毎週足を運ぶ書店の文庫本コーナー。
平積みになっている新刊のエンド台を眺めていると、ふと気になるタイトルがあった。
カバー背面の荒筋を読んでみる。
う…ん、気になるねぇ…。
新門辰五郎、幕末を舞台にした歴史小説や時代物に度々登場する人物だからその名は知っている。
江戸町火消『を』組の頭であり、勝海舟や十五代将軍慶喜とも親交が深かったとか、彼の娘が慶喜の愛妾だったとか、多少は聞き及んでいる(…読み及んでいるというべきか…)。
その新門辰五郎を主軸に据えた作品っていままで読んだことがなかったねぇ。
よし、買いだ
火事で両親を失った飾職の息子中村金太郎が、町火消『を』組の頭町田仁衛門に拾われて成長し、纏持ちになり、仁衛門の後をついで頭となり、そして十番組頭取となるまでが、まずはプロローグといえそうな部分。
この短いなかでも
う~ん、金太郎、好い漢だねぇ…
と思わずにはいられない場面が多々ある。
そして、読み進めていくと…。
… 盲目の按摩で仕込み杖の遣い手で…、って、え゛ぇぇ~、座頭市ぃぃ
…国定村にござんすぅぅぅ って国定忠治ぃぃぃ
土方ってぇお大尽とこの、末っ子ぉぉぉ って土方歳三ぉぉぉ
…遠山左衛門尉影元…って遠山の金さんっ…
ってな具合に誰だって三度や四度や五度や六度やそれ以上にも耳にしたことがある幕末の有名人がわんさか登場する。
中には名前だけが登場人物の口から語られるってのもあるけど、まぁ…
帯の宣伝文に
『動乱の幕末に現れた、綺羅星の如き侠たち』
とある、まさにその通り。
この“侠”(=おとこ)というのは、かつての東映やくざ映画描くところの“任侠の男”というのとは違う。
命を守り人を守り町を守り世の中を守る、そういう男なんだな、現代ではほぼ絶滅したようだけど…
みんな懸命に生きている、生きよう、生かそうとしている。
爽快である。
ここぞという場面の背景として描かれる火消衆の声を揃えた木遣り。
先頭に辰五郎、その後ろに居並んだ揃いの印袢纏の漢たち。
その景色が舞台の1シーンとなって目に見えるようだ、好いなぁ~~~
あ~、ご飯を食べる時間がもったいない、寝る時間がもったいない、とついつい読み続けてしまった
『慶応水滸伝』 柳蒼二郎著 中公文庫
幕末維新の動乱期に勝海舟や徳川慶喜を支えて乗り越え、生きた好漢の一代記である。
あ~、印傳の皮袢纏かぁ…、いいなぁ…、いいなぁ…。
印傳は無理でも、せめて『を』の字染め抜きの印半纏を手に入れたいものです。
平積みになっている新刊のエンド台を眺めていると、ふと気になるタイトルがあった。
カバー背面の荒筋を読んでみる。
う…ん、気になるねぇ…。
新門辰五郎、幕末を舞台にした歴史小説や時代物に度々登場する人物だからその名は知っている。
江戸町火消『を』組の頭であり、勝海舟や十五代将軍慶喜とも親交が深かったとか、彼の娘が慶喜の愛妾だったとか、多少は聞き及んでいる(…読み及んでいるというべきか…)。
その新門辰五郎を主軸に据えた作品っていままで読んだことがなかったねぇ。
よし、買いだ
火事で両親を失った飾職の息子中村金太郎が、町火消『を』組の頭町田仁衛門に拾われて成長し、纏持ちになり、仁衛門の後をついで頭となり、そして十番組頭取となるまでが、まずはプロローグといえそうな部分。
この短いなかでも
う~ん、金太郎、好い漢だねぇ…
と思わずにはいられない場面が多々ある。
そして、読み進めていくと…。
… 盲目の按摩で仕込み杖の遣い手で…、って、え゛ぇぇ~、座頭市ぃぃ
…国定村にござんすぅぅぅ って国定忠治ぃぃぃ
土方ってぇお大尽とこの、末っ子ぉぉぉ って土方歳三ぉぉぉ
…遠山左衛門尉影元…って遠山の金さんっ…
ってな具合に誰だって三度や四度や五度や六度やそれ以上にも耳にしたことがある幕末の有名人がわんさか登場する。
中には名前だけが登場人物の口から語られるってのもあるけど、まぁ…
帯の宣伝文に
『動乱の幕末に現れた、綺羅星の如き侠たち』
とある、まさにその通り。
この“侠”(=おとこ)というのは、かつての東映やくざ映画描くところの“任侠の男”というのとは違う。
命を守り人を守り町を守り世の中を守る、そういう男なんだな、現代ではほぼ絶滅したようだけど…
みんな懸命に生きている、生きよう、生かそうとしている。
爽快である。
ここぞという場面の背景として描かれる火消衆の声を揃えた木遣り。
先頭に辰五郎、その後ろに居並んだ揃いの印袢纏の漢たち。
その景色が舞台の1シーンとなって目に見えるようだ、好いなぁ~~~
あ~、ご飯を食べる時間がもったいない、寝る時間がもったいない、とついつい読み続けてしまった
『慶応水滸伝』 柳蒼二郎著 中公文庫
幕末維新の動乱期に勝海舟や徳川慶喜を支えて乗り越え、生きた好漢の一代記である。
あ~、印傳の皮袢纏かぁ…、いいなぁ…、いいなぁ…。
印傳は無理でも、せめて『を』の字染め抜きの印半纏を手に入れたいものです。