今年一番期待の映画だった。魂を揺さぶる傑作だったあの分厚い原作小説をそのまま映画化することは不可能だ。だが、李相日監督が原作者である吉田修一と台本を作り、2時間19分の大作としてまとめあげた本作が、ここまで、ふがいない出来であることに衝撃を受けた。
前半は悪くはない。この緊張感がどこまで持続するのか、ドキドキさせられた。だが、だんだんなんだか雲行きが怪しくなる。特に妻夫木聡に殺される満島ひか . . . 本文を読む
こういう恋愛小説を読むなんて本当に久しぶりのことだ。大体恋愛小説なんか読まないし、興味もない。大人のドロドロなんか読みたくもない。爽やかな青春小説の純愛ものでも、なんか腰が引けるし。そんな恋愛小説から遠く離れた自分にちょっとがっかりするのだが、実際のところは精神年齢がもっと低くて、恋愛以前の淡い恋物語のほうが自分にはぴったりなのかもしれない。まぁ、どうでもいいけど。
この小説を読みながら乗り . . . 本文を読む
昭和32年という微妙な設定は、この作品にとって、とても大事なことなのだろう。「もはや戦後ではない」という言葉が流行語になった昭和31年の後、日本は高度成長時代に突入していく直前。新しい時代の幕開けを背景にして、今だに戦争の影を未だひきずる人たち(それはあの時代を生きた「誰もが」が、そうであったはずだが)が、一つの決着を付けること。それが本編のテーマだろう。「まだ戦後は終わらない」のだ。時代の空気 . . . 本文を読む
こういうアニメーション映画が劇場公開される時の基準は何なんだろうか。公開2週目なのに、もう1日2回上映になり、普通の人が見られる時間はレイトショーの9時25分のみ。なのに劇場に行くと客はたった4人。この映画は一体誰がターゲットになっているのだろうか。
なんとなく面白そうなので、見に行ったのだが、設定の面白さを生かしきれないまま話がどんどん萎んでいくので、がっかりした。これは大人向けの映画では . . . 本文を読む
なんてことだ、と思う。思わず笑ってしまうくらいに態変は自由自在にこの芝居を作っている。『自由からの逃走』というタイトルを持つこの作品を、こんなにも自由に作ってしまうフットワークの軽さが今の態変の身上である。
もともと怖いもの知らずの集団だったのだが、昨年の『ファンウンド潜伏記』を経て、完全に開き直ってしまったのではないか。自分たちの不自由を逆手にとって、不自由だからこそやれることを模索続けて . . . 本文を読む