■ 中国バブルはとうとう弾けるのか? ■
中国という国は「白髪三千丈(はくはつさんぜんじょう)」の国だけあって、
とにかく数字が大きくなる傾向があります。
伝統的に数字を「盛る」文化なのですね。
ですから、経済統計も、地方の末端から中央に上がって来るあいだに
地方政府の担当者達が、少しずつ「盛って」しまいす。
先日も、地方当局が工業生産を4倍近くに過大報告していたことが判明しましたが、
これって、もう水増しのレベルでは無くて、水の方が主体になってますから・・・。
まあ、そんな国の事だから、経済統計から景気の実態が分かり難いのですが、
それでも、「不動産バブル」が深刻化している事は確かです。
今まで、バブル崩壊をどうやって食い止めていたのか疑問ではあるのですが、
「負債を隠す」なんて事は平気で行なわれているのでしょう。
■ システム障害って、「取り付け騒ぎ」でしょう? ■
「影子銀行」抑制の為の緩和縮小は、短期金利の急上昇や、
周辺アジア地域からの、資金回帰という現象を生んでいます。
特に、銀行間短期金利が急上昇した事は、
小さな地方銀行などの資金調達が難しくなっている事を意味します。
昨日、中国国内でATMのシステムトラブルが報道されていますが、
これは、地方銀行などで、「取り付け騒ぎ」が起きているのでは無いかと疑われます。
中国中央銀行は、金利上昇後、1行だけに資金供給をしていましたが、
昨日は複数の地方銀行に現金を投入した模様です。
要は、地方の中小の銀行から信用不安が拡大し始めているのです。
こういった小さな危機が重なっていくと、信用はどんどん収縮して行きます。
今までの信用拡大が異常だったので、収縮過程で金融システムは深刻な状態に陥ります。
ただ、リーマンショックは実体の無い債権や証券に
レバレッジを掛け捲って投資した危機であるのに対して、
中国バブルは、典型的な土地や開発バブルなので、
バブル崩壊の規模としては、GDP比にすれば日本のバブル崩壊に誓い規模かも知れません。
「影子銀行」の保有する債権が破綻して、借金棒引きの様な状態で、
「影子銀行」の投資者達が被害を被る結果に終わるのかも知れません。
銀行も経営内容の悪い銀行は淘汰され、
健全な銀行は政府がしっかり保護するのでは無いでしょうか。
■ 問題はチャイナマネーの逆流 ■
問題はチャイナマネーが流入していた国々から、これが引き上げられる事です。
シンガポール、マレーシア、香港、台湾、フィリピンなどでは
資産市場が相当落ち込むはずです。
日本とて例外では無く、都市部や観光地に流入していたチャイナマネーに影響を与えます。
尤も、中国の場合、共産党幹部など富裕層は危機に際しては
われ先に資産の海外逃亡を図るでしょうから、
東京などはむしろその受け皿となる可能性もあります。
資金と一緒に共産党幹部の妻子らが逃げて来るのでしょう。
■ 何故この時期にFRBと足並みを揃える必要があるのか? ■
問題は、「何故この時期に?」という疑問です。
バブルが崩壊寸前なのか、それともFRBの緩和縮小に歩調を合わせたのか?
私は習近平は太子党で、上海閥とも関係が深いので、
その金融政策は、アメリカの意向をある程度反映するものだと妄想しています。
特に米中首脳会談の直後だけに、そこで8時間も何が討議されたのかが気になります。
世間では、CIAによる情報収集問題で米中が反目している様に思われていますが、
どうやら、金融に関しては、完全に歩調を合わせている様に感じられます。
今回はFRBの緩和予測でアメリカからの投資が中国市場から引き上げた結果、
中国で資金の逆転が生じたと見るのが時系列的は正しい見方です。
通常なら、中央銀行が資金供給してショックを和らげる場面ですが、
中国中央銀行は、逆に引締めを行って、流動性が欠如する様に誘導しています。
では、その目的とは何か?
常識的に考えれば、FRBの緩和縮小の影響を軽減する目的・・・そう考えます。
FRBの緩和縮小が景気回復の結果であるならば、ドルは値上がりし金利が上昇します。
中国としては、それを待ってから緩和縮小しても何ら問題は有りません。
その方が、中国経済への影響も軽微です。
そう考えると、現時点ので引締めは逆効果しかありません。
では、FRBの出口戦略が失敗するケースはどうでしょうか?
世界的な金融危機が発生する場合・・・・
中国バブルが最高潮から崩壊するのと、既に少し萎んでからプシューーとなるのが良いか。
アジア周辺国にとっても、少し調整された後の崩壊の方が被害は少ない様に思います。
非常に概念的ではありますが、「破裂」よりは「空気が抜ける」方が安全。
これは、中国のみならず、チャイナマネーの影響を受ける世界全体のメリットにもなります。
■ ソフトランディングかハードランディングか? ■
そろそろ世界経済はエマージェンシーサインが点滅し、
乗客たちは、ポケットからペンを抜いたり、
前傾姿勢の説明を聞いたりする状況でしょうか?
シティーバンクとバンカメがFRBに金融危機発生時の独自対策を提出したのも気になります。
世界がショックに備えようとしている時、
日本だけが年金資金と日銀資金で株の買い支えに余念がありません。
日本の国債金利は米国債金利と連動する傾向が強いのですが、
米国債金利がジワジワと上層を続けています。
そんな中、周回遅れの異次元緩和に突入した日本ははたして無事で居られるのか?
国内政治は参議院選挙に目を奪われて、ニュースも世界経済の変調を軽く扱っています。
当然、投資をされている方々は、戦々恐々とした状態でしょうが、
はたして、リーマンショック後の様に、ソフトランディングとなるのか、
それとも、今回こそはハードランディングとなるのか、
しばらくは、世界経済の情勢から目が離せません。
そして、危機はブラックスワン宜しく、全く意外な所から出現するはずです。