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オネダリする市場・・・ECBを量的緩和に追い込む為に

2014-12-17 06:17:00 | 時事/金融危機
 

■ 世界的株安が止らない ■

世界的株安が止りません。

1) 原油暴落
2) ルーブル暴落

これらが理由として挙げられてていますが、本当の理由はこちらでは無いでしょうか?



http://lets-gold.net/chart_gallery/soros_chart.php より

アメリカは昨年来テーパリングを開始して今年10月にQE3を終了しています。その結果ドルのマネタリーベースは減少に転じています。このグラフには日銀の追加緩和が含まれていませんが、やはり市場から投資資金は少しずつ減少しているのでしょう。

日銀の追加緩和はドルの減少の影響を補完するタイミングで発動したと思われますが、その多くが日銀当座預金にブタ積みされているので、市場に出回る資金はドルと円を合わせても減少していると思われます。

結果的に市場の資金量が減少して、リスクの高い市場から順に相場が下落していると考えるのが妥当かと思います。

1) 需給が悪化した原油市場からファンドなどの資金が消える
2) 日銀の追加緩和前までは株式市場からも資金逃避が起きた
3) 追加緩和を切っ掛けに株式市場が持ち直し、現物市場から流出した資金の受け皿になる
4) さすがにダウが18000ドルに達するとリスクが意識され株式市場が調整に入る

かんな感じになっているのではないでしょうか?

■ ジャンク債市場で資金調達をしていたシェール革命が崩壊寸前 ■

リーマンショックからの回復期、ジャブジャブと供給される緩和マネーの恩恵を一番受けたのはジャンク債市場でしょう。本来はリスクの高さから金利が高い社債などが、緩和的金融政策で金利が低下した他の投資に比べて金利が高い事が好感され、ジャンク債に人気が集まりました。リスクのある債権の金利が5%程度にまで下がります。

このジャンク債市場で盛んに債権を発行して資金調達を行っていたのがシェールガス開発企業です。シェールガスやシェールオイル自体は70ドル/1バレルでは採算が怪しい資源ですが、ジャンク債市場を通して流入する資金で次々とガス井を開発し、シェールオイルを売却して返済に充てるという自転車操業を繰り返していました。

シェールガス開発が急ピッチで進んだ為、備蓄の出来ないガスが市場に大量に流通する事でアメリカでのガスの価格は急落し、シェールガスは採算が取れない状態でしたが、採掘初期に採れるシェールオイルの売却で、どうにか体裁を取り繕い、ジャンク債市場から開発資金を調達していたのです。

これらのジャンク債の内、CBOという合成債権に姿を変えて市場を流通しているものも多く、まさにサブプライムショック同様に、シェール関連企業が破綻した場合、ジャンク債市場に少なからぬ影響を及ぼします。

昨今の原油安でシュール開発企業はどこも経営破綻する可能性が高いので、これらの企業の社債はデフォルトする可能性が高くなっています。

■ 濡れてに粟の石油メジャー ■

シェール開発会社が破綻すれば、彼らが獲得していた採掘権や採掘施設が投げ売り状態になるでしょう。石油メジャーは破格の値段でこれらを手に入れ、原油価格の値上がりを待てば、莫大な利益を手に入れる事が出来ません。

いわば、石油メジャーは、開発リスクを独立系のシェール開発会社に負わせ、投資リスクをジャンク債への投資家に負わせる事で、タダ同然でシェールガス(オイル)という資源を手に入れる事になります。

メキシコ湾の海底油田などでも独立系の開発会社が開発した後に、石油メジャーに買収されるケースが多く、「シェールガス革命」は始めから仕込まれていたと考える方が自然に思えます。

原油価格はヘッジファンドなどを利用してコントロール可能ですから、シェールバブルが崩壊し始めた今、原油安にする事でトドメをさすのかも知れません。シェールバブル崩壊の責任は原油安に押し付けて、投資家達は煮え湯を飲む事になるのでしょう。

■ ロシアを使って間接的にヨーロッパを攻撃する ■

限りなくヤラセ臭いウクライナ情勢を利生してアメリカは欧州とロシアを分断しました。ロシアの消費への依存度が高いヨーロッパ経済はこれにより失速しました。

アメリカのQE3終了時期に日銀同様、ECBも量的緩和を検討していましたが、ドラギ総裁の独走とされ、量的緩和は実施あれていません。しかし、ヨーロッパ経済の不調はECBをジリジリと量的緩和に追い込んでいます。

リーマンショック以降、ECBは年末に重大な金融政策の変更を発表しているので、もしかすると年末までに量的緩和に踏み切る可能性は低くは無いと思います。

■ アメリカの金融政策の半年前に混乱する市場 ■

FRBのテーパリング実施の時もそうでしたが、アメリカの重大な金融政策の変更の半年前位に市場が一度リスクオフの流れに偏る様に思います。これは過剰なリスクを先に整理させて、来るべき金融政策をスムースに乗り切る為の戦略の様にも感じられます。

いずれにしても、どこかで株貨も原油価格も底を打つと思いますが、その切っ掛けはECBの量的緩和だと予測しています。

ギリシャ国債やイタリア国債の金利がジリジリ上がって来ましたが、これは市場からECBへのオネダリでは無いでしょうか?

■ ECBは当座預金金利をマイナスにしているので資金は市場に流れる ■

日銀の量的緩和は財政ファイナンスの隠れ蓑なので市場の期待とは裏腹に、その資金の多くは日銀の当座預金にブタ積となり、日本国債の購入資金に当てられています。

一方、ECBは当座預金金利をマイナスにしているので、ECBが量的緩和に踏み切った際には、その資金はスムースに市場に流れて行くと思われます。この時、ユーロが下落していた場合、実質金利の差が広がるので資金はドルに集まります。

アメリカはウクライナ情勢やヘッジファンドによる南欧債攻撃などを上手く利用して、ECBをジワリジワリと追い込んでいます。

・・・ドイツは日本程弱腰で無いので、はたしてアメリカとヨーロッパの寝技合戦の結果やいかに・・・。

寝技だったらプーチンも負けていない・・・・。下手をすれば返り討ちで絞め落されるのはアメリカだったりして・・・。ルーブルの自爆攻撃なども要注意です。経済崩壊にロシア国民は慣れっ子ですから。