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「オスプレイまたもや墜落」のウソ・・・人は見かけで判断する

2015-05-24 10:16:00 | 時事/金融危機
 


■ あなたならどちらのヘリコプターに乗りますか? ■






20XX年X月X日。東京をM7.8の直下型地震が襲いました。多くのビルが倒壊し、火災も発生する中で、あなたは命からがら逃げ伸びました。救援を待つあなたの前に、米軍の2機のヘリコプターが飛来しました。

1機はオスプレイ。そしてもう一機は一般的な大型のヘリコプターです。この2機に分乗して避難する様に指示がありました。人々の間に緊張が走ります。「おい、オスプレイって大丈夫なのか・・・?」

人々は普通のヘリコプターの前に長蛇の列をなし、オスプレイに並んだ人はほんの少しです。結局、普通のヘリコプターに乗りきれなかった人達がしぶしぶオスプレーに乗る事になりました。エンジン音が高まる中で、オスプレイに乗った人達の間に緊張が高まります・・・。

ちなみに普通のヘリコプターの名前はCH-53E。通称「スーパースタリオン」。米軍の大型ヘリコプターで、日本でも自衛隊が6機運用しています。

■ オスプレイを選んだ人が正解!! ■

実はCH-53Eスーパースタリオンは米軍で2012年に2機、2014年にも2機が墜落して、問題点検指示が出されています。1981年から部隊配備されたスーパースタリオンは機体の老朽化が進んだ事もあり、事故が頻発しています。自衛隊では11期が配備されましたが、現在稼働しているのは6機、1995年に一機が事故で失われています。

一方、オスプレイの事故は今回のハワイの事故が前回のモロッコの事故から3年目になります。導入当初はトラブルの多かったオスプレイですが、だんだんと安定して来ている様で、重大な事故率は10万時間飛行当り2.12件。海兵隊機の平均が2.5件ですから、これは平均的な数字と言えます。

■ 慣れない見た目 → 墜落するのでは無いか? ■

配備当時はアメリカでも「未亡人製造機」などと揶揄されたオスプレイですが、現在は200機あまりが配備され運用されています。最早、普通のヘリコプターの一機種です。

人は見かけに左右されます。オスプレイは従来のヘリコプターとは違う見た目をしているので、「きっと堕ちるに違いない」という潜入感が働きます。アメリカでも導入当初はそういう意識が働いたはずです。

しかし、重大事故率が普通の軍用機と同程度である事から、次第にオスプレイを特別視する報道は消えて行きます。

日本では目新しさも手伝ってマスコミが恰好のネタにしていますが、導入されてしばらくすればニュースのネタにはならなくなります。

■ 老朽化した機体が頭の上を飛び回っている方が怖い ■

冒頭でオスプレイと比較してスーパースタリオンですが、積載重量を稼ぐ為に3機のエンジンを積んでいます。その為、構造が複雑化しており、部品が増えればそれだけトラブルも増えます。

さらに実践投入してから時間が経つので、老朽化した機体が多く、これも事故率を上げる結果となっています。自衛隊は11機を導入しましたが、輸入機体という事も有り、保守パーツの手配に苦労している様です。現在は6機を運用するのみとなっています。



上の写真は御岳山噴火の際に活躍した陸上自衛隊のCH-47「チヌーク」ですが、実はベトナム戦争当時から活躍する機体です。現在飛行している機体がこの当時の物という訳では有りませんが、軍用ヘリコプイターの耐用時間が6000時間(25年)ですから、自衛隊のチヌークは老朽化した機体をどうにか運用している状況かと思われます。当然トラブルも増えて来ます。こんな老朽機が住宅地の上を日々飛行していても、人々は「恐怖」を感じませんが、オスプレーが飛行したら大騒ぎになります。(チヌークは良い期待ですが)

■ オスプレイの真価は航続距離の長さと飛行速度の速さにある ■

自衛隊の保有するヘリコプターは老朽化が進んでおり、耐用年数を過ぎた機体をメンテナンスで維持しているものも少なくありません。

次世代機としてオスプレーの6機の導入が決まりましたが、反対派は「普通のヘリコプターを導入しろ」と主張します。

ところがオスプレーでなければダメな理由が有るのです。

オスプレイはヘリコプターと飛行機の良いとこ取りをした機体です。ヘリコプターより航続距離は2~3倍、そして飛行速度は2倍です。これは実践で大きな意味を持ちます。

例えば、搭載艦船からオスプレイが発進して敵を攻撃する際、遠くから作戦行動に入れるので、搭載艦船の安全性は格段に高まります。

さらに、飛行速度が速い事は、作戦中やその途中で地対空ミサイルなどに撃墜される危険性を大きく低減します。

仮に将来的に自衛隊が戦闘うする様な事態になった場合、普通のヘリコプターとオスプレイでは、隊員の生還率に大きな差が生じるものと思われます。だからこそ、米軍は普通のヘリコプターからオスプレイへの転換を進めているのです。

■ 軍用ヘイコプターの墜落をニュースにしていたら、日々そんなニュースばかりになる ■

軍用ヘリコプターは度々墜落します。世界の国々で運用される軍用ヘリコプターの墜落をニュースで取り上げていたら、それこそ、毎日そんなニュースが報道される事になるかも知れません。これではニュースになりません。

オスプレイは目新しくニュース性があるからこそ、新聞もTVニュースもネタとして取り上げるのです。

ところが、どんなに国民が興味を持とうとも、軍事的にメリットが有るならば導入を止める事は難しい。安倍総理がアメリカでチャッチャと導入を約束して来ました。

結局、メディアも話題性が有るからニュースで取り上げるだけで、本気で導入を止める気など最初から無いのです。

メディアが取り上げるべきは、老朽化した機体の更新の為の予算をどうするかという問題で、この方が国民の安全に関わる重大問題です。しかし、地味な問題はニュース性に欠けますし、軍事費増額に繋がるので報道機関には扱い難い問題です。

この様に、私達が日々触れる報道は「大人の事情」によるバイアスが大きく掛っています。ネットの発達した現代においてはニュース報道の検証は容易です。私達は自ら記者を雇って現場を取材する事は出来まんが、ネットに散らばっている情報の断片から真実を見極める事は可能です。

多くの方が「報道批判」をする時代になりましたが、批判しても彼らが変わる事は有りません。変わるべきは情報の受け手である私達です。「メディアリテラシー」とは報道を疑う事から始まり、報道がいかに巧みに私達国民を誘導し、煽動しているかを見抜く事で、報道による洗脳を無効化する手法なのだと考えています。