名古屋大学の小川克郎教授のグラフより
■ ヒートアイランド効果 ■
都市は大量のエネルギーを消費します。消費されたエネルギーは最終的には熱に変換され気温を上昇させます。特にコンクリートとアスファルトで覆われた大都会は、水の蒸発を阻害するので、温度上昇はさらに加速します。
興味深いグラフを名古屋大学の小川克郎教授らの研究チームが発表しています。都市の人口と最近100年間の気温推移の関係を表したグラフですが、人口1千万人以上の大都市の平均気温はそれ以下の都市に比べて顕著に上昇しています。
このグラフの説明を下記のサイトで読む事が出来ます。
http://www.mottainaisociety.org/mso_journals/vol3/ogawa_final.pdf
<サンプルの抽出条件の引用>
1) NASA/GISS 気温データベス(BD)の100年間のデータ
2) BD上の7364観測点の内、1283観測点を抽出
4) 観測年数が50年以下の観測点は除外
5) データ上の暴れ(ノイズ)の多い観測点は除外
6) データの欠けの多い観測点は除く
小川教授によれば、下記の傾向が見られるそうです。
1) 過去50年以内の気温変化が上昇した都市が64%、下降が36%
2) 最も温度変化が多い100都市の特徴は
A) 上昇は都市及び近郊
B) 下降は森林・山岳・広域農地
まあ、ヒートアイランド現象と聞いて私達が想像する通りの結果だと言えます。
ただ、100都市を200都市、500都市とした時にこの傾向が維持されるかは注意が必要です。
■ 観測点の選択には注意が必要 ■
このグラフを見る場合、「1千万人以上の人口の都市」の8都市のサンプルが何処かという点は確認する必要があるかも知れません。例えば、北半球の中緯度地域などに集中していれば、その地域の特異的な気温上昇を反映しただけという事も考えられます。
上の図は現在の人口1千万人以上の都市です。
下記は現在の人口上位15都市のリストです。青は中緯度(温帯)、赤は低緯度(亜熱帯・熱帯)です。但し、気温は標高や海洋の影響を大きく受けます。標高の高いメキシコシティーは低緯度でも気温は低めです。
1 東京 34,700,000
2 広州 26,400,000
3 ジャカルタ 26,000,000
3 上海 26,000,000
5 ソウル 25,600,000
6 デリー 23,700,000
7 メキシコシティ 23,600,000
8 カラチ 22,300,000
9 マニラ 21,900,000
10 ニューヨーク 21,600,000
11 サンパウロ 21,400,000
12 ムンバイ 21,200,000
13 ロサンゼルス 17,100,000
14 北京 16,900,000
15 大阪 16,800,000
温暖化を煽る人達は、データを恣意的に選択した疑惑が持たれていますが、温暖化を否定する様な研究においても、データの選び方で傾向が変化する事には注意が必要です。
「客観」を重んじる科学の分野でも、知らず知らずの内に「予測」や「願望」が欲しい結果を生んでしまうケースがあります。(故意では無くとも)ですから、科学の分野では多くの研究者が客観的に研究成果を検証する必要があります。
■ 注目すべきは近年気温低下の影響が見られる事 ■
上のグラフで注意すべきは、2000年以降の気温が顕著に下降傾向を示している事です。私達は日々の報道から、「気温は上昇している」と思いこんでいますが、実際にはNASAのデータでは気温は近年低下傾向にある様です。
上は小川教授が発表している太陽活動と気温の関係です。赤線が太陽活動、青線が平均気温、黒が二酸化炭素濃度です。
気温の変化が太陽活動の影響を受けている事が良く分かります。一方、二酸化炭素は近年新興国の発展で増加していますが、2000年以降、二酸化炭素濃度と気温推移の相関は逆相関になっており、「温暖化仮設」が既にオワコン状態である事を証明しています。
上のグラフは都市化の影響を除外する為に、人口1000人以下の観測点の平均気温の推移と二酸化炭素濃度の推移を比較したものです。この間に正の相関が見られるの、1980年から2000年の間です。これは、「二酸化炭素による地球温暖化仮設」がブームになった時期と一致します。
結局、「温暖化仮設」とは、極々短期的な現象を針小棒大に解釈しただけの事だったのです。私が小学生だった1970年代は気温が低下していた時期でしたので、TVなどでも「地球がこもまま寒くなったら氷河期になる!!」などという煽情的な番組が放映されていましたが、「温暖化」はこれと何ら変わらない騒動だったと言えます。
「最新のスーパーコンピューターによる予測」などと言われると人々は信じてしまいますが、そのシミュレーションの中には、温暖化ガスの90%以上を占める水蒸気はパラメーターとして含まれていません。こんなシミュレーションは、始めから「現実の自然」を無視した御遊びでしか無いのです。
研究者本人がその事を一番理解していますが、ICPPとその周辺の研究者達は、不都合な研究結果を握り潰して来た集団ですから、彼らは確信犯であって、純粋な研究者とは言えません。
■ LED光源や太陽電池など、温暖化ビジネスはある意味成功を収めた ■
経済の発展の為には、新しいイノベーションが不可欠です。しかし、近年はコンピューターとIT化の発展以降のイノベーションが枯渇しています。特に、製造業やプラントなど大きな金額が動く分野のイノベーションが枯渇していました。
「温暖化問題」は、これらのイノベーションが不足した分野に強引に変化をもたらしました。太陽光発電やLED光源、ハイブリットカーなどは、エネルギーの無駄遣いを解消する技術ではありませんが(ライフサイクルコスト的に)、しかし、ビジネスとしては新しい分野が発展して、しっかりと経済に貢献しています。
工場やオフィスの省エネ化も、古い設備の更新を大きく後押しして経済成長の一助となっています。
この様に、温暖化ビジネスはしっかりと成果を残していますし、日本における急速なLED光源化の進展には目を見張るものがあります。(原発停止が最大の要因ですが)
結局、「地球温暖化」は「ダイオキシン」同様にビジネスのネタであり、あるいは国際政治の駆け引きの道具であり、排出権という金融商品を生み出す装置であったと言えます。
■ 誰も反省しないし、誰も総括しないでフェードアウトするであろう ■
似非化学の常で、「地球温暖化」も、地球の平均気温の低下的候が顕著になれば段々とフェードアウトして行くでしょう。そしてある時期からは、「地球寒冷化」が新聞紙面を賑わすかも知れません。ただ、地球の巨大な営みに対して人間の出来る事は皆無に等しい。
一部の人は、「二酸化炭素を沢山排出して地球を温暖化させよう」などとジョークにもならない事を真顔で主張し始めるかも知れませんが・・・。
ただ、私は執拗な性格なので、温暖化の旗振りをした研究者達が、今後10年、20年をどういう研究するのか興味深く見守っていたいと思います。
最近は科学とビジネスは不可分になっており、生命工学や再生医療の大発見は、ベンチャー株の急騰と言う形で、研究者の利益に直結するケースも出て来ています。
科学が「純粋」であった時代は終焉したのかも知れません。