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映画・演劇のレビュー

『聯合艦隊司令長官 山本五十六 -太平洋戦争70年目の真実-』

2011-12-29 09:34:59 | 映画
 今なぜ山本五十六なのか。その1点だけを考えながら見ることとなった。東映お得意の戦争超大作なのだが、もうこの手の映画は観客のニーズにはない。アナクロ企画を敢えて持ってきてまで見せたかったものは何なのか。それだけが知りたかった。70年目の真実なんて、言い訳でしかない。今だから言える、なんてことはない。もう言わなくてもいいよ、とほとんどの人が思うことだろう。この時代に必要な指導者、とでも言うのならば、 . . . 本文を読む
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SSTプロデュース『眠っちゃいけない子守歌』

2011-12-29 09:28:36 | 演劇
 眠れない(というか、敢えて「眠らない」のだが)男(山口雅美)の血走った目と、いきなりの凶暴な応対が、一瞬、女(辻野可奈恵)を怯ませる。しかし、彼女はプロである。(何のプロなのかはやがてわかる)冷静に対応して、今自分の置かれている現状を把握し、自分の為すべきことをする。だから、男は少し落ち着いて女と向き合うこととなる。このオープニングの緊張感がとてもいい。  SSTプロデュースの第2作は、前作『 . . . 本文を読む
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十中連合『濡れると、渇く』

2011-12-29 09:25:58 | 演劇
 こういう妄想を理屈もなく感性の赴くまま綴られていくと、見ていて退いてしまう。作り手のひとりよがりのわがままについていけなくなるからだ。しかも、1本のストーリーとして全体をまとまる力もないまま、細切れの断片の羅列をさも意図的なもののように見せられると、せめて一貫性のあるドラマとして提示してくれ、とごねてしまいたくなる。これが自分の方法論なのだ、なんて思っているのなら大きな間違いだ。きちんと見せるだ . . . 本文を読む
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『導火線』

2011-12-29 09:20:16 | 映画
 ウイルソン・イップがドニー・イエンとコンビを組んで作った入魂の一作。昨年、一昨年と連打した(僕は今年に入ってようやく見たのだが)『イップマン』二部作(日本公開は今年だ!)の前に2人が作ったのがこの作品だ。本邦未公開作だった刑事アクションなのだが、ドニー人気で浮上した。ここで2人は、たわいもない刑事ものの枠内で、ある意味、肉体を使ったアクション映画の限界に挑んでいる。  特に後半の怒濤の肉弾戦は . . . 本文を読む
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原宏一『東京ポロロッカ』

2011-12-29 09:15:39 | その他
『佳代のキッチン』の原宏一の新作。このタイミングで出版されるのは、ちょっとあまりにタイムリー過ぎて出版の時期はかなり考えたのではないか、と思う。今年の2月に書き終えて、そのあとあんなことが起きた。  南米アマゾン川の「ポロロッカ」のように多摩川が逆流して洪水になり、町が流される、という噂を巡る7つの短編連作である。この作家らしいハートウォーミングなのだが、震災の直後のこの時期にこれはちょっとなぁ . . . 本文を読む
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