○アブラヴァネル指揮ユタ交響楽団(vanguard)CD
ユタ馬鹿にしないでよ、といにしえの人は言ったものだ。このコンビはのるかそるかで、そってしまうと盤を割ってしまいたくなるのだが、これは当たり。ユタ馬鹿にできない正攻法で練り上げた演奏ぶりは雑味がなく、技術を裏付けとする透明感と解釈を裏付けとする感傷性の塩梅が難しい同曲にあって、バランスがとれどちらにも偏りすぎない聴き易さを持っている。カルテットと弦楽オケ、という二重構造が乖離することもなくむしろ「そうなの?」と思わせるような自然な融合ぶりにぐっとくる。だが、音の魅力はもう、しょうがない。音がニュートラルすぎて、常にアタマをよぎるバルビの鮮烈な音にくらべ劣って聴こえてしょうがないのだ。あの数少なく細い音のしかししっかりした束、揃わないヴィブラートの絡み合い強烈な感傷性を放ちながら高みに昇っていく感覚をおぼえてしまうと、物足りないのだ。あれも演奏的には「雑味」のうちなので評価は分かれるだろうが、そこはしょうがない。○。web配信販売されているが中古二束三文。
ユタ馬鹿にしないでよ、といにしえの人は言ったものだ。このコンビはのるかそるかで、そってしまうと盤を割ってしまいたくなるのだが、これは当たり。ユタ馬鹿にできない正攻法で練り上げた演奏ぶりは雑味がなく、技術を裏付けとする透明感と解釈を裏付けとする感傷性の塩梅が難しい同曲にあって、バランスがとれどちらにも偏りすぎない聴き易さを持っている。カルテットと弦楽オケ、という二重構造が乖離することもなくむしろ「そうなの?」と思わせるような自然な融合ぶりにぐっとくる。だが、音の魅力はもう、しょうがない。音がニュートラルすぎて、常にアタマをよぎるバルビの鮮烈な音にくらべ劣って聴こえてしょうがないのだ。あの数少なく細い音のしかししっかりした束、揃わないヴィブラートの絡み合い強烈な感傷性を放ちながら高みに昇っていく感覚をおぼえてしまうと、物足りないのだ。あれも演奏的には「雑味」のうちなので評価は分かれるだろうが、そこはしょうがない。○。web配信販売されているが中古二束三文。