習慣HIROSE

映画・演劇のレビュー

『晴れ、ときどきリリー』

2014-03-06 20:03:25 | 映画
 周囲になじめない子供なんてどこにでもいる。うまく溶け込めない。僕もそうだった。他者との付き合いが苦手で、人見知りする。初めての人とどう接したらいいのかよくわからないから、緊張する。でも、なんとかして、努力して生きてきた。自分だけ、周囲から「はみられた」なら厭だから、そうならないように、協調性がある「ふり」をする。それでなんとか凌いできた。小学生や中学生のころはほんとうにきつかった。高校生になって . . . 本文を読む
コメント

杉江由次『サッカーデイズ』

2014-03-06 19:52:45 | その他
 地域の女子サッカーチームのコーチを引き受けたお父さんの奮戦記。1年間のさまざまな出来事を綴るだけではなく、自分がサッカーとどう向き合ってきたのかも、またそこで振り返る。少年時代、中学のサッカー部でどんな思いをしたのか、そのエピソードが、適宜挿入されていく。サッカーが大好きで、でも、上手くなくて、ずっと補欠で、そんな日々が、今の自分のお話(息子と娘のサッカーチームでの1年)と同時進行で描かれる。こ . . . 本文を読む
コメント

重松清『ゼツメツ少年』

2014-03-06 19:49:28 | その他
 暗くてつらい話だから、読みながら気が進まない。途中で他の本を一冊挟んでしまったほどだ。でも、本当はその先がすごく気になっていたから、明るい他の本(『サッカーデイズ』)を読みながらも、ゼツメツ少年たちが気になっていた。彼らは一体どうなってしまうのだろうか。あの3人の行方が知りたい。2日置いて再び本を手にする。  後半200ページは一気に読んでしまった。(といっても、いつものように通勤電車の中で、 . . . 本文を読む
コメント

『ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅』

2014-03-05 19:55:39 | 映画
 今時めずらしいモノクロ・シネスコ映画だ。商業映画ではなかなかミノクロは出来ない。ジム・ジャームッシュの懐かしの映画『ストレンジャー・ザン・パラダイス』を思い起こす。それくらい久々のモノクローム・ロードムービーである。始まったところから、一気に作品世界に取り込まれてしまう。高速道路を歩く老人。パトカーが止まって彼を呼びとめる。「じいさん、どこに行くんだね?」と。老人は歩いてネブラスカまで行くつもり . . . 本文を読む
コメント

『魔女の宅急便』

2014-03-05 19:51:37 | 映画
『呪怨』の清水崇監督がこんなハートウォーミングを撮った。もうそれだけで驚きだが、別に彼はホラーしか撮れないわけではない。それよりこれまでそういうワンパターンを押し付けられていたことのほうが不幸なのだ。今回ようやく、彼の本領発揮の機会が訪れたのかもしれない。 最初から最後まで、ここまでするか、というくらいにかわいい映画だ。でも、そこに新井浩文のような凶悪なキャラの役者を配して、バランスを取る。 . . . 本文を読む
コメント

コズミック・シアター『血の婚礼』

2014-03-04 20:45:32 | 演劇
 ロルカのこの作品は以前映画で見ている。カルロス・サワラの作品だ。今から30年ほど前の事で、あの頃サワラの映画は一世を風靡した。あれはドキュメンタリータッチの作品でロルカの作品を舞台化するバックステージものだった。しかもストレートプレイではなく、舞踊としてだ。だから、あれは実際のこの戯曲の映画化ではない。ただ、あの頃、『カルメン』を始めとしてサワラの映画の熱い情熱のようなものに囚われた。  今回 . . . 本文を読む
コメント

満月動物園『アッシュメロディー ~遺灰の歌~』

2014-03-04 20:43:17 | 演劇
 これが『ウタウタイノホネ』の再演だったなんて、後で気がついた。いつもの戒田竜治さんの作品だなと思いながらも、これって以前にも見たような気がするな、と。(だいたい最初は今回もシニガミが出てくるものと思っていたほどだ)チラシはほとんどちゃんと読まないからこうなる。もちろん、どの劇団のチラシでも、というわけではない。必ず見ることにしている劇団の場合には事前情報は一切いらないからだ。芝居が終わってから、 . . . 本文を読む
コメント

空の驛舎『ライトハウス』

2014-03-03 19:31:00 | 演劇
今回の中村賢司さんには迷いがない。普通ならこの難しい題材を取り上げてどういう切り口で見せるのかは悩むはずだ。いくつもの逡巡があり、それでもどうしたらいいか、わからない。誰もが苦しんで、自分を責める。あるいは逃げ出す。たとえ自分の父親であっても、まず今の自分の家族があるし、生活もある。そこに抱え込むのは、困難だ。認知症の父親の介護。田舎の家で一人暮らしをする父が惚けてきた。誰かがいなくては危険な状 . . . 本文を読む
コメント