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リスクを振るいに掛ける世界・・・利上げ前の調整

2015-07-09 07:52:00 | 時事/金融危機
 

先日、日銀は楽々と2万円を死守するだろうなどと書いた矢先の日経平均の大下落。イヤー、株の世界って怖いですね・・・。

 

■ 中国政府が株価をコントロール出来ない ■

上海株式市場の暴落の煽りで、昨日は日本株も大幅下落となり、ダウもそれに引っ張られています。NY市場はシステムトラブルで株の売場が一時停止したそうですが・・・サーキットブレーカーかと疑ってしまいます。

上海市場は中国政府の規制緩和や資金供給で強制的にバブル化していたので調整が入るのは有る程度予測されていました。ただ、いつもは大幅に下落しても政府が対策を発表すれば市場は沈静化し下落も止まっていました。

しかし、今回は政府が矢継ぎ早に対策を講じても下落を止める事が出来ず、上場企業の半数に近い1400社が売買を停止するというトンでも無い事態にまで発展しています。下落確実の株を売りたくても売れない状況に投資家達も唖然としているはずです。

中国市場は個人投資家の比率が7割以上と高く、当然、高度なリスクヘッジなどは講じていません。それどころか、あやしい所からお金を借りたり、自宅を担保に信用取引が出来る様になるなど、無茶苦茶な投資が行われていたので、相場が崩れてパニック売りが始まると手が付けられない状況になります。

■ 2万円を死守出来なかった日本株 ■

日本株は官製相場で下落してもすぐに戻る状況が続いていました。2万円を超えた辺りでさすがに目先の効く個人投資家達は手仕舞しているので、今回の下落で高みの見物を決め込んでいた人も多いでしょう。

ただ、日銀やGPIF、ゆうちょ、かんぽの資金で買い支えられた市場が、こうもあっさりと2万円を割って下落した事に驚いているのは私だけでは無いのでは?

上海市場で損失を出した中国人投資家達は、売買停止で売るに売れず、日本や他のアジア諸国で換金売りに走っている様です。中国人が日本株の現物を大量売りしている所に、ヘッジファンドが先物で仕掛けているようですね。そもそも上海市場の下落も彼らの仕掛けでしょう。

ギリシャ問題に端を発するユーロ安で円高になりやすいタイミングを見計らってヘッジファンドは日本株を売り抜けていますが、昨日はいつにもまして売り圧力が強かった様です。それでも2万円を少し割っただけで株価が踏みとどまるのですから、売り方のHFや外国人投資家にとって、日本株市場は濡れてに粟の夢の様な市場となっています。(空売りでボロ儲けとは行きませんが、確実に利益は確保出来ます)

一方、私達の年金積立金は短期的には利益が縮小しています。(株はインフレに強いので長期的には日本国債よりも安全でしょう)

■ 中国のバブル崩壊を警戒する世界 ■

中国経済はバブル状態ですが、理財商品や不動産市場の失速を株価の上昇で誤魔化してきました。この株価が崩れると、中国経済が本格的なバブル崩壊に突入する可能性が有ります。

中国政府はなりふり構わず株式市場の下落を止めようとしていますが、これがコントロール不能の事態に陥りつつある事に世界の投資家は恐怖を覚えています。

中国が本格的なバブル崩壊状態に突入したら、世界経済は道連れになります。

日本の消費を水増ししているインバウンド消費も消失し、東京のタワーマンションも暴落します。日本に限らず、チャイナマネーの流入で潤うアジア諸国の経済は一気に変調を来します。

既に原油価格は下落に転じていますが、その他の資源価格も一段と安くなるでしょう。

中国向け輸出の多い日本やヨーロッパの経済も直撃を受けます。巨大な中国市場とチャイナマネーの影響から世界は逃れる事が出来ないのです。

■ 上海の動向次第で日本株はさらに下落する ■

昨日ダウが大きく下げていますから、本日の日本株には相当な下落圧力が掛っています。これを公的・準公的資金で買い支える展開となるのでしょうが、問題は上海市場です。上海市場が今日も大きく下げる様だと、投資家達は世界経済の減速を予測して一気にリスクオフに走ります。

「中国のバブルはいつか崩壊する」と考える一方で「中国の経済は政府がコントロール出来る」という変な信用も有りました。この信用が試されています。

■ 米利上げ前に起きるいつものリスクの大掃除なのでしょう ■

今回の世界的なリスクオフが市場の暴落に発展するかと言えば・・・多分NOでしょう。

FRBの利上げを前にして、各中央銀行のトップは過剰リスクに対して警鐘を鳴らしていました。バーナンキがテーパリングの半年前にテーパリングを匂わせた時は、市場は一気にリスクオフに傾き「バーンナンキショック」が発生しました。

しかし、今回はイエレンやドラギの発言に対して市場は反応しませんでした。このまま過剰リスクを抱えたまま利上げに突入すると不測の時代も発生するかも知れません。

リスクを適当に整理する材料として、ギリシャ危機や上海市場の下落は良いタイミングで発生したとも言えます。

バーナンキのテーパリングも先送りされるという予測が有る中でサラリと実行され、市場は反応出来ませんでした。米利上げもこんな感じで、先送り観測が有る中で年末辺りにサラリと実行されるのでは無いか・・・そう妄想しています。