人力でGO

経済の最新情勢から、世界の裏側、そして大人の為のアニメ紹介まで、体当たりで挑むエンタテーメント・ブログ。

良作という言葉が相応しい・・細田守『バケモノの子』

2015-07-16 10:20:00 | 時事/金融危機
 






今回はネタバレ無しで挑みます。気になる方は劇場へGO!!


■ 安心してお勧め出来る良質なエンタテーメント作品 ■

細田守の最新作『バケモノの子』を見て来ました。実はポスターを見た時、今回は子供向けだろうから見ないでおこうかな・・・と思ったのですが、仕事の合間に時間が出来たので・・・。

結論から言いいましょう。大人の鑑賞にも耐えるウェルメイドのエンタテーメントの名作です。

「どうだった」と聞かれたら、「面白いから絶対に観に行った方が良いよ」と安心してお勧め出来る作品です。

脚本は良く練られています。演出も完璧。作画も素晴らしい。父と子の関係を問うテーマも悪く無い。そして若い男女のラブストーリも細田印のクォリティー。子供でも分かるストーリーと、イキイキした動き。どれを取っても水準以上です。

そして何よりも「異界」と「現代の渋谷」がシンクロする様は、観ていて背筋がゾクゾクします。これだけでもこの映画は観るに値します。『デジモンアドベンチャー』や『サマーウォーズ』など細田作品ではおなじみの世界設定ですが、異世界とを行き来する切っ掛けや方法の描き方が格段に進化しています。

渋谷の町をリアルに描けば描く程、異世界の魅力も際立ちます。まさにセンスオブワンダーを味わう瞬間です。


■ 中学生、高校生に向けた作品 ■

実はこの作品の本当のターゲットは多感な中学生、高校生たちです。自我が確立する過程で子供達は親と衝突し、周囲に違和感を覚えます。多くの子供達が「良い子」であろうとする一方で、反動として多くのストレスを抱え込みます。そんな彼らは「誰もオレの事なんて分かってくれない」と言う孤独と焦燥に苛まれます。

細田守はそんな彼らが孤独で無い事をこの作品で訴え続けます。親も友達も先輩達も、かならず君たちを見守っているという事を。そして、その親や先輩達も誰かに支えられ、時に子供に教えられて成長する。

かつて悩める若者だった父親達は、かつての自分の姿をスクリーンの中に見つけるでしょう。そして、同時の自分の息子の姿を主人公に被せるのです。まだ、幼い子供を持つ親は10年後の子供達の姿を見つけるかもしれません。

是非、お父さん方に観ていただきたい映画です。子供と一緒に行くと泣く所をみられちゃうかも知れませんが。

■ 「足り過ぎる」という物足りなさ ■

しかし「細田守らしかった?」と聞かれたら、「・・・・」と答えに窮するでしょう。
何かが足りない・・・いえ、逆です。足り過ぎている。

この「物足りなさ」の原因は、実は初期細田作品に共通していた「欠落」や「虚無」が不足している事に起因しているのでは無いかと思います。

今回の作品は思秋期特融の「心の穴」をテーマにしています。「虚無」や「欠落」はきちんと作品の真ん中に有るのですが、それが従来の細田作品ほど魅力を発していません。

初期の細田作品に存在した欠落や虚無はテーマとして提示されるのでは無く、まして実体化して描かれる物でも有りませんでした。通奏低音として作品全体を支配するエーテルの様な物だった。

『デジモンアドイベンチャー』の『コロモン東京大激突』では「そこにあるはずの何かが無い」のだけど、その欠落はデジタルワールドに友達を残して来たという具体的な事象では無く、もっと感覚的な何かです。

『おジャ魔女どれみドレミドッカーン!』の40話『どれみと魔女をやめた魔女』では、小学生のどれみの中にある本能的な消失への憧れが作品を支配していますが、ストーリーの表面に現れる事は有りません。

初期細田作品はこの「虚無」や「欠落」の醸し出す不安定さを下地にして、子供達の繊細な気持ちの揺らぎを上手く表現していました。虚無や欠落はテーマでは無くて、儚さを作る装置だったのです。

実は『おおかみこどもの雨と雪』の後半は「虚無」と「欠落」が支配しています。だから分かり難い作品になっていますが、初期細田作品が好きな私はこの作品が好きです。

■ 大衆性と作家性の両立を求め続けるのであろう ■

現在の細田守はジブリ無き後の穴を埋めるという自分に課せられた使命を良く理解しています。子供から大人まで楽しめて理解出来る作品作りに真剣に取り組んでいます。一方で細田守らしさと大衆性のバランスに苦慮しているはずです。

『サマーゥーズ』や『バケモノの子』は、活劇としての分かり易さを前面に出した作品で、ある意味の割り切った作品と言えます。「宙ぶらりん」を封印してどういう表現が出来るのかにチャレンジしています。

一方、『おおかみこどもの雨と雪』は、大衆性と作家性の両立を試みた作品です。この作品が多くの母親達に支持されたのは、子供達のイキイキとした動きでも、子育てをする母親のたくましさでも無く、実は子供がいつか自分から離れて行くという「漠とした不安」なのでは無いかと・・。その「漠とした不安」が劇場を出た後も心の底にいつまでも残っていて、子供を見つめる日常のふとした瞬間にふーと心にさざ波を立てる・・・。

『バケモノの子』で分かり易い映画を作るノルマを果たしたので、次回作は少し偏った作品を見て見たいなと思うのはファンの我がままですが・・・。

できれば、高校生を中心にした作品を是非!!

「日銀への利払い費は国庫に納められるから問題無い」の限界・・・インフレに足をすくわれる?

2015-07-14 09:33:00 | 時事/金融危機
 

一部のリフレ論者の主張が現実可能なのか検証する第二弾。

1) インフレになれば全てが解決する

2) 「自国通貨建ての内国債は破綻しない」のだから国債はいくら発行しても構わない

3) 「国の借金は国民の資産」だから財政赤字の拡大は問題無い


が成立するかどうかを、素人なりに検証してみます。

前回記事はこちら。

「インフレになったら全部解決しちゃうんだからね!!」のウソ・・・「良いインフレ」と「悪いインフレ」

■ 「自国通貨建ての内国債は破綻しない」のか? ■

1) 日本国債は日本の通貨「円」建てで発行される
2) 日本国債の保有者は日銀と国内の金融機関が90%近くを占める

確かに彼らの主張する様に、日本国債は国内の金融機関の保有量が大部分を占め、国債を暴落させるメリットが存在しないので、通常は国債を売り込まれる心配は有りません。

3) 日銀が異次元緩和で新発国債の90%に相当する額を購入している
4) 日銀は既に既発国債の25%を保有しており今後もこの比率が上昇する

日銀が異次元緩和を続ける限り、需給バランスは日銀によって支配され、金利は低く抑えられます。さらに、日銀の保有比率が高まる事で、市場に流通する国債は不足気味になり、国債の需要は相対的に高まり国債金利の上昇を抑制します。

何だか一部のリフレ派の主張する「ウィン・ウィン」の関係が成立する様な気がしてきました。


■ 増大し続ける国債の利払い費 ■

以前から日本の財政の継続性に疑問を持つ人達が問題視するのは、一般会計における日本国債の利払費の割合です。

政府は先日「骨太の方針」を閣議決定し、経済成長によって財政赤字を改善する方針を発表しました。

1) 実質2%、名目3%の経済成長の継続を前提とする
2) 経済成長による税収増で赤字は徐々に縮小する



上のグラフは財政金融委員会調査室が発表している「我が国財政の利払費に関する一考察 」という資料から拝借しました。

http://www.sangiin.go.jp/japanese/annai/chousa/keizai_prism/backnumber/h27pdf/201513402.pdf

○ 名目3%成長が10年続く
○ 10年後から経済成長率と物価上昇率は横ばいとなる
○ 10年後から長期金利が上昇し始め徐々に4%を超えて行く

名目3%成長が10年続くという前提自体が既に実態からかい離しています。先進国の経済成長率は低下傾向に有り、アメリカでも実質2%成長が達成出来なくなる中で、少子高齢化が進む日本が、どうやって実質2%の成長を10年も持続出来るのか・・・この点だけでもアマアマの予測です。

このアマアマの予測に従って国債の利払い費を推測したのが次のグラフです。





○ 2025年までは利払い費が抑制されている
○ 2025年から長期金利が上昇すると予測しているので利払い費が増大する

このグラフのトリックは上の長期金利の上昇が前提になっている点です。2025年からの長期金利の上昇が無ければ、国債費の一般会計に占める割合はこれ程増えない事に注意が必要です。

■ 日銀に対する利払い費は国庫に返納される ■

ここで一部のリフレ論者はこう声高に主張します。

「日銀が買い入れた分の利払い費は国庫に返納されるのだから問題無い」
「日銀に払った償還費用は日銀が又国債を購入すれば政府に戻って来る」

確か日銀は国債購入の利益である利息を国庫に戻しています。日銀は諸経費を除いた後の利益の95%程度を政府に納めています。

一部のリフレ論者的の主張の様に、日銀の日本国債のほとんどを保有し、償還されたらロールオーバーを繰り返し、金利も国庫に納める限り、国債発行コストはほぼゼロに抑えられます。


しかし、日銀の国債保有量には技術的な限度が有ります。日銀がこのまま異次元緩和を継続できたとしても2020年には日銀は残存国債の60%以上を保有する事になります。金融機関は担保として日本国債保有の必要が有り、また生保各社も長期国債を満期保有前提で運用を行っているので、国債が市場で足りなくなるのです。現行では日銀の国債保有は60%程度が限界となります。

そこから先、100%保有などという事態は、国債暴落による投げ売りで日銀が全量買い入れに踏み込まない限り不可能となります。




何れにしても日銀は当初2年程度の予定で異次元緩和に踏み込んだので、これが4年も5年も継続する事態は異常です。

世界が明らかに財政ファイナンスである異次元緩和を看過しているのは、それが期間限定のイベントで、その後、日銀がテーパリングから買い入れ停止という出口戦略に入る事が前提となります。


■ 日銀が出口戦略に入るとどうなるのか? ■

仮に2年後に日銀が出口戦略の開始を宣言して国債購入額を減らし始めたとします。国債市場で最大の国債の買い手が購入額を減らして行くのですから市場は混乱します。

しかし、これだけで国債金利が跳ね上がるかどうかは疑問です。

○ 日本の金融機関は国債の安定維持を守ろうとする
○ 金利が上昇する様なら日銀はテーパリングのペースを緩めたり停止する事が出来る

多分、外国人投資家が日本国債を売却して市場は一時的に不安定になるかも知れませんが、日銀、財務省、金融庁、金融機関の完璧タッグで、金利上昇を抑制する事は不可能では無いと私は考えます。

■ 日銀は償還国債をロールオーバーし続ける ■

日銀がテーパリングの次に着手するのは「利上げ」です。

一般的に「日銀の国債売却」を思い浮かべてしまいますが、FRBですらQEで膨らんだ国債の市場売却は不可能でしょう。償還期限まで国債を持ち込し、場合によってはロールオーバー(借り換え)に応じる事で、金利上昇をコントロールするハズです。

当然、日銀の国債の市場売却はせずに償還、あるいはロールオーバーで金利を抑制するはずです。

■ 実は内閣府の予測より金利上昇は抑制されるのでは無いか ■

私は財務省と日銀は上記の様な戦略で、内閣府予測よりも金利上昇を抑え込めると予測していると思います。

これには日本の金融機関の協力が必要ですが、異次元緩和で残存年数を圧縮しているメガバンクは柔軟に対応出来ますし、長期国債を大量に保有する地銀や信金などは、生き残りの為には、国債の買い増しで金利を抑制する必要が有ります。

経済成長率を考慮しても、日本の長期金利は2%から先には、なかなか上昇しないのでは無いでしょか?

■ 自由な為替市場が存在する世界で円はどう評価されるか? ■


確かに国債需給と財政維持だけみれば、そこそこの継続性が有る様に見えます。「なんだ、財政破綻なんてしないじゃないか!!」と思えて来ました。

しかし、元になっている経済成長率がアマアマなので、こんなに事は上手くは運びません。
現在のまま少子高齢化が進んだ場合、異次元緩和の継続如何に関わらず日本の経済成長はマイナスに転じます。税収は予測程伸びず、財政悪化の速度が加速します。ここで、自民党が有効な手段を講じなければ、日本の国力低下によって為替市場で円が下落を始めます。

黒田総裁は先般口先介入で過度な円安を牽制しましたが、異次元緩和やアベノミクスの効果が疑われ、第三の矢の効果が出るには時間が掛るとなれば、為替市場でジリジリと円安が進行します。

ここで日銀はジレンマに陥るはずです。為替を円高に戻すには、異次元緩和を縮小するしか有りませんが、それでは財政を支えられなくなります。

円安による輸入物価上昇でインフレが発生しますが、日銀がテーパリングに踏み込めなければ悪いインフレの進行に従って国内金利は上層しますが、国債金利は日銀が抑え込むという不自然な状況が生まれます。

金融機関は手持ち国債の金利では預金者に金利が払えず逆ざやが生じるので、国債を手放さざるを得なくなります。生命保険各社もインフレ率の上昇が保険のリターンを大きく上回る状況が発生すれば保険が解約されてしまいます。

この様な状況に陥らない為にも、黒田総裁は先日も口先介入で過度な円安を牽制しました。しかし、これは何回も通じる手では有りません。

一部のリフレ論者が「良い物」としている円安とインフレですが、過度にこれが進行すると日銀と財務省の計画に狂いが生じるでしょう。

日銀と財務省、そして金融機関の完全タッグが継続出来ずに国債金利が上昇する事態が起きたら、日本の財政維持に赤信号げ点灯します。




★★★ ここからは陰謀論の世界(陰謀論ファンサービス) ★★★


■ 日本の財政破綻の前に、世界の通貨制度が揺らぐのでは無いか? ■

実は、私は日本の財政の継続性を本気では心配していません。何故なら、日本がコケる前に世界経済がコケる可能性が大きいからです。

リーマンショック以降、各国中央銀行が供給した莫大な緩和マネーは世界のリスクと金利のバランスを大きく崩してしまいました。アメリカが利上げに入る事で、リーマンショックの様な危機が発生する可能性が高くなります。

世界の中央銀行はリーマンショックの後、膨大な資金供給で世界経済の崩壊を一時的に食い止めましたが、再び巨大な危機は発生した場合、金融緩和では危機が防ぎ切れないと人々は考えます。そうなると、通貨と国債の信用が一気に失われます。

この時、膨大な財政赤字を抱える日本やアメリカの国債や通貨の価値は根底から揺らぎます。ユーロだって無事では居られませんし、元などは言わずもがな・・・。

■ 「エーイ、戦争でウヤムヤにしてしまえ」といういつのの手段 ■

実は世界が混乱に陥った時、必ず使われる便利な手段が有ります。それは戦争です。

リーマンショック後の世界は1929年の世界恐慌後の世界に良く似ています。各国は様々な金融、財政政策を試みますが、結局経済の立て直しは思う様に進ますに戦争という手段で経済の失敗を誤魔化します。

中東で、東シナ海や南シナ海で、ウクライナで様々な仕込みが進行しています。安倍政権が安保法制の改正を急ぐのも、来るべき事態に備える為でしょう。

現在の戦争は大国が総力戦で勝敗を決する必要は有りません。ちょっとした地域限定の軍事衝突でにらみ合いの均衡を作り出す事が出来ます。

これだけで、十分に各国は「戦時体制」となり、経済も統制されるでしょう。

先日、上海市場で中国政府は強引な手で株価暴落を防ぎましたが、「非常事態」ともなれば自由な市場は制限され、規制の中で新たな通貨制度と国際関係が構築されて行くのだと思います。



・・・・最後はかなり雑な考察となりましたが、財務省が異次元緩和に踏み込んだ最大の理由は、結果が問われない事が確定しているからかな・・・などと陰謀論的には考えてしまいます。

恒例300Kmチャレンジ(後編)・・・房総半島半周

2015-07-13 09:34:00 | 自転車/マラソン
 

■ 風の無い日の館山は最高!! ■



昨日からの続き、本日は波乱の300Kmロングライドの後編です。

300Kmの中間地点の野島崎を順調に過ぎ、須崎に向かう館山の海岸線は小さな砂丘が連なります。風の強い日は、海側から砂ツブテが吹き付け、口の中までジャリジャリになるコースですが本日は微風。ハマユウの花が夏空を背景に咲いています。所々オニユリの鮮烈なオレンジ色が目を引きます。

 昔はマグロ漁獲日本一の布良の海 ■





洲崎に向かう途中、館山の地魚寿司で有名な富寿司の案内板が出て来ます。小さな漁村に有る知る人ぞ知る寿司屋です。おつか伺おうと思っていますが、本日は先を急ぎます。

富寿司の看板の少し先に布良崎(めらさき)神社という標識が出ています。国道側は裏手になるので見逃していましたが、少し覗いてみると立派な社が建っています。

参道は海側の集落に面しており、鳥居の正面には富士山が見えるそうです。





この布良崎神社は実はとても由緒ある神社で、神武天皇元年に神武天皇の命を受けた天富命が肥沃な土地を求めて阿波国へ上陸し、その地の布良崎に建てたのが安房神社だと言われています。安房神社は旧社格が、香取神宮と並ぶ「官幣大社」で非常に格の高い神社です。現在の安房神社は別の場所に遷移されていますが、その跡地に建つのが布良崎神社だそうです。

現在の社殿は火災や台風被害で消失した後に明治41年に建て替えられたものだそうです。

この布良崎一体は「マグロはえ縄漁発生地」(明治時代)だそうで、かつてはマグロの水揚げ日本一を誇った地でもあるそうです。当時は「海に黄金が湧く」と言われ、たいそう景気が良かった様ですが、現在は近海漁業を営む静かな漁村です。

■ 東京湾の入り口の安全を守る洲崎灯台 ■




布良崎を後にして直ぐに洲崎に到着します。ここには東京湾の入り口を示す洲崎灯台が有ります。何度か素通りしていて、一度寄ってみたいと思っていたので、本日初めて灯台まで行ってみました。

大正8年に点灯したこの灯台、三浦半島の剱埼灯台と対で東京湾の入り口を示します。洲崎が「赤灯」、剱埼が「緑灯」です。この二つの色の灯火で東京湾の入り口を船舶に示します。



洲崎灯台からは館山湾が一望できます。遠く富士山まで一望できますが、本日は靄で見えませんでした。


■ 西島秀俊主演の映画『帰郷』のロケ地 瀧淵神社 ■

洲崎灯台から館山までは10Km程度。館山を通過して、那古船形でちょっと寄り道です。



那古船形に「瀧淵神社」という小さな神社が有ります。この瀧淵神社は私の大好きな日本映画で、西島秀俊が主演した『帰郷』のロケ地です。



http://www.bitters.co.jp/kikyou/index.html (公式ホームページ)

母親の再婚で久しぶりに帰郷した晴男は、かつての女友達と再会します。彼女はシングルマザーとして少女と二人暮らしですが、その子が晴男の子だと匂わせます。動揺する彼に彼女は「きちんと会わせるから明日家に来て」と言います。翌日、彼女の家を訪ねると、少女が一人留守番をしています。そして、母親は帰って来ません・・・。

母親を探す事になった晴男と少女は、少女の記憶を元に母親の行きそうな場所を探します。近くのスーパー、母親の男の家、観光で行った海辺のレストラン・・・しかし母親は見つかりません。そんな奇妙な二人の時間の中で、晴男はほのかな父性愛を少女に抱きます。

途方に暮れた二人ですが、小さな神社のお祭りを楽しみます。その後、少女が熱を出し、神社の社務所に転がり込みます。

館山と南房総市一帯でロケが行われたこの映画、最期の神社のシーンのロケ地が那古船形の瀧淵神社です。(公式ページの撮影協力の欄では瀧斑神社となっていますが間違いでしょう)。とにかくこの映画の大ファンの私は、一度この神社に来てみたかった。



元々は館山湾に張り出した大房岬に大宝年間(701-703)に、修験道の開祖の役行者=「役 小角(えん の おづの)」が伊豆から夜な夜な飛来?して不動明王を刻んだ事を起源とする大武佐不動として人々の信仰を集めました。

大房岬は明治時代に東京湾を守る要塞となった為、現在の国道脇の地に遷移され瀧淵神社となりましたが、この時、役行者像や、石灯籠、狛犬などの石造物がこの地に移されます。



風化した石灯籠が歴史を感じさせます。

現在は小さな社のこじんまりとした神社ですが、お祭りには鞨鼓舞や棒術が奉納されるなど、房総地方の古い神社の歴史を色濃く残しています。

何だか、本日は観光ばかりしています・・・。

■ お腹が痛くなった・・・・ ■

那古船形を出発した辺りからお腹が痛くなり始めました。これは嫌な予感・・・。とりあえず浜金谷辺りまで行けば200kmなので、最悪はそこから電車に乗ってもイイかと思い、先を急ぎますが、力が入りません。

富浦、岩井、勝山を超えて、どうにか保田の「きょなん道の駅」まで到着して、トイレに駆け込みます。

激しいスポーツをすると下痢をする事が有りますが、本日はノンビリ観光をしながらの30Km/h巡航ですから体にそれ程負荷は掛っていません。ただ、午後からは暑い・・・とても暑い。頭もボーとしていますし・・・これって熱中症の症状では無いか・・。

ひとしきりお腹の中を軽量化して、スマホで調べてみます。発汗によって体の中のミネラルが抜けてしまいます。ここで水分補給だけ続けると、体は水分を排出してミネラル濃度を保とうとする様です。この方法が下痢と嘔吐。両方の症状が同時に出る事が多い様ですが、ここまで行くと熱中症も中度の症状だとか・・・。(ポカリを飲んでいるのですが・・・飲み続けていると体が受け付けなくなるんですよね・・・)

まあ、こんな状態なので電車で帰ろうとドリンクホルダーに装着していた輪行袋を確認すると・・・無い・・・。

洲崎灯台で自転車を担いで上がった時は確かに有りました。ただ、今日は輪行袋を丁寧に畳んだので、コンパクトになってドリンクホルダーから1度抜け落ちました。どうやら、どこかで又落としてしまったのかも知れません・・・。

保田の駅周辺では輪行袋の代用品も手に入りそうに有りません。とりあえず、君津まで行けばなんとかなるかも・・・。

未だ続く腹痛を我慢しながら、内房の海岸線を君津まで向かいます。追い風も手伝って30km巡航は維持出来ています・・・というか、お腹の中が軽量化されたおかげか、富津岬を超える上り坂で進む進む・・・。頭は圧迫感があってヘルメットを投げ捨てたい欲求を必死に抑えながらも、あっと言う間に君津に着いてしまいました。

鹿野山の入り口、常代の交差点の「丸亀製麺」にピットイン。「冷やしとろ掛けうどん」を汁まで飲んで、冷たい水をがぶ飲みします。クーラーの効いた店内で体温が下がったので、体調も回復して来ます。

この後、コンビニで本日2本目のレッドブルをドーピング。どうにか走れそうな体調に回復したので、木更津方面に向かいます。時間は18時。普通に走れば21時には浦安に到着しそうです。

■ 木更津の高架を激走!? ■

レッドブル効果が調子がどんどん上がって来ました。木更津市内は高架道路が続くのですが、左からの合流が4か所くらい有ります。自転車で左から車が合流して来る程怖い状況は無いのですが、相対速度が小さければどうにかなります。そんなこんなで合流の度に40km/h以上に加速します。運よく交通量が少なく、合流する車も無かったので、割とあっさりと木更津市内を通過します。

なんか体調は最悪ですが、自転車の速度は完全にリミッターが外れた状態。実は「クロモリロードは100kmを超すと速くなる」というのが私の持論です。無駄な力が掛らない状態になると勝手に自転車が走り出します。足もクルクル回り出します。人馬一体ならぬ人車一体状態になるのです。

■ どうにか暗くなる前に産業道路をクリアー ■

木更津から先は工業地帯の中を走ります。産業道路と呼ばれる国道16号線です。この道、路面陥没や、路面の盛り上がりが沢山有る自転車乗り泣かせの道です。ここを日没後に走行するのは非常に危険なので、腹痛をこらえてペダルを回します。

五井の辺りで空は暗くなりましたが、先日購入した充電式の強力LEDライトの光で問題無く走行出来ました。

国道357もスムースに流れていたので順調に千葉に到着。250kmを超えたので、そろそろ首が限界に近付いています。肩が凝ってきます。

多くの自転車乗りの方が「オシリが痛い」と訴えるのですが、実は私、サドルで困った事は有りません。あまりオシリに体重を乗せてないのと、頻繁に座る位置を変えているので、オシリが痛くならないのです。多分、ママチャリのシートをロードバイクに着けてもロングライド出来ます。シートの形状にも無頓着で、そこらの2000円位のシートで十分。

ロングライド中、自転車を降りて遊んでいる時間が結構長い事も影響しているとは思いますが・・・。

■ LEDライトの充電が切れた!! ■

海浜幕張から南船橋まで海沿いを走っていて又もやトラブル発生です。

なんと充電式のLEDライトのバッテリー切れです。ここから先は湾岸道路の歩道を走るので真っ暗で段差や障害物もゴロゴロしています。さすがに無灯火では危険。

そこで、船橋ららぽーとのセオサイクルさんに飛び込みます。閉店の看板が出ていましたが21時ぎりぎりだったのでギリギリセーフ。電池式のLEDライトを購入して自転車に取付ます。

ここから江戸川を超えるまでは歩道を走り、そこから357号線に車道を走って一気に浦安に到着。

自宅前で丁度290kmでした。まだ走れと言われればもう少し走れそうですが…お腹痛い・・・。



本日は洲崎でメーターがリセットされてしまったので、トータルのAV値が分かりませんが、

走行距離    290km
トータル時間  17時間30分
獲得標高    1900m


■ 真夏のロングライドは熱中症との戦い ■

お腹が痛くなってから写真を撮る余裕は無くなりました。
やはり真夏のロングライドは熱中症との戦いになりますね。日焼け止めも塗らずに300kmにチャレンジって無謀でした・・・。


翌日日曜日はリカバーに専念しました。
カリウムが豊富なトマトジュースに塩を入れて1リットル飲んで、梅干しを食べたら、体のダルサはほぼ無くなりました。足攣りも収まりました。

他の方のブログを参考にするならば、夏場の300kmロングライドの給水量は10リットル。その他、日焼け防止のアーム&レッグカバー。濡らして首に巻く冷却タオル。UVカットのクリームは必需品だとか・・・。

アーム&レッグカバーは暑く無いのかと疑問でしたが、どうやら汗を空冷する事で涼しいのだとか。

気合いで乗り切れる年でも無いので、熱中症対策は必要ですね。皆さんもお気を付けて!!



恒例300Kmチャレンジ(前篇)・・・房総半島半周

2015-07-12 09:51:00 | 自転車/マラソン
 



■ 自転車で1日300Km走れるか? ■

ロードバイクも乗り慣れれば1日200Kmは余裕で達成出来るようになります。しかし300kmとなると別です。

時速30kmで走り続けてノンストップで10時間。これはサーキットで無ければ無理です。一般公道を走る場合、信号待ちや休憩時間を入れると5時間/100kmが無理の無いペースなので、ある程度脚力の有る人で早くて15時間は掛ります。

7月は4時頃には明るくなり始めますから、順調に走れば暗くなる前の19時にはゴール出来る計算に。

私は夜間走行は好きでは無いので、300Kmチャレンジは夏至の前後しか出来ない限定イベント。以前にも1度挑戦した事が有りますが・・・250kmから先は苦しかった・・・。はたして49歳の中年チャリダーに300kmは走れるでしょうか?

■ MTB鉄下駄トレーニングの効果は絶大だ ■

空が白むのを待って午前4時に浦安を出発します。今日のお相手はクロモリロードのレモン2号君。

最近、クロモリフルリジットMTBのラレー君で出かける事が多かったので、久しぶりに乗るロードのペダリングは軽すぎてスカスカします。もう少し踏み心地が欲しいなとシフトアップしようとすると既に53t-11tにギアーが掛っていたりします。ただ、MTBで踏み込むペダリングばかりしていたのでケイデンスが上がらずスピードに乗れません。それと、体が寝ているというか、眠い・・・。

切れの悪い走りで上総牛久に到着。シャッキリする為に早くもレッドブル投入。これが効いたのか養老渓谷はでは軽快に走ります。やはりMTBで脚力よりも上半身の筋力が付いたので、坂道は以前より2~3枚重いギアーでグイグイ登れます。ダレル感じがしない。

養老渓谷から鴨川は、麻面原高原を超えて行きます。この時期、アジサイが見頃のハズです。前日まで雨が降っていたので老川十字路からの山道は路面が荒れています。小さな落石、折れた枝、砂利、ぬかるみなどでロードが最も苦手とする状況。

部分的には斜度15%を超えていそうな山道ですが、53tアウター縛り、さらに28tを封印して登ります。こういうウエットな路面の場合、ギアを一段重くした方がスリップは少ないと読んだ事が有ります。確かに軽いギアーでトラクションを掛けると一瞬で後輪が滑りそうです。やわらかに、ジンワリと重たいギアーを踏んで行きます。パンクを避ける為に小枝、小石を注意して回避します。

標高が300mに近づいた辺りで、山は「ヒメハルゼミ」の大合唱に包まれます。常緑照葉樹の原生林にしか生息しない珍しい蝉で、西日本に広く分布しますが、房総半島の南部にも地域限定で生息します。学名の"chibensis" は「千葉に棲む」の意味です。

体調30mm程のニイニイゼミ並の小さな蝉ですが、鳴き声はアブラゼミの鳴き声を野太くした感じ。そして面白い事に、このセミは「合唱」します。1匹が鳴き出すと周辺のセミ達が「合唱」を始めます。そしてしばらくすると一斉に鳴き止むのです。

このヒメハルゼミの大合唱の中をヒルクライムしていると、ジロデイタリアの山岳コースを登っている気分になります。セミの大合唱は「Dai!Dai!Dai!」という掛け声に聞こえて来ます。そんなこんなで、もの凄く良い気分になって山頂に到着。






麻面原高原のアジサイは丁度見頃を迎えていました。山斜面一面をアジサイの淡いブルーが彩っています。この景観は写真では迫力が伝わりません。初めて訪れた観光客の方々は「スゴイね~。」と言った後言葉が出ないというのが、永年私が観察した結果です。

■ 海霧で幻想的な世界だった ■



麻面原からは内浦県民の森経由で安房小湊まで一気にダウンヒル・・・のハズですが、雨の後のこのコースは落石がゴロゴロしています。スピードを抑えて慎重に下りますが、その分、道端の草木をしっかりと見る事が出来ます。今は卯の花も終わり、ひっそりと俯いて咲くホタルブクロと、対照的に凛と咲くヤマユリが目を引きます。マムシグサは毒々しい赤い実を付けています。

海が近づくにつれて山肌を朝もやの様なものが漂っています。どうやら海霧の様です。海岸性に出るとビックリ。快晴なのに海は霧で視界がほとんど有りません。ホイッスラーのノクターンという絵画にそっくりです。幻想的な景色にしばし見惚れます。

■ 娘を連れて和田でクジラと刺身定食 ■

鴨川には9時15分に到着。娘のアパートに寄って一緒に早めの昼ごはんを食べに行く事にします。しかしこの時間では街道沿いのファミレスくらいしか開いていません。そこで、娘のスポーツ自転車を引っ張り出して少し海沿いをサイクリングする事に。

鴨川オーシャンパークにしようかと思いましたが、霧で景色は何も見えません。それなら和田町の道の駅でクジラを食べようという事になり足を延ばします。10半でしたが、レストランは営業中。ここのレストラン、私が行った事のある道の駅の中ではダントツに美味しい。そしてコスパも良い。



獲れたての時魚の刺身定食¥15,000¥1,500です。鮮度も抜群。房総半島にも道の駅が沢山有りますが、海鮮丼にイクラやシャケが載っているのが殆ど。千葉県にシャケは居ないゾ!!と突っ込みたくなりなす。その点、和田の道の駅は観光客相手の定食屋と比べても勝っています。

ここのソフトクリームがまた絶品で、ハニーミルクとピーナッツがお勧め。

すっかり満足した所で、娘を一人鴨川に帰して、私は先を急ぎます。すっかりノンビリしてしまいましたが、1時までには野島崎に着きたい。

娘には海沿いの歩道を鴨川方面にひたすら走れと伝えます。旧道を走って、間違ってもバイパスのトンネルには入るなと。・・・ところがしばらくするとメールが・・「トンネルに来ちゃった・・・」。オイオイ、あれ程言ったのに。その後娘は元来た方に引き換えし旧道に復帰して無事鴨川へ・・・。心配させるなよ。

■ 霧が晴れたら海は台風の大波だった ■





先ほどまで海を覆っていた霧も晴れてきました。ドライミストの様な霧は涼しくて最高でしたが、太陽が姿を現すと夏本番の日差し。

風は向かい風の微風ですが、浪が高い。台風の影響ですが、防波堤で見ていると明らかに波の頂きが防波堤より高く見えます。不思議な事に途中で波が砕けて浜辺に押し寄せる事は有りません。

■ 野島崎までは順調に到着 ■





房総半島最南端の野島崎には13時過ぎに到着。風が弱いので快適でした。150km余りを走って脚もほとんど疲れていません。MTBトレーニングの効果でしょう。



ここで余り時間を使ってしまうと帰りが遅くなります。いつでも来られるので厳島神社で例の物を拝んだら出発する事にします。

エ?例の物って何かって?
此れですよ!!






さて、後半の模様は明日お伝えします。

大変なトラブルが発生します!!
大丈夫か?オレ?

名水って「まずい?!」・・・硬度と日本酒

2015-07-10 05:14:00 | 時事/金融危機
 

■ 名水が美味しいとは限らない ■





先週の土曜日、降り続いた雨も午前中に小降りになったので魔改造MTBのラレー君で出動。養老渓谷まで往復しようかと思いましたが、晴れ間が見えて来たので調子に乗って鴨川まで足を延ばす事に。いつもは帰路に使う久留里街道に姉ヶ崎から入って逆コースで走ってみます。

江戸時代の城下町の雰囲気を良く残す久留里は「名水の街」としても有名です。江戸時代に渇水で悩まされた事を契機に、「上総掘り」の井戸がいくつも掘られ、地下400m以上の深さから井戸水が自噴しています。街の至る所に自噴井戸が有り、その量43t/日だそうで、まさに「名水の街」の名に相応しい。

本日はMTBで先を急ぐ訳では無いので、井戸水をゆっくり味わってみます。

・・・・マズイ・・・・

何?このドブの様な匂いは。それに結構水が硬い感じです。
名水って美味しいはずでは、私の味覚に異常があるのでしょうか?

有名な井戸では車でいらした方達が大きなポリタンクに水を何本も汲んでいます。こんなドブ臭い水をいったいどうするのでしょう・・・???

■ ドブ臭さ(硫黄臭)は一晩汲み置きすれば消える ■

実はこのドブ臭さの正体は「硫黄」だそうです。房総半島は海底堆積岩の地層ですが、この地層には海底に堆積した生物の死体も沢山含まれています。君津市の七里川温泉や鴨川市の白岩温泉は単純硫黄泉ですが、これらの堆積物由来の硫黄が含まれていて、火山性の硫黄泉と比べて湯質は柔らかで温泉マニアの評価も相当高い。

地下400mから自噴する久留里の井戸水にも、この硫黄が含まれておりそれがドブ臭さの原因となっているそうです。この硫黄臭、一晩汲み置きすればすっかり消えるそうで、水も「まろやか」な味わいになるとか。

■ 水の硬度 ■

海底堆積層を通過した久留里の井戸水はカルシウムやマグネシウムといったミネラルも豊富な中硬水です。多分硬度が150近辺かと思われます。

一般的には飲用にはミネラルがあまり含まれていない「軟水」が適していると言われています。市販のエヴィアンは硬度が300を超える硬水ですが、あれを美味しいと感じる人はコマーシャリズムに毒された人でしょう。痩せると一時期人気のあったコントレックスの硬度は何と1500。あれをガブガブに飲める人を私は尊敬します。ちなみに、日本人の好きな「南アルプス天然水」の硬度は30程度です。外国産だとボルビックが60程度。

飲み水の元となる雨水は蒸留水なので硬度は0です。雨水が山などに降り、表層を伝わって沢になり河川となりますが、この表層水はミネラルがあまり溶け込まないので軟水となります。

ヨーロッパなどは河川が長いので、ミネラルが溶け込む量も増え硬水となります。日本の水道水ではでは千葉県などは硬度が高めで、これは利根川や江戸川など長い河川から取水している影響でしょう。

鴨川に住む娘のアパートの水も結構硬いなと調べてみたら、表層水ながら硬度が130もありました。

■ 酒造には硬水が適している ■





飲用としてはあまり美味しいとは言えない硬水や中硬水ですが、酒造りには最適の水です。水に溶け込んだミネラルが酵母の成長を促進させしっかりとした発酵を促すからです。日本一の酒所、兵庫県の灘地方も硬水です。

一方、新潟などは硬度2などという超軟水で実は酒造には向いていませんでした。酵母発酵の段階で雑菌が繁殖してしまい腐酒になる事も。その為、江戸時代の文献には「酵母発酵を促す為に海水を加えると良い」という記述も有る様です。

硬水で仕込んだ日本酒は発酵がしっかりと促進する為に味が濃厚に成り易く、一方、軟水で仕込んだ日本酒は淡麗な味わいになる傾向が有る様です。昨今の食生活の変化で、日本人はさっぱりした味わいの日本酒を好む様になり、新潟などの淡麗系の日本酒の人気が高まります。新潟の酒蔵も、軟水を生かした酒造りを探求して品質を向上させました。(白瀧酒造の「上善如水」なんて水じゃん!?って感じてしまうのですが・・・ゴメンナサイ)

さて中硬水の久留里はと言うと、城下町という事も有り酒蔵が沢山有ります。吉崎酒造の「吉壽 」などが有名でしょうか。

■ 隠れた名酒が多い千葉県 ■

酒所としてはほとんど無名で、全国区の銘酒が無い千葉県ですが、歴史の長い酒蔵も多く、佐倉、佐原(神崎)、勝浦、成田、酒々井、君津など県内各所に知る人ぞ知る酒蔵がいくつも有る様です。

銘酒として有名なのは香取市神崎町の「寺田本家」の「五人娘」だそうで、無農薬米に蔵付きの天然酵母で醸造された自然志向の日本酒です。水郷の佐原周辺には銘酒が多い様です。

ランキングを見つけたので参考までに

1位 五人娘  寺田本家   香取市神崎町
2位 木戸泉  木戸泉酒造  いすみ市大原
3位 仁勇  鍋店     香取市神崎町
4位 甲子正宗 飯沼本家   印旛郡酒々井
5位 むすひ  寺田本家   香取市神崎町
6位 腰古井  吉野酒造   勝浦市
7位 東薫  東薫     香取市佐原
8位 梅一輪  梅一輪    山武市
9位 不動   鍋店     香取市神崎町
10位 寿萬亀  亀田酒造   鴨川市

私も自転車で酒蔵の前を通る事は有るのですが、自転車なので飲む訳にも、酒瓶を運ぶ訳にもいかず、飲む機会は無いのですが・・。


<追記> その後、私も千葉の地酒の探求を重ね、上のランキングは相当に「バイアス」が掛かってる事を知りました。

極私的 千葉の酒アランキング


1位  「叶」 大吟醸 東薫酒蔵  佐原   兵庫県産の1等級の山田錦を35%まで磨いた大吟醸。火入れ酒で、この香、濃厚な味わい。値段は高いけれど、千葉県の地酒の間違い無く「横綱」です。


2位  「鳴海」 純米吟醸 生無濾過原酒  東灘酒蔵 勝浦   濃厚旨口の微発泡酒。「端麗辛口」ブーム以降、人気がイマイチな甘口の日本酒ですが、このトロリとした飲み口、そしてサラリとした後味は癖になります。都内の日本酒バーでも知る人ぞ知る千葉の秘蔵酒。

3位  「福祝」  純米吟醸 生無濾過原酒 藤平酒造  久留里  「名水」の街、久留里で人気が高まっている酒蔵。麻生財務大臣の晩酌のお酒の一つとか。普通に丁寧にお酒を醸造すると、普通以上に美味しくなる見本。水も良いのでしょう。いわゆる「農大系」の華やかなお酒ですが、バランスが良いのが特徴。(コストパパフォーマンスも高い)

4位  「飛鶴」 森酒蔵   久留里  地元でしか手に入らない幻にお酒。何故かと言えば生産量が少ないから・・・。どこが美味しいのか?・・・実は私も分かりません。普通の美味しく、料理を引き立ててくれる。最近流行の華やかな日本酒と正反対の、地味だけど「美味しい」日本酒。久留里にあって、水は上総掘りの硬水では無く、愛宕山からの清水を使用。


5位  「腰古井」 吉野酒造 勝浦 これも飛鶴と並び、普通に「本醸造」が旨い。カツオのタタキとか、ナメロウなど、青魚系と良く合います。

6位  「岩の井」 岩瀬酒造 御宿 「山廃仕込」の伝統で作られるお酒は、乳酸発酵によって酸味が立ちますが、そのバランスが絶妙。「本醸造」でも「純米酒」でも充分に美味しい。「古酒」がフランスのワインのコンテストのアダムスで賞を取っていますが、普通に「本醸造」で充分。


7位  「東塊盛」 本醸造  小泉酒造 内房君津のお酒。これも普通に美味しい。

8位  「五人娘」 純米   寺田本店 神崎(こうざき)  知る人ぞ知る「自然酒」の有名な酒蔵。病気をきっかけに「無農薬米」「蔵付き酵母」の酒造りを始めた先代の努力が実を結び、手間暇かけたお酒は、自然食ファンのみならず、日本酒ファンも納得の味わい。結構しっかりとしたお酒。この他に、「日本一マズイ日本酒」を自称する「むすび」は、発芽玄米の日本酒。ヌカとビールを混ぜた様な味は一度飲んだら忘れません。これが「日本酒のルーツ」なのかも知れません。寺田本店の天然酵母はパンの生地を発酵させた時の発酵力が違うと自然食界隈でも有名だとか。

9位  「不動」 吟醸生無濾過原酒 神崎(こうざき) 成田山の近くに本店は有りますが、醸造所は寺田本店と同じ水郷の神崎。発酵の街として有名です。メインのブランドは「仁勇」ですが、特別醸造の「不動」は農大系のお酒としてもレベルが高い。最近、味が上っている様に感じます。蔵の規模が大きいので、ランキングは下にしていますが、千葉の酒、ベスト3に充分入る実力。

10位 「最上白味醂」 味醂 馬場本店 佐原  東薫酒蔵の隣に位置する馬場本店。勝海舟も逗留した事のある酒蔵ですが、ここのイチオシは宮内庁御用達の「白味醂」。添加物一切無の味醂は、芳醇ですが、後味がさっぱりした甘さ。そのまま飲むと「リキュール」です。料理に使うと、家庭料理が料亭料理に早変わり。マジでスゴイです。