2021年は読みたい本をどんどん読もうという夢にような時間を過ごした。年間277冊の本を読んだ、そのほとんどが小説である。そして基本的に新刊を中心にして読んだ。とても楽しかった。映画や、(ちょっとした)仕事(のようなもの)のない日は読みやすい本なら1日2冊くらいのペースだ。じっくり読みたい本は数日かけて終日読む日を作ったりもした。もうやりたい放題である。
昔、将来の夢は、本を読んでそれが仕事とな . . . 本文を読む
顔に大きな痣があることで、虐められ、学校に行けなくなった少年は、化粧をして隠すことでようやく高校に行けるようになる。クラスメートにばれることを怖れ、教室では存在を隠して、息を潜ませるように生きる。そんな彼が高校2年のある日、夜明け前の新聞配達中、同級生の女の子を見かける。こんな時間に彼女は公園でひとり、煙草を吸っている。これはそんな二人と、その周囲の友人たちのお話。
もう傷つきたくないから、誰と . . . 本文を読む
映画化された『明け方の若者たち』は原作には及ばない。だけど、原作小説自体も少しもの足りない出来だった。では、よく似た内容の映画である『花束みたいな恋をした』のほうがいいか、と言われたなら、それもちょっとなぁ、と思う。微妙。この手のお話はどこにでもある。自分の体験のほうが小説よりドラマチックで感動的だ、なんて思うようなお目出たい人たちもきっと多数いることだろう。わかるわぁ、という感じ。そんなさらりと . . . 本文を読む
こんな小説はない。2ページくらいでひとつのエピソードが終わる。そこに登場する主人公は、それだけの一瞬だけで消えていく。いや、消えたわけではない。彼らの時間は続くけど、小説は次にはもう別の人物に視点を変えている。そんなふうにして100人くらいの断片が綴られていく。時々、以前出てきた人物が登場したりもする。彼や彼女の周囲の人のエピソードに顔を出したりもする。そこには特別なことはない。どちらかというと、 . . . 本文を読む