『野ブタ。をプロデュース』の白岩玄が再び高校生を主人公にしてイジメの問題を扱う。またまた、特異な設定で、読者をケムに巻く。今回の主人公はヒーローになる。でも、たいしたことはない。彼は休み時間にグランドでヒーローショーを演じるだけだ。本当のヒーローではない。しかも、なんと大仏マンである。ふざけているのではない。インパクトを与えたいための所業だ。そんな彼を演劇部の友人女子が演出する。
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最近、金曜日の夜は封切りしたばかりの(初日の、という意味だ)映画を見に行く。そのわけは、僕が金曜の夜に時間がとりやすいのと(クラブが基本的に休みなので、)最近あまり芝居を見に行かなくてもいいからだ。さらには、映画が地味な作品は公開から1日で小さな劇場に追いやられることが多いからでもある。(驚くべきことだが、それが事実なのだ。特に梅田のTOHOシネマズは劇場の大きさに差があるからそう . . . 本文を読む
思いがけない傑作と出会う。最近僕はついている。あまり期待せずに読み始めたのに、こんなにも凄いものと出会い、感動している。だって、悪いけど、津村記久子である。いつも、(そんなには悪くはないけど、)ほどほど程度だった。マニアックで地味。(すみません!)なのに、なんだぁ、これは!!
もちろん、今までの仕事の流れから生まれたことは必至だろう。特別新しいことをしているわけで . . . 本文を読む
沖田修一監督が放つ最新作は『滝を見にいく』で摑んだあの感覚を最大限に生かした作品だ。このさりげなさが可能になったのは、素人の女性たちとともに作ったあの作品の成功があったからに違いない。今回はうまいプロの役者たちを使いながら彼らに自然体の演技を課す。演じさせないで、演じるのは、難しい。でも、そんなことを彼らは実にさりげなくする。(だって、主人公の息子と父親を演じるのが松田龍平だし、柄 . . . 本文を読む
リバイバルという現象がなぜ彼にだけ起きるのか。なんてことは、まったく問答無用。説明なんかする気ない。怒濤のように彼に起きた事実だけを見せていく。理不尽なことがわけもわからず展開していく。まぁ、人生にはそんなこともあるだろうけど、なぜ、を置き去りにして映画は最後まで駆け抜ける。
なってしまったことは、もう受け入れるしかないし、そのうえでなんとかするための努力をするしかない。母の死をリセットするため . . . 本文を読む
こういうタイプの作品も吉田篤弘が書いていたのか、とちょっと驚く。でも、この森見とか万城目とかを思わせる一見ふざけた作品が、実はその後の彼の作品に繋がることは明白で、300ページ以上に及ぶ大作はホラ話スレスレで実はとても生真面目な彼らしい。
曇天先生は上野の美術館で、ダ・ヴィンチの『受胎告知』の絵の中に入り込む。そこから始まるお話だ。(なんでモナリザではないのか、と . . . 本文を読む
オリジナルの韓国映画(『怪しい彼女』)を見た時、これはよくあるパターンだな、と思った。でも、とてもおもしろいとも感じた。2時間至福の時間だった。でも、それが翌年には中国映画としてリメイクされ、(『20歳よ、もう一度』)今年、またもや、日本映画として再映画化、である。なんと3作品ほぼ連続して毎年見ることになるなんて、またとないことだ。(実はこれだけではなく、ベトナム版『ベトナムの怪し . . . 本文を読む
2時間15分の大作だ。オリゴ久々の劇場公演で、気合いが入りまくっている。岩橋さんが持てる力を結集させて放つ渾身の力作、ということにしておこう。というのも、岩橋氏はいつものように自然体だし、描かれるお話もいつもと、かわらなし。長編にはなったけど、それもたまたま。大河ドラマを作るのでもなく、ただ、役者もたくさんだし、劇場だし、四方囲み舞台だし(これは関係ないかぁ)、なんだかんだで、長く . . . 本文を読む
これは大胆な芝居だ。なかなかここまではしない。しかも、こんなにもいいかげんな作り方でお茶を濁す。もっとしっかり作れよ、と思う。でも、思いつきだけで、芝居を作っているから、つめは甘い甘い。でも、そんなところも若手だし、経験も浅いし、何も知らないから、許して! と甘えられたら、仕方ないなぁ、というしかない。もちろん、だれもそんなこと、言ってないけど、そんな気にさせられる芝居なのだ。
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少し期待した映画とは違っていたけど、これはこれで刺激的でドキドキさせられた。幼い少女は生まれてからずっと部屋だけで暮らしてきた。外の世界を知らないで純粋培養されたならどうなるのか。そんな彼女が外の世界に出た時、どんなふうに世界を認識することになるのか。予告編からはそんなお話だと思っていたのだが、実際は微妙に違う。
だいたいあの髪の長い子供は5歳になったばかりの男の子で、彼と母親は監禁されていた。 . . . 本文を読む
2013年の作品。南相馬を舞台にして、福島原発から20キロ圏内で生活する母親と娘だけの家族と、そこにやってくる従兄のお話。
主人公はこの従兄のほうで、彼はIT企業の社長で、羽振りよくやっていたのだが、調子に乗りすぎて莫大な負債を抱え会社を倒産させてしまう。やくざから追われて、命からがらここまで逃げて来たのだ。そんな彼が再会した従妹の不思議な力に引き寄せられていくさ . . . 本文を読む
これは凄い。短編連作なのだが、冒頭の母親が夫を殺す話のあっけらかんとしたタッチに興奮する。最初はこの老人は痴呆なのか、とか、最近よくある介護疲れからの犯行かとか、思うけど、そうじゃない。確信犯的行為なのだ。でも、彼女は夫を恨んでいるとかいうわけではない。では、何なのか? まるでわからないまま、突き放されたように、唐突に断ち切られる。
最初は短編集で、ひとつひとつは . . . 本文を読む
まさか、こんな映画を見ることになるなんて。時間があると、ついついなんでも見てしまうけど、さすがに「これはふつうないわぁ、」と自分でも思う。
デジモンはほとんど見たことがない。オリジナルから15年。高校生になった主人公たちの新たなる冒険が描かれる3部作の2作目。1作目のポスターを見た時に、なんだかおしゃれで、もしかしたらこれは面白いかも、と少し、気にはなっていた。でも、さすがにそれだけでは見ないだ . . . 本文を読む
実は最近の韓国映画を5本くらい連続して見た。でも、このブログでは書いてないけど(時間もないし、あまり書くこともないし)少し、時間も出来たから、まとめて印象だけでも書くことにする。5本ともまるで別ジャンルの作品だ。だけど、いずれもいかにも韓国映画というべきパターンにちゃんと収まる。それって、何なんだろうか。
2本については実は書いていた。『国際市場で会いましょう』と . . . 本文を読む
今のアメリカ映画界ではマーブルコミックの映画化がもう常態で、毎年何本となく公開される。DCコミックスも含めてヒーローもののオンパレードだ。別に嫌いではないから見るけど、さすがに飽きてきた。日本映画もコミック映画化ばやりで、少女マンガの花盛り。いずこも同じ。でも、いくら工夫を凝らしても、たかが知れている。そのうち飽きられるだろうとは思うけど、あちらも商売だからあの手この手を繰り出す。 . . . 本文を読む