なんとも素朴で心優しい男の話。だが、そんな彼が目の前の現実に翻弄される。みんなのために盗電する彼は、警察に捕まり、その後もあれやこれやで、散々な目に会うことになる。
この主人公が好きだ。こんなバカな人はなかなかいない。素朴すぎるから、生き辛いはずだ。現にこの映画の中でも困難な状況に追い込まれる。一生懸命だし、とても善良だ。だれが見てもわかる。だから奥さんにも愛されている。だが、世知辛いこの世 . . . 本文を読む
シリーズの第2弾。前作の続編ではなく、約10年後の近隣の国のお話になる。3部作はいずれも別々の主人公による独立したお話だ。今回は2人の王子から好かれた貧しい靴職人の娘が主人公。いかにも、なラブストーリーで、前作ほどにはおもしろいと思えなかった。この世界観は悪くないし、そこで展開する壮大なロマンに身を任せ、その世界を満喫できればそれでいいのだが、今回は話自体が思ったほどには広がらないからだ。
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遊劇体のよる泉鏡花シリーズの第7作。今回は会場に国立文楽劇場を選んだ。公演会場は小ホールだが、こういうちゃんとした客席を持つ常設ホールでの上演はこのシリーズでは初めてだ。小劇場での公演から離れて、古典芸能の本場であるこの場所で、しかも、歌舞伎のスタイルに徹したオーソドックスな舞台作りである。(『多神教』のケースもあるが、あれは常設劇場とはちょっと違うと思う)
これは、今までの実験的な要素も含 . . . 本文を読む