この世界の果てまで行きたい、と願う。もう、どこにもいたくはない。どこにも自分の居場所なんかないからだ。少年は、ずっとこの北の街で暮らしてきた。両親と弟と、4人家族だ。別に何の不満もない。いい家族だ。両親は理解があるし、弟はかわいい。だけど、彼は誰にも心を開かない。部屋の押し入れの中で寝る。まるで幼い子供のようだ。もう15歳で、もうすぐ高校生になる。学校でも、いつもひとりで、どこにもつながっていな . . . 本文を読む
内戦が終わり、なんとか平和が戻ったはずのボスニアを舞台にして、戦後を生きる人々のドラマが描かれる。戦争の傷跡は目に見えるところにだけあるのではない。本当はそんなとこより、目には見えないところにこそ、深い傷みを残す。
最初は、明るい恋愛劇のように見える。恋人たちの現実をスケッチする。空港を舞台にして、キャビンアテンダントの女性と、その恋人の管制塔で働く彼が繰り広げるドラマだ。彼が勤務中酒を飲ん . . . 本文を読む
とてもいい映画だ。こういう映画が見たい。見知らぬ風景、見知らぬ人々。彼らの生きる現実と映画を通して自分と、世界が一瞬クロスする。そんな瞬間に胸ときめく。僕は彼ではないし、彼のように強くはない。だけど、彼の生きる現実に映画を見ることでシンクロする。これが映画を見る快感だ。よくこんなことがある。いい映画を見たときだ。
彼は4000キロを歩いてここまで来た。一途に彼女のことを想い、この長い旅を続け . . . 本文を読む