11年振りの再演だ。スペースゼロ演劇大賞を受賞した傑作である。といっても、オリジナルキャストによる再演ではない。当然それはありえない話だ。高校の演劇部は毎年、メンバーが変わるのだから、同じ座組みは絶対ない。(もし、それが出来たなら、それはそれで凄い話だが)
これまで3度上演している。金蘭ならではの作品なのだ。大人数の人海戦術で見せるこのスペクタクルは、部員が、それだけ揃わなくては作れない。も . . . 本文を読む
なんだか小難しいタイトルを付けているけど、パンフにもあるけど、これは「ギャグです」ということらしい。確かに冗談のようなお話だ。笑って見ればよい。でも、笑えないような現状も確かにここにはある。だから、そのへんをちょっと社会風刺も含めてシビアに描くこともできたはずだ。だが、しない。この芝居は携帯について物申すわけではない。ケータイを介して作ったコメディなのだ。
昔こういうのを渡辺謙がCMでやって . . . 本文を読む
19の短編集。一番おもしろかったのは、横書きで書かれた『東京の日記』だ。最初は風変わりな話ばかりが並ぶので、面食らったが、だんだん慣れてきた。川上弘美の小説のようなもの、と思うと、何ら問題がない。だが、最初はそうは思わずに読み始めたから、戸惑った。微妙にオチないやん、と驚く。
わかりやすい短編を作るつもりはない。でも、小難しいことはしない。星新一のようなショートショートもある。これを自由に楽 . . . 本文を読む
カフェ公演なのだが、まるでいつもの公演と変わらない。まぁ、上演される空間はcafé slow大阪なので、完全に小劇場仕様だ。だが、それが理由ではない。高橋さんはどこで、何をしようと変わらないからだ。彼女は今回、特別な場所ではなく日常の延長上にある場所を設定したかった。だから、非日常の劇場ではない空間を選んだ。これは僕たちの生活から地続きの芝居。
それにしてもこの静かな芝居が孕ん . . . 本文を読む
3月に初演されたばかりなのに、早くもこの夏、再上演された。しかも、キャストはすべて入れ替えているばかりか、演出も大幅に変更した。というより、これはもう新作である。台本自体が原型を留めないほどに改ざんされている。これでは、あの作品の感動が損なわれる。
だが、これはもう別の作品なのだ、と思うと、実は楽しい。まるで「眼帯のQ」の姉妹編だ、と考えるといい。ところどころに前作のイメージがちりばめられる . . . 本文を読む
結婚詐欺の女。だが、彼女は、男たちをだまそうとしたわけではない。誰に対しても誠実だっただけなのだ。それぞれの前ではちゃんと相手を見ている。でも、複数の男と同時に付き合える。普通、それじゃぁ、誠実とは言わない。でも、彼女の中ではそれは間違ってはいない。他人は許さないだろうし、それぞれの男たちが鉢合わすことを恐れるのだから、済まないという気持ちや、まずいという思いはある。だがそれは単純な罪悪感ではな . . . 本文を読む
これはとても好きだった芝居だ。南河内万歳一座の初期作品である。同時に彼らの代表作のひとつでもある。あの頃の時代の気分が濃厚に出ている作品だ。今まで何度となくいろんな劇団の上演するこの作品を見た。もちろん最初は本家の南河内万歳一座の上演で。再演も含めて3度は見ている。高校演劇でも見ているし、最近では浪花グランドロマンもこの作品に挑戦していた。
初めて万歳のこの芝居を見た時、あんなに泣けた。「勝 . . . 本文を読む
たまたま時間が出来たので、見た。そして、大当たりだった。今回僕が見た7本の中でこれが一番新鮮だったのではないか。精華高の芝居は初めて。シンプルで、スタイリッシュ。役者たちもとても上手い。ダンスシーンもおしゃれ。特別なことはしていない。身の丈で作られている。でも、その無理のなさがいいし、表現に余裕があるのがいい。精いっぱいに背伸びした高校生の芝居も見ていて気持ちがいいけど、暑苦しい。だからこの自然 . . . 本文を読む