■ 風の無い日の館山は最高!! ■
昨日からの続き、本日は波乱の300Kmロングライドの後編です。
300Kmの中間地点の野島崎を順調に過ぎ、須崎に向かう館山の海岸線は小さな砂丘が連なります。風の強い日は、海側から砂ツブテが吹き付け、口の中までジャリジャリになるコースですが本日は微風。ハマユウの花が夏空を背景に咲いています。所々オニユリの鮮烈なオレンジ色が目を引きます。
■ 昔はマグロ漁獲日本一の布良の海 ■
洲崎に向かう途中、館山の地魚寿司で有名な富寿司の案内板が出て来ます。小さな漁村に有る知る人ぞ知る寿司屋です。おつか伺おうと思っていますが、本日は先を急ぎます。
富寿司の看板の少し先に布良崎(めらさき)神社という標識が出ています。国道側は裏手になるので見逃していましたが、少し覗いてみると立派な社が建っています。
参道は海側の集落に面しており、鳥居の正面には富士山が見えるそうです。
この布良崎神社は実はとても由緒ある神社で、神武天皇元年に神武天皇の命を受けた天富命が肥沃な土地を求めて阿波国へ上陸し、その地の布良崎に建てたのが安房神社だと言われています。安房神社は旧社格が、香取神宮と並ぶ「官幣大社」で非常に格の高い神社です。現在の安房神社は別の場所に遷移されていますが、その跡地に建つのが布良崎神社だそうです。
現在の社殿は火災や台風被害で消失した後に明治41年に建て替えられたものだそうです。
この布良崎一体は「マグロはえ縄漁発生地」(明治時代)だそうで、かつてはマグロの水揚げ日本一を誇った地でもあるそうです。当時は「海に黄金が湧く」と言われ、たいそう景気が良かった様ですが、現在は近海漁業を営む静かな漁村です。
■ 東京湾の入り口の安全を守る洲崎灯台 ■
布良崎を後にして直ぐに洲崎に到着します。ここには東京湾の入り口を示す洲崎灯台が有ります。何度か素通りしていて、一度寄ってみたいと思っていたので、本日初めて灯台まで行ってみました。
大正8年に点灯したこの灯台、三浦半島の剱埼灯台と対で東京湾の入り口を示します。洲崎が「赤灯」、剱埼が「緑灯」です。この二つの色の灯火で東京湾の入り口を船舶に示します。
洲崎灯台からは館山湾が一望できます。遠く富士山まで一望できますが、本日は靄で見えませんでした。
■ 西島秀俊主演の映画『帰郷』のロケ地 瀧淵神社 ■
洲崎灯台から館山までは10Km程度。館山を通過して、那古船形でちょっと寄り道です。
那古船形に「瀧淵神社」という小さな神社が有ります。この瀧淵神社は私の大好きな日本映画で、西島秀俊が主演した『帰郷』のロケ地です。
http://www.bitters.co.jp/kikyou/index.html (公式ホームページ)
母親の再婚で久しぶりに帰郷した晴男は、かつての女友達と再会します。彼女はシングルマザーとして少女と二人暮らしですが、その子が晴男の子だと匂わせます。動揺する彼に彼女は「きちんと会わせるから明日家に来て」と言います。翌日、彼女の家を訪ねると、少女が一人留守番をしています。そして、母親は帰って来ません・・・。
母親を探す事になった晴男と少女は、少女の記憶を元に母親の行きそうな場所を探します。近くのスーパー、母親の男の家、観光で行った海辺のレストラン・・・しかし母親は見つかりません。そんな奇妙な二人の時間の中で、晴男はほのかな父性愛を少女に抱きます。
途方に暮れた二人ですが、小さな神社のお祭りを楽しみます。その後、少女が熱を出し、神社の社務所に転がり込みます。
館山と南房総市一帯でロケが行われたこの映画、最期の神社のシーンのロケ地が那古船形の瀧淵神社です。(公式ページの撮影協力の欄では瀧斑神社となっていますが間違いでしょう)。とにかくこの映画の大ファンの私は、一度この神社に来てみたかった。
元々は館山湾に張り出した大房岬に大宝年間(701-703)に、修験道の開祖の役行者=「役 小角(えん の おづの)」が伊豆から夜な夜な飛来?して不動明王を刻んだ事を起源とする大武佐不動として人々の信仰を集めました。
大房岬は明治時代に東京湾を守る要塞となった為、現在の国道脇の地に遷移され瀧淵神社となりましたが、この時、役行者像や、石灯籠、狛犬などの石造物がこの地に移されます。
風化した石灯籠が歴史を感じさせます。
現在は小さな社のこじんまりとした神社ですが、お祭りには鞨鼓舞や棒術が奉納されるなど、房総地方の古い神社の歴史を色濃く残しています。
何だか、本日は観光ばかりしています・・・。
■ お腹が痛くなった・・・・ ■
那古船形を出発した辺りからお腹が痛くなり始めました。これは嫌な予感・・・。とりあえず浜金谷辺りまで行けば200kmなので、最悪はそこから電車に乗ってもイイかと思い、先を急ぎますが、力が入りません。
富浦、岩井、勝山を超えて、どうにか保田の「きょなん道の駅」まで到着して、トイレに駆け込みます。
激しいスポーツをすると下痢をする事が有りますが、本日はノンビリ観光をしながらの30Km/h巡航ですから体にそれ程負荷は掛っていません。ただ、午後からは暑い・・・とても暑い。頭もボーとしていますし・・・これって熱中症の症状では無いか・・。
ひとしきりお腹の中を軽量化して、スマホで調べてみます。発汗によって体の中のミネラルが抜けてしまいます。ここで水分補給だけ続けると、体は水分を排出してミネラル濃度を保とうとする様です。この方法が下痢と嘔吐。両方の症状が同時に出る事が多い様ですが、ここまで行くと熱中症も中度の症状だとか・・・。(ポカリを飲んでいるのですが・・・飲み続けていると体が受け付けなくなるんですよね・・・)
まあ、こんな状態なので電車で帰ろうとドリンクホルダーに装着していた輪行袋を確認すると・・・無い・・・。
洲崎灯台で自転車を担いで上がった時は確かに有りました。ただ、今日は輪行袋を丁寧に畳んだので、コンパクトになってドリンクホルダーから1度抜け落ちました。どうやら、どこかで又落としてしまったのかも知れません・・・。
保田の駅周辺では輪行袋の代用品も手に入りそうに有りません。とりあえず、君津まで行けばなんとかなるかも・・・。
未だ続く腹痛を我慢しながら、内房の海岸線を君津まで向かいます。追い風も手伝って30km巡航は維持出来ています・・・というか、お腹の中が軽量化されたおかげか、富津岬を超える上り坂で進む進む・・・。頭は圧迫感があってヘルメットを投げ捨てたい欲求を必死に抑えながらも、あっと言う間に君津に着いてしまいました。
鹿野山の入り口、常代の交差点の「丸亀製麺」にピットイン。「冷やしとろ掛けうどん」を汁まで飲んで、冷たい水をがぶ飲みします。クーラーの効いた店内で体温が下がったので、体調も回復して来ます。
この後、コンビニで本日2本目のレッドブルをドーピング。どうにか走れそうな体調に回復したので、木更津方面に向かいます。時間は18時。普通に走れば21時には浦安に到着しそうです。
■ 木更津の高架を激走!? ■
レッドブル効果が調子がどんどん上がって来ました。木更津市内は高架道路が続くのですが、左からの合流が4か所くらい有ります。自転車で左から車が合流して来る程怖い状況は無いのですが、相対速度が小さければどうにかなります。そんなこんなで合流の度に40km/h以上に加速します。運よく交通量が少なく、合流する車も無かったので、割とあっさりと木更津市内を通過します。
なんか体調は最悪ですが、自転車の速度は完全にリミッターが外れた状態。実は「クロモリロードは100kmを超すと速くなる」というのが私の持論です。無駄な力が掛らない状態になると勝手に自転車が走り出します。足もクルクル回り出します。人馬一体ならぬ人車一体状態になるのです。
■ どうにか暗くなる前に産業道路をクリアー ■
木更津から先は工業地帯の中を走ります。産業道路と呼ばれる国道16号線です。この道、路面陥没や、路面の盛り上がりが沢山有る自転車乗り泣かせの道です。ここを日没後に走行するのは非常に危険なので、腹痛をこらえてペダルを回します。
五井の辺りで空は暗くなりましたが、先日購入した充電式の強力LEDライトの光で問題無く走行出来ました。
国道357もスムースに流れていたので順調に千葉に到着。250kmを超えたので、そろそろ首が限界に近付いています。肩が凝ってきます。
多くの自転車乗りの方が「オシリが痛い」と訴えるのですが、実は私、サドルで困った事は有りません。あまりオシリに体重を乗せてないのと、頻繁に座る位置を変えているので、オシリが痛くならないのです。多分、ママチャリのシートをロードバイクに着けてもロングライド出来ます。シートの形状にも無頓着で、そこらの2000円位のシートで十分。
ロングライド中、自転車を降りて遊んでいる時間が結構長い事も影響しているとは思いますが・・・。
■ LEDライトの充電が切れた!! ■
海浜幕張から南船橋まで海沿いを走っていて又もやトラブル発生です。
なんと充電式のLEDライトのバッテリー切れです。ここから先は湾岸道路の歩道を走るので真っ暗で段差や障害物もゴロゴロしています。さすがに無灯火では危険。
そこで、船橋ららぽーとのセオサイクルさんに飛び込みます。閉店の看板が出ていましたが21時ぎりぎりだったのでギリギリセーフ。電池式のLEDライトを購入して自転車に取付ます。
ここから江戸川を超えるまでは歩道を走り、そこから357号線に車道を走って一気に浦安に到着。
自宅前で丁度290kmでした。まだ走れと言われればもう少し走れそうですが…お腹痛い・・・。
本日は洲崎でメーターがリセットされてしまったので、トータルのAV値が分かりませんが、
走行距離 290km
トータル時間 17時間30分
獲得標高 1900m
■ 真夏のロングライドは熱中症との戦い ■
お腹が痛くなってから写真を撮る余裕は無くなりました。
やはり真夏のロングライドは熱中症との戦いになりますね。日焼け止めも塗らずに300kmにチャレンジって無謀でした・・・。
翌日日曜日はリカバーに専念しました。
カリウムが豊富なトマトジュースに塩を入れて1リットル飲んで、梅干しを食べたら、体のダルサはほぼ無くなりました。足攣りも収まりました。
他の方のブログを参考にするならば、夏場の300kmロングライドの給水量は10リットル。その他、日焼け防止のアーム&レッグカバー。濡らして首に巻く冷却タオル。UVカットのクリームは必需品だとか・・・。
アーム&レッグカバーは暑く無いのかと疑問でしたが、どうやら汗を空冷する事で涼しいのだとか。
気合いで乗り切れる年でも無いので、熱中症対策は必要ですね。皆さんもお気を付けて!!