人力でGO

経済の最新情勢から、世界の裏側、そして大人の為のアニメ紹介まで、体当たりで挑むエンタテーメント・ブログ。

映画並みのクオリティー・・・『野狐禅』の初期作品PV

2014-12-26 15:21:00 | 音楽
 



野狐禅の記事を書いたついでにネットを徘徊していたら、竹原ピストルがメジャー再デビューを果たした事を知りました。ついでに最新アルバムをポチットしてしまいました。



冒頭のRainは「え、これが竹原ピストルル?!」って驚く程スマートな曲調とアレンジ。70年代に活躍したフォークシンガーが、シャレたエレクトロニックなアレンジでお化粧直しされてヒットを飛ばした80年代のアメリカを思い出してしまいます。ただ、彼らはMTVブームが去るとギター一本のシンプルなステージに戻って行きましたが・・・。

『カモメ』や『不完全燃焼』など過去の名曲が散りばめられたベストアルバムですが、軽いノリの曲も多いので、かつての野狐禅のアルバム程、お腹イッパイにならない点は一般受けするのかなとも思います。


ただ色々と人生経験を積んだであろう彼の歌を聴いているうちに、やはりデビュー当時のPVを観たくなってしまうのは何故なんだろう。

PVの監督は「ぴあ」のフィルムフェステバルでデビューした熊切和嘉(帯広出身)。海外の映画祭で評判の高い監督です。日本映画のエッセンスが凝縮された様なPVは再編集されて短編映画の『遡河魚』としてDVDとして発売された様です。

この3本のPV、凄いですよ。下手な映画なんて目じゃない。

特に『カモメ』は、短編映画賞を差し上げたい程の出来栄え。
主演は寺島進さんですね。このヤサグレタ感じ・・・たまりません。小物のチンピラを演じさせたら彼の右に出る人は居ないのではないでしょうか?

共演は私のNO1日本映画、『帰郷』(監督:萩生田宏治)で西島秀俊と共演していた片岡玲子。

『ぐるぐる』



『かもめ』



『東京紅葉』



誰か、高画質でお願いします!!



ちなみに短編映画の『遡行魚』はこちら。

http://nviewer.mobi/player?video_id=sm1804783


「鮭」を「タイ」と読み違えたシーンが、前半の映像に繋がっていて・・・涙腺を直撃します。上のPVは時系列で並べてみましたが、『遡行魚』は現代から過去に時間と川を遡って行きます。


「低金利の罠」・・・本業が赤字化する銀行

2014-12-26 09:45:00 | 時事/金融危機
 

■ 「総合金利ザヤ」がメガバンクでもマイナス ■

「総合金利ザヤ」とは銀行が調達した資金を貸出しでどのくらい金利が得られるかを表す数字ですが、銀行の本業の利益率とも言えます。実はこの「総合金利ザヤ」が多くの銀行でマイナスにうなっています。三菱東京UFJ銀行やみずほ銀行というメガバンクですら、マイナスという事態・・。

■ 貸出金利が下がり過ぎた結果 ■


「総合金利ザヤ」がマイナスになった原因は、貸出金利が下がり過ぎた為です。

日銀の異次元緩和によって銀行には資金がジャブジャブに余っています。その資金が民間にどんどん貸し出されて景気を刺激するというのが「リフレ論」者の主張ですが、実際には全く逆の事が起きています。

1)大量の資金が住宅ローンなど担保の取れる融資先に集中する
2)貸出しの過当競争が発生して優良貸出先の金利が極端に低下する
3)一方、リスクのある投資案件では十分な金利が確保出来ないので投資が滞る
4)貸出しによる金利ザヤがマイナスで、日銀の当座預金の金利0.1%が魅力的に映る
5)ゼロリスクで金利が稼げる日銀の当座預金に資金が積み上がる

「リフレ論者」の主張とは裏腹に、金利が下がれば下がる程、リスクに見合った利益が確保出来なくなる銀行は、担保の充分でない案件の貸し出しを渋ります。結果的に日本経済は成長するどころか後退している様に感じます。

さらに

6)リスクが同程度ならば海外投資の方が金利収益が圧倒的に高い
7)円安によって為替差益も期待できるので国内資金がどんどん流出する

結局、異次元緩和による円安によって、国内で運用されるべき資金はアメリカなどの国外で運用され、日本国内の経済を刺激出来ないのです。儲かるのは金利収益の得られる資産家だけで、国内経済の落ち込みは庶民の生活を圧迫します。

これが「低金利の罠」です。


■ 「リフレ政策」や「異次元緩和」といった超緩和的金融政策はデフレを引き起こす ■

日本は平成バブルの崩壊以降、緩和的金融政策や量的緩和など秘伝統的金融政策を続けて来ました。

その結果はデフレ脱却どころか、デフレを長引かせただけというのは現在の日本の状況が証明しているのでは無いでしょか?

「いやいや、異次元緩和以降インフレ率は上がっているじゃないか!!」と突っ込まれそうですが、これは円安による輸入価格の上昇が原因で、国内経済の成長率は低いままです。昨年前半の景気回復は「期待」と補正予算の効果が表れただけで、その後「期待」は剥離しています。

緩和的金融政策がデフレを招く傾向は日本に限った事では無いかも知れません。リーマンショック以降、狂った様にマネタリーベースを拡大したアメリカでもインフレ率は鈍化しており、ヨーロッパもデフレに突入しつつあります。

■ 資産市場の過熱が実体経済を冷ます ■

海外における緩和的金融政策の弊害は「資産市場の過熱感」の副作用だと私は考えます。

ジャブジャブに供給された資金によって崩壊しかかった市場は復活し、ダウに至っては史上最高値を更新しています。

これは緩和資金がてっとり早く金利を稼ぐ為に資産市場に集まって来た結果です。本来は実体経済に回るべき資金が資産市場でインフレを引き起こしているのです。

現物市場に流入していた資金は原油価格や鉄鉱石や銅などの価格を需給バランス以上に押し上げていました。原油は40(ドル/1バレル)が均衡点とも言われていましたが、リーマンショックでこの水準に下落した後、再び100ドル台を続けていました。ところが、アメリカの利上げを意識したリスクオフで現物市場から資金が逃避した瞬間に原油価格は適正価格に向けて下降しています。これは緩和資金が資産市場でインフレを起していた事を裏付けます。

同様にジャンク債市場や株式市場もインフレ状態です。ただ、お金は儲かるうちは一番勢いのある市場に集まるので、何かの切っ掛けがあるまではダウは強気な値動きを続けると思われます。(18000ドルに乗せても調整は限定的でした。クリスマスという事も有りますが)

一方、資産市場のインフレが過熱すれば過熱する程、実体経済に流れる資金は減少します。アメリカの景気回復が弱弱しいのはこれが原因かと思われます。実体経済への投資で得られる金利が、資産市場への投資に比べて低すぎる事が景気の回復を遅らせている原因では無いでしょうか。

■ そろそろ「低金利の罠」に気付き始めた人達が居る ■

伝統的な経済学では金利が下がれば資金需要が増えて景気は回復すると信じれられ来ました。非伝統的に思われがちな「リフレ論」や「マネタリスト」は、伝統的な経済学を過剰に解釈した延長戦上に存在します。ですから彼らの思考では、量的緩和で実質金利をマイナスに誘導すれば景気は回復するはずです。

しかし、実際には実体経済を回復軌道に乗せる事が出来ていません。(貨幣現象としてのインフレは起こせますが・・・)

低金利になればなる程、投資のリスクが貸出し金利に見合わなくなる「低金利の罠」は、実際の銀行の貸し出し業務をやられている方ならば薄々気づかれているかと思います。「闇株新聞」さんなど、一部の実践派の経済評論家も最近では「低金利の罠」を主張されています。

この様に現場の感覚や生活実感を持った人達は「低金利の罠」に気付き易いのですが、一方で従来の経済学にドップリ浸かった経済学者の方々は、異次元緩和の効果を疑問視する事はあっても、なかなか異次元緩和こそがデフレや景気低迷の原因だとは思い至らない様です。

私の様な素人が何を言っても説得力は無いのですが、日本や世界の現状と将来が、きっと「低金利の罠」を証明する事になるのでしょう。尤も、その前に金融市場が崩壊して原因がウヤムヤにされてしまう可能性が高いかも知れません。


ダウが大台に乗った事で、クリスマス休暇明けの米株の動きが皆さん気掛かりかと思います。アメリカの利上げまでは調整はあっても崩壊は無いと予想しますが、いつも外れる人力予想ですから・・・。