品川ヒロシ監督の新作。昨年の11月に公開されたが全くヒットしなかったから早々にスクリーンから姿を消した映画だ。どうしようかと躊躇しているうちに劇場公開が終わっていて見逃したのだが、早くも配信スタートである。うれしいような、でもなんだかなぁという気もする。Netflixのヒットランキングには入っているけど、劇場では惨敗ってなんだか微妙。映画の出来はいいから余計に残念だ。もちろん自分も映画館では見てい . . . 本文を読む
日常の隙間にひそむ孤独を描く10の短編集ということらしい。帯に書いてあった。ここに描かれるものを孤独という都合のいいことばで一括りにするのは無謀だ。もっと違う何かがきっとあるはず。だけど上手く言えない。たぶんそんなもどかしさこそがテーマなのだろう。
だからいづれの話もそこにはわかりやすい答えはない。想いは宙吊りにされたままで終わる。だから短編らしいキレのいいオチは用意されない。寂しいとか腹立たし . . . 本文を読む
ゆっくり時間をかけて最後まで読んだ。ひとつひとつのエピソードが心に沁みる5話からなる短篇連作。もったいないから一気には読まなかった。チビチビ読んだ。
結局最初のシングルマザーの話が1番よかった。入院した息子の付き添いで泊まり込み、子どもが寝ついた後、深夜にようやく晩御飯を食べる。偶然見つけたカフェ・ポラリスにやって来た。小さな店には朱里さんがいる。優しく迎えてくれる。
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この時期に忠臣蔵って、なんで? って感じだ。だいたい今の時代に忠臣蔵、というだけで不思議。そもそも時代劇っていうのも意外だし、コメディっていうのもなんだかなぁである。こんな絶対ヒットしないような企画をしかも正統派時代劇を作ってきた東映が立ち上げたのは謎。これは今までなら松竹のおはこだ。さらにはムロツヨシ。彼が主演するからコメディになる。観客も笑える映画を期待する、という図式が見え見え。まるで期待で . . . 本文を読む
『居酒屋ぼったくり』っていう作品を書いた著書の新刊らしい。知らなかった。そんな小説があることを。しかももう11巻にもなるロングセラーらしい。(おかわりでさらに3冊ある!)当然この作家さんも知らない人だった。今回この本を手に取って知った。もちろん『居酒屋ぼったくり』は読んでない。(帯に書いてあったのを見ただけ)なんだか凄いタイトルだなぁと感心する。まず手にしたこれから読む。こちらはおとなしいし、なん . . . 本文を読む
代表作『幼な子われらに生まれ』を始め数々の商業映画の秀作を手掛ける三島有紀子監督渾身の力作。初めて自主製作した作品。自らのトラウマに切り込み、東京テアトル配給で商業映画として劇場公開した。キャストも主演のカルーセル麻紀、哀川翔、前田敦子以下多彩な役者陣が揃う。妥協は一切なし。やりたいことをやりたい通りに提示する。だけど独りよがりのわがままな映画にはならない。シンプルで哀しい。ストレートすぎて見てい . . . 本文を読む
ウイングカップの6作目。登場人物はたった3人だけ。先輩の部屋に集まるふたり。漫才師を目指すふたりと彼らのマネージャーを自負する女の子。先輩と幼なじみのふたりの関係性。恋愛感情、夢に向かってする努力、挫折感。ありきたりの話で仕掛けはないけど、こんな夢を見て頑張っている人たちはたくさんいるのだろう。芸人になる。有名になる。だけどそんな夢を実現できる人はひと握り。3人は大阪のアパートの一室で夢見る。彼ら . . . 本文を読む
サム・ライミが製作した2022年作のホラー映画。こんなタイトルだけど韓国映画ではない。スプラッターでもない。先日サムの製作した『死霊のはらわた ライジング』を見たから同時期に作ったもう1本のホラーであるこちらもなんだか気になって見ることにした。彼が今何を求めているのか。キング・オブ・ホラーだったはずの彼だが最近自分ではまるでホラーを作ってない。これはホラー映画のはず、だったのにホラーにはなっていな . . . 本文を読む
三宅唱監督の新作。こんなにも何も起きない映画ってありなのか、と思う。淡々と日常が描かれる。しかもプライベートではなく仕事場の描写が延々と描かれる。舞台となるここは子ども向けの科学教材を扱う小さな会社。社員は7人。社長は光石研。社員に久保田磨希さんがいる。彼女はかつて劇団遊気舎に所属していたから昔からよく知っている。懐かしい。映画は朝ドラの『カムカム』で夫婦を演じた松村北斗と上白石萌音が主演する。だ . . . 本文を読む
芥川龍之介賞にノミネートされたタイトル作の中編に短編を併せて(『アキちゃん』)の2編からなる1冊。先日読んだばかりの東山彰良の『わたしはわたしで』に通じるものがある。今コロナ禍を背景にした小説には枚挙にいとまがないけど、これもたぶんそんな一冊。スカスカの紙面に驚く。会話が多いから改行する。下が空く。ページの三分の一くらいが白いまま、という感じ。(少し盛ってます)だからサクサク読める。なんか詐欺っぽ . . . 本文を読む
まさかここまで無茶苦茶をするとは、思いもしなかった。これを実現させたK24も凄い。こんなにも荒唐無稽に膨大なお金を使う。製作費は50億以上とか。上映時間も3時間。たっぷりと見せる。興業なんか気にしない。観客のトイレも気にしない。行きたかったら勝手に行けば、って感じ。2、3分見なくても支障はない。アリ・アスターは果てしなく過激だ。4章仕立てでやりたい放題。何が何だかわけがわからない世界を作り上げた。 . . . 本文を読む
小学6年生の男の子が駅でピアノ🎹に出会う。駅内ピアノを弾く老人の奏でる音色に心惹かれた。そして彼はピアノを弾くようになる。有本綾さんの物語と今日マチ子さんの絵が共有する世界を堪能する。素晴らしいコラボは主人公の海斗と花音のコンサートと同じ。
ゲームに夢中で毎日塾や習い事に忙しくしていた彼は初めてのピアノに心ときめく。新しい自分がそこにはいる。海と山の町で暮らし、中学受験が当たり前だと思っていた1 . . . 本文を読む
6篇からなる短編集。前半は台湾、メキシコ、そして後半は日本とさまざまな場所を舞台にする。冒頭の『I love you Debby』は『流』の続編になる。ほんのちょっとしたことから取り返しのつかないことにつながる。人生を左右したり、生死すら左右することにもなる。移民、帰郷。ギャンブル、ドラッグ、SNS。3話ともそんなさまざまな要素が散りばめられている。前半では『モップと洗剤』が一番面白い。まさかの展 . . . 本文を読む
チャ・テヒョン主演の韓国映画(2010年)をリメイクした台湾映画。昨年公開の最新作。軽いコメディだが、気持ちよく見ることができる。ひとりぼっちで孤独な青年が自殺しようとするが、上手くいかない。なんとか無事に(?)一度は死ぬけど蘇生させられる。だけどそのときから何故か4人の幽霊が見えるようになる。それからはこの4人のバラバラな男女(オヤジ、バァさん、ガキ、おばさん)と過ごすことになる。彼らの願いを叶 . . . 本文を読む
吉野万理子の新刊が児童書が2冊出ていたから借りてきた。1冊目は『ネコはとってもいそがしい』(森田るり・絵)。猫のチャオと一年生のターくんのお話。前半部分はみんなが寝た後の夜。冷蔵庫や掃除機たちが起きてきて大合唱が始まる。猫ビームの話とか、楽しい。後半はターくんの夢の中に入ってリュウと天空に行く。たわいない話だけど、楽しい。
2冊目は『100年見つめてきました』(川上一生・絵)。遊園地 . . . 本文を読む