新刊を中心に恋愛小説を続けて読んでいると、なんとなく今という時代に求められているものが見えてくるような気がする。(まぁ錯覚かもしれないが)
それにしても、どの本の中でもなぜか穏やかな恋が次々描かれている。主人公の年齢的な問題もあるのだろうが、恋愛が一時的な感情ではなく、静かで落ち着くもの、という認識が定着しつつあるのか、なんて。
山田詠美の『無銭優雅』は42歳の2人が主人公。この小説はち . . . 本文を読む
東電OL殺人事件を題材にして神原さんが芝居を作ると聞いた時、とても意外な気がした。今までの彼女の作品カラーとこの題材が全く重ならない気がして、一体どんなものが生まれてくるのか、とてもワクワクさせられた。
出来上がった作品はいい意味でも、悪い意味でも、神原さんにしか作れない作品になっている。そこには感心させられた。そして、こんなにも叙情的な作品になっている。事件自体を描くのではなく、彼女が抱え . . . 本文を読む
とてもおもしろかった。1時間の完璧な空間造形がなされた作品は、ラストで斜めに傾いたドアに手をかけて、外に出て行くシーンまで、見事に作り上げられている。これは世界であり、宇宙だ。闇の中から繰り返されるいくつものイメージの連鎖。倒れ、起き上がる運動。ゆっくりと動いていく。ダンサーたちが作り上げる世界に引き込まれていく。
闇の中に浮かび上がる赤茶けた空間。隆起する地面。一部が剥がれ、盛り上がってい . . . 本文を読む