2021年の最新台湾映画。コロナ禍を正面から扱う。2020年夏から21年にかけてがお話の背景となる。というか、背景ではなく前面に押し出される。あの頃でなくては成り立たない映画をこのタイミングで作るなんて大胆としか言いようがない。昨年日本でもコロナ禍の人々の営みを前面に押し出した映画が作られた。その代表作は石井裕也監督の『茜色に焼かれる』であろうが、この台湾映画はあの映画のさらに上を行く大胆さだ。当 . . . 本文を読む
思いがけない傑作に出会えた。それがこの作品だ。まるで期待しないで、でも短歌の映画化というので先日の『春原さんのうた』と同じじゃん、と思い、なんとなく見始めたのだが、(宣伝文句には「あふれる才能を遺し、突然この世を去った歌人の 遺作となった唯一の歌集完全映画化」とある)それがもう圧倒的で繊細な映画で感心した。
別々の3つのお話が同時進行してやがてひとつになっていく。中学時代の虐め。そこで展開する3 . . . 本文を読む
かわいい表紙を見て何も考えずに手に取った。読み始めて驚く。なんなんだ、これは、と思う。勝手に思い込んでこれを軽いタッチの青春小説だと思っていたからだ。この異常な展開にアタフタしているうちに、どんどん作品世界に取り込まれていく。この15年間も封印されていたという幻の「第39回新潮新人賞」受賞作品に圧倒された。
東北生まれの美貌の青年アマネヒト(この名前も何なんだと思う。漢字で書くと、フルネームは天 . . . 本文を読む