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映画・演劇のレビュー

『キル・ボクスン』

2023-05-05 12:28:32 | 映画
Netflixの最新映画だ。(もう配信スタートから1月くらい経つけど)大ヒットしているようだ。さもありなん。2時間17分とかなりの長尺だが、飽きさせないし、チャーミングな映画だ。『ジョン・ウィック』の女性版って感じで、なかなかキレのあるアクション映画にもなっている。そして何よりチョン・ドヨンが素晴らしい。 冒頭の日本人ヤクザ(在日コリアン2世)との戦いは導入としてよく出来ている。1対1の対決だが . . . 本文を読む
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『アダマン号に乗って』

2023-05-04 20:16:00 | 映画
これはデイケアサービス施設を描くドキュメンタリー映画なのだが、そこはなんと船の上。セーヌ川に浮かぶ「アダマン」という名の木造建築の船が、デイケアセンターなのである。驚きだ。精神疾患を患う人たちを無料で受け入れている。ここに集まってくる人たちと施設の職員たちとの交流が描かれる。朝、職員がやって来て船のすべての窓が一斉に開くシーンから始まる。そして同じように窓を閉めていくまで。ここでの日々のスケッチを . . . 本文を読む
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上野歩『お菓子の船』

2023-05-04 20:15:00 | その他
どんだけ「食」をテーマにした小説があるんだか、と思うくらいにどんどんその手の小説が刊行されている。というか、そんなのばかりを僕が(たまたま)手にして、読んでいるだけかもしれないが。いずれも面白いけど、さすがに読むのがこんなのばかりではいいかげん飽きてきたから、この手の小説はこの辺でしばらくお休みさせてもらうつもり。好きだけど、過剰摂取は体によくない。たぶん。 さて、お休み前の1作。今回はお菓子職 . . . 本文を読む
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『せかいのおきく』

2023-05-03 10:19:00 | 映画
タイトルは『おきくのせかい』ではなく『せかいのおきく』だ。ひらがなで綴られるこの不思議なタイトルが映画を象徴する。時代は江戸末期。貧乏長屋。お菊(黒木華)はこの小さな世界で確かに生きている。けなげとかいうのではなく、すっくと立つわけでもない。長屋で父とふたり。気丈に生きていたが、父だけではなく声までも失い、たったひとりになった。それでも生きていかなければならない。この世界でひとり、生きていく。 . . . 本文を読む
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『郊外の鳥たち』

2023-05-03 09:58:00 | 映画
これはまるで思いもしなかった映画だ。先日見た中国映画の傑作『小さき麦の花』のような温かい映画だと勝手に思っていた。要するに中国版『スタンドバイミー』のような甘い映画を期待したのだ。確かチラシの裏にもそんなことが書いてあったし。だけど、まさかの映画で、驚いた。(確かにチラシにはカフカの『城』とかも、書いてあったんだけど。)不条理劇とかいうわけではない。ノスタルジックで懐古的な映画でもない。もちろんそ . . . 本文を読む
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村上春樹『街とその不確かな壁』

2023-05-03 08:54:00 | その他
GWの3日間はこの本を読んで過ごした。最初の1日、5月1日に350ページまで読んだ。実は4月30日の夜、冒頭の50ページまで読んでいる。少年と少女の出逢いから始まる。彼は16歳、彼女は15歳。高校生だ。初々しいラブストーリーになる。1年後、ふたりは17歳と16歳になった。当然だが。話はそこから始まる。 第一部は長い長い導入で、いつまで経っても話が始まらない。いいかげんうんざりしてしまう。それは1 . . . 本文を読む
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タルオウム『キャンパー』

2023-05-01 09:18:00 | 演劇
この劇団の芝居を本格的に見るのはたぶん初めてだ。気にはなっていたけど、なかなか見る機会はなかった。残念ながら解散したmayの芝居を見ていた頃、金哲義が演出をした作品を見た(気がする)。在日朝鮮人を主人公にして自分たちの問題を発信していく芝居が普遍性を持つのは、描かれる問題が他人事ではなく、我々すべての問題だからだ。というか、それが普遍的ということなのだが。ここからは余談だが芝居の後、たまたま塚本さ . . . 本文を読む
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『午前4時にパリの夜は明ける』

2023-05-01 09:11:00 | 映画
ミカエル・アース監督の第3作。チラシでは『アマンダと僕』の監督と紹介されているが、デビュー作『サマー・フィーリング』がずっと素晴らしい映画だったのになぁ、と僕は思う。  今回、シャルロット・ゲンズブールを主演に迎えて80年代パリで生きる家族を描いた。81年から84年、87年の三つの時代を描く。離婚から始まる。ふたりの子どもたちとの暮らし。初めて働くことになる不安の中、家出少女を助けて一 . . . 本文を読む
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iaku『あたしら葉桜』

2023-05-01 09:01:00 | 演劇
前作の『あつい胸さわぎ』再演を見逃したから、久しぶりのiakuだ。その間、横山さんは第一作の小説が出版されたり、『あつい胸さわぎ』が映画化されたりと大車輪の大活躍。終演後、久々にお話も出来て楽しかった。  今回のiakuは岸田國士と横山拓也のコラボ企画。ふたりの『葉桜』を並べた。静と動。朗読と演劇。昔と今。演出は横山さんではなく、彼の信頼するパートナー上田一軒。変わらないものを提示する . . . 本文を読む
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