去年も一度やったのだが、今年もその季節到来。
と言っても、鮭の季節ということではなく、バジルが
「最後の勢い」を迎えているという意味での季節だ。
いつものトマトと合わせるだけでは、流石に飽きる。
そこで何か違うものはないかと去年思いつき、やって
みて、思いのほか美味くてそろそろ今年も、というこ
とになったのだ。
確か去年は、自家製の「ジェノヴェーゼ」を使ってし
まおうという事情があった。
今年は、まだその段階ではなく、フレッシュバジルが
一杯あるという状況なので、そのバジルをたっぷり使
うことになった。
パスタは「フェデリーニ」。
去年は「スパゲティーニ」だと思った。
何故「フェデリーニ」に変わったかというと、湯で時
間が短くて済むという、それだけの理由。
鮭は普通に売っている「塩鮭」。
今のはあまりしょっぱくないので、そのまま使う。
普通に焼いて、身をほぐす。
後は、オーソドックスな作り方で、ニンニク少々オリー
ヴオイル、アンチョヴィペースト、ほぐした鮭、白胡椒
で味付けだ。
最後の仕上げに、たっぷりのバジルをざっと合わせ出来
上がり。
塩はアンチョヴィと鮭の塩分のみ。
今年は更に、お皿に持った後「ロケット」(これも勢い
良く成長している)なんぞを散らした。
まるで、どこかの店のパスタだ、と一人ほくそえんだが、
味のほうはどうなのだろうと一口食べると、結構この「ロ
ケット」(イタリアだとなんて言ったか、また忘れてし
まった)が効果的で、いいアクセントになっている。
勿論、バジルは鮭と合う。
つまり、今年も充分美味しい「鮭のフェデリーニ」が完
成したというわけだ。
塩鮭も、こういう風に使うとお洒落な一品になる。
元々そんなに好きではないものだが、自分で言うのも何
だが、これだったら食べたい。
と、今思い出した。
「ルッコラ」だった。
この名前も「しょっちゅう忘れる単語」の一つだ。
間違いなく年々そういうのは増えている。
そう言えば、先日スノッブなM氏と話していた時、フリッ
ツ.ラングの映画のタイトルがお互いに思い出せなく難
渋したのだが、そんなのは別に珍しいことでもないの
で良いのだが、ある地名が出てこなかったのは非常に
気分が悪かった。
その地名はエリック.ロメールの「モード家の一夜」の
舞台になっているところで、こんな例を出したって殆ど
の人はピンと来ないのは分かっているが、M氏は一通り
知っているのでそう聞いたのだった。
こちら以上にぼけているM氏は勿論分からなかった。
地中海に面した、スペインの国境に近い方の、大学のあ
る都市だよ、ほら、ということになるのだが、結局埒が
明かず分からずじまい。
これも後でふっと思い出した。
正解は「モンペリエ」。
よく、一生懸命思い出そうとすることが脳の活性化につ
ながる、などという言い方をするが、あれは本当か。
それに倣えば、毎日している筈なのだが、どんどん思い
出せないのが増えるのは一体どういうことだ。
その後確認してみると「モンペリエ」は「モード家の一
夜」とは関係ないことが分かった。
「モンペリエ」が舞台なのは、何の映画だったんだ。
こちらは、とても思い出せそうにない。