1995年、宇都宮の高校生。黎明期のインターネットに繋がることから始まる物語。高校2年の達也と無邪気な父親。彼らの日々がさらっと描かれる。それを見守る。特別な時代。世紀末、阪神淡路大震災、オウム真理教があって不安な時代に、彼らは日常を送った。これはそんな日々のスケッチだ。
家族のこと、街のこと、もちろんネットで繋がったゲイ・コミュニティ、父の仕事、アンプの制作、いろいろ要素が散見する . . . 本文を読む
サブタイトルに『ゾンビになるまでにしたい100のこと 』とある。昔そんな感じのタイトルの映画(『死ぬまでにしたい10のこと』)があったが、(これはそのパロディでもあるが、)100もしたいことが思いつかない。でも大丈夫。ひとつずつやっていけばいいし、また思いついたら足していくといい。これはそんな感じで、生きることにした青年の10日間を描く爽やかな青春映画。夏のホラー映画特集(勝手に自分に . . . 本文を読む
父親の転勤でオーストラリアに家族とともに移住した12歳の真人を主人公にしたシリーズの第3作。『Masato』『Matt』に続く3部作の最終章だ。大学生になった彼は進路を演劇の道ではなく、就職に変更する。そんな時たまたま人形劇に誘われた。そして人形劇に心惹かれることになる。そこで大学のデザイン科でマリオネットを制作しているアビーと出会う。アルメニア人の彼女と日本人出ある真人。ふたりはこのオーストラリ . . . 本文を読む
これはある種の寓話なのだろう、と思って見ていた。こんなバカな、と思いつつも、だけど、このお話にはとても説得力がある。虐げられていた女性が男たちに反旗を翻す、なんていう話なのだが、お話に基本が女たちのディスカッション。延々とそれが続く。確かのこれは架空の村の話だが、原作はボリビアで実際に起きた事件を基にしているミリアム・トウズの小説の映画化、だと後で知り驚く。古臭い衣装や村の風景から18世紀とかそん . . . 本文を読む
これは西河克己監督の1959年作品だ。なんとこれは僕が生まれた年に作られた映画で、高校時代大好きだった芦川いづみさんが主演しているし、未見の映画だったから見ることにした。川端康成の原作を芦川いづみ主演で北原三枝、清水まゆみが三姉妹を演じる文芸映画だが、原作からは基本設定だけを使い、日活らしい(?)なんか生ぬるい映画に仕立てたようだ。で、わざわざ今見る意味はない。ただ先日西河克己監督記念館に行ってき . . . 本文を読む
妄想癖のある中学2年生の依子が主人公。クラスに馴染めず、現実より妄想世界で生きている。死んでしまった愛犬トトと今も心の中で喋っている。宇宙人から世界を救うために戦っているなんていう妄想世界が、心の救い。現実世界では人とうまく付き合っていけない。いつもおどおどしている。
だから中学生は嫌なんだ、と改めて思う。めんどくさい。子どもなのにつまらないところが大人みたいで、ひとりでは何もできないから、いつ . . . 本文を読む
60年代のB級ホラーを思わせるような安っぽい映画。もちろんわざわざ(わざと)やっている。あり得ないドタバタを見せて笑わせてくれる。これを見てリアリティがないとか言っている人は勘違いです。作り手は思いっきりバカバカしい映画を作るために全力で頑張っている。
2016年の作品で日本では当然ビデオスルーのみだったらしいが、続編の劇場公開が決まったからその直前に急遽こちらも劇場公開が決まっ . . . 本文を読む
『君の名前で僕を呼んで』のルカ・グァダニーノ監督の新作。今年の2月にひっそりと日本でも劇場公開されていた。主人公の18歳の少女マレンを『WAVES ウェイブス』のテイラー・ラッセル、その恋人となる青年をティモシー・シャラメが演じたロードムービーなのだが、単純な青春恋愛映画ではない。お話の中心にあるのは彼らが人肉を食うということ。だからこれは一応ホラー映画に分類されている。残酷なシーンも多々ある。R . . . 本文を読む
大好きだったあのバリー・レヴィンソン監督作品の久々の新作だ。懐かしい。80年代初め2本の映画がほぼ同時に日本で公開された。初期の傑作『ダイナー』『ナチュラル』である。彼のデビュー作と第2作であり最高傑作だ。あの2本があまりに素晴らし過ぎてその後は何を撮ってもイマイチ。一応代表作と言われる『レインマン』(88)『わが心のボルチモア』(90)以降は泣かず飛ばすでもう30年が経った。その間たくさんつまら . . . 本文を読む
いろんな意味で謎が多い宣伝体制の映画シリーズ第2弾(もちろん第1弾は『君たちはどう生きるか』だろう)という感じだが、こちらは行定勲監督がメガホンをとった初のアクション映画大作。事前の情報がほとんどなかった謎の映画。(このパターンがこれからは流行っていくのか?)
映画はなかなかの緊張感でグイグイと前半を引っ張る。何が起こっているのか、わからないまま話が進むのだが、綾瀬はるかの演じる謎の女を見守って . . . 本文を読む
久しぶりの森絵都の新作か、と思ったが、調べたら僕が気づいていないだけで結構コンスタントに新刊が出ていた。まぁそれはともかくこの短編集だ。7つの短編が収まっている。最初の『雨の中で踊る』と真ん中の『獣の夜』、そして最後の『あした天気に』が少し長めになっている。その間のふたつずつはショートショートと普通の短編という構成になっている。かなり意図的な並べ方かもしれない。綺麗に左右対称。しかも表題作がセンタ . . . 本文を読む
グランドホテル形式の小説だ。先日見たバカリズム(敢えて彼の、と書く)の傑作『ウエディング・ハイ』同様に。だけど、微妙な点であれは傑作、これは駄作になっている。ほんとなら読んだことを忘れて、無視してもいいところだが、やはり少し気になってしまい、書き始める。この作品の失敗はあまりにGにこだわり過ぎたことにあるのではないか。アイデアはいいけど、それに足を掬われた。
有名ホテルにGが出る . . . 本文を読む
絶好調のバカリズムの脚本作品だから期待できる。監督は大九明子というのもいい。彼女が絶妙なドライブを見せてくれる。さらには篠原涼子以下オールスターキャストがみんな適材適所でいい仕事をしてくれる。なんと篠原は主演のはずなのに、あまり出番はない。確かに終盤には活躍するが、20名以上のメインキャストがそれぞれ自分の見せ場をしっかり担う映画。だからこれはその全員が主人公だといってもいい。これだけのキャストを . . . 本文を読む
最初は「なんだこれ、」って感じ。もちろんつまらないのではない。楽しい。何が始まるのかわからないから、ワクワクするのだ。主人公は書道家とホテルマン。まるで接点がなかったまさかのふたり。これは老舗ホテルの従業員である続力と、書道教室を営む書家の遠田薫の友情物語。
遠田は初対面なのになんだか馴れ馴れしくて、あまり好きにはなれないけど、悪いやつではないみたいだ、と力は思う。最初は彼から呼び出 . . . 本文を読む
大島渚の1970年作品。今まであまり上映されずにいた作品だが、なんとAmazonプライム・ビデオに入っていて驚く。早速見ることに。僕は10代の頃、大島渚に嵌って、自主上映を探していろいろところに見に行った。でも、残念だが大阪ではこの映画を見ることはできなかった。
今更だが、ずっと見たかった映画だから嬉しい。(40年前ならもっと嬉しかっただろうが・・・)50年以上前の映画。当時タイトル . . . 本文を読む