章があります。

竪山南風:「無辺に根底を持つ瀟洒なそして清潔な良さがあり淡薄な表現の内、豊かなる情趣を湛えて凡手では倣い難い風格をもっていた。」                

奥村土牛:「古典の造詣深くその作品から受けるあの淡々とした線描色彩の中から尽きぬ味と力がある」                                   

松林桂月:「実に瀟洒風流淡雅温和の気が何れの画面にも横溢して、何とも言へない一種の風格と多様の趣味とに魅せらるのであった。」

当方にて蒐集した2000作品ほどの掛け軸、ガラクタ揃いながら見ていて飽きがこないのですが、保管の場所の都合で遠方に保管せざる得ないのです。貸ロッカーやトランクルームでは保存状態が悪いこともあります。

                    

「男の隠れ家」に保管すると見たいときにみれないという欠点がありますので、保管データを本ブログなどにて保存しておくことが重要になります。



最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。