まるでパリの街を目的もなくフラフラ歩いているみたい。そんな映画だ。でも、心ウキウキするわけではない。女(中山美穂)にとってそこは、ただ、いつもの日常のひとこまの風景で、男(向井理)にとってのそこは、まるでリアルじゃない書割の観光のひとこま。その2つが交錯して、化学変化する魔法の瞬間を描く、はずなのに、ものすごく、テンションは低い、のがこの映画の特徴。猜疑的になっているのだ。パリなのに、魔法にはか . . . 本文を読む
『帰宅部ボーイズ』を読んで、悪い小説ではないのだけど、ちょっとブルーな気分になったので、今度はハッピーな気分になるためこの小説を読んだ。なのに、なかなかそううまくはいかない。
今度の小説は、女の子で、中学生ではなく、高校生が主人公。1980年、岡山が舞台だ。これは、原田マハが、倉敷を最初の出発点にした最新作であり、最高傑作でもある『楽園のカンヴァス』の前に手掛けた作品である。確かにこれは悪く . . . 本文を読む
WFで態変を見るのは実に久しぶりのことではないか。しかも、本公演である。これは今の態変の基本姿勢がよく伝わってくる作品だ。この小空間で、本公演での態変の派手なパフォーマンスを見せる。さまざまな仕掛けがが凝らされていて、見ているだけで楽しい。
だが、それだけではない。ひとつひとつのエピソードの積み重ねが、今の金満里の気分を伝える。大事なのはそこだ。エンタメではないのだから、仕掛けや華やかさに惑 . . . 本文を読む
こんなファンタジー小説を読むのは僕の趣味ではない。だが、作者は濱野京子さんだから、それだけで、借りてきてしまった。最初はさすがに抵抗があったけど、だんだん話しの中に引き込まれてきた。やはり、彼女は信用ができる。
とある小さな国のお姫様が、自由を求めて旅に出て、ある国にやってくる。彼女は自分が女である、というそれだけのことで縛られていることが、嫌でしかたない。男はあんなに自由になのに、女である . . . 本文を読む