このタイトルはあまりに安易だ。明らかに小津安二郎の『東京暮色』を意識している。あれは小津映画としてはあまり出来のよくない作品である。(と、僕は思う)だから、あの映画を意識するこのタイトルは不吉だ。有馬稲子は一番美しいと思うけど。原題は『強尼・凱克』、英語タイトルは『 Missing Johnny』。だから2017年・第18回東京フィルメックスのコンペティション部門に出品された時には「ジョニーは行方 . . . 本文を読む
ベン・アフレック監督、マット・デイモン主演による最新作。GWに劇場公開した作品が早くもAmazonプライム・ビデオで配信がスタートした。いいのか、これで、と心配になる。それでなくとも来月から映画料金が値上がりして2000円になるのに、配信で家ですぐ見られるのでは、誰も劇場に行かなくなるのではないかと心配になる。
まぁ、それはさておき、この映画である。『グッド・ウィル・ハンティング』の脚本、主演コ . . . 本文を読む
2019年に刊行された作品が文庫化されたので読み始めた。いつも通りの柴崎友香。何も事件はなく、日常のスケッチ。だけど400ページに及ぶ長編。たまたまだが、これがコロナ禍前に上梓されたのは幸運だ。ここには当然コロナの影は一切ない。変わることない、はずの時間の中に彼女たちはいる。それをたまたまコロナ以後(になりつつある今)に読む。
住み心地のいい一軒家の離れで暮らすひとり暮らしの女性が主人公。39歳 . . . 本文を読む
先日読んだ『できたてごはんを君に。』の前作にあたる作品。短編連作だが、お互いのエピソードが微妙なところで繋がっている。同じ町のお店(その町に住む人たち)が舞台(主人公)になるからだ。5つのお話からなる。
『できたてごはんを君に。』と比較するとレベルは低い。それくらいに『できたてごはんを君に。』がよく出来ていたということなのだ。だが、これはこれでなかなかいい。でも、もしこれを先に読んでいたなら『で . . . 本文を読む
『イン・ザ・ベッドルーム』でデビューし、傑作『リトル・チルドレン』をものにしたトッド・フィールド監督の久しぶりの新作。なんと16年ぶりとなるこの第3作は2時間40分に及ぶ長尺映画だ。ケイト・ブランシェットが主人公の天才指揮者を演じる。映画はひたすら彼女を追い続ける。そして、僕らは彼女の一挙手一投足から目が離せない。ケイトがアカデミー賞主演女優賞を獲らなかったのは不思議だ。ここまで凄い生きざまを描く . . . 本文を読む
最初は原題の『Knights of the Zodiac』そのままの『ナイト・オブ・ザ・ゾディアック』というタイトルで宣伝されていたのに、公開直前になり『聖闘士星矢The Beginning』という邦題に変更された。わかりやすいようにという配慮なのだろうが、すごく安っぽくなった気がする。別に大人気だった原作漫画をリスペクトしないというわけではなく、今の時代にこれを映画化する上で必要なことは何かと考 . . . 本文を読む