ミュンシュ指揮ORTF(SLS)1964/6/4live
ノルウェーの新しい作曲家だが曲は古くさい。「パン」と聞いて期待するといきなりのシベリウスぶりにのけぞる。中欧的な重心が低い音楽はやはりグリーグに近いのかもしれない。その中にも軽やかなフレーズが舞い込むさまはストラヴィンスキー「火の鳥」だろうが、それほど強い影響は感じられず、通り越してリムスキーと言ってもいいような色彩だ。シェーンベルクを思わせる脳っぽい硬質の音も入るが一部だけで、この交響詩を形作る描写的要素がどのようなテキストに即して作られたかわからないので、そこでなぜその音があるのかわからない。ミュンシュだから聴けてしまうが、次のルーセル「バッカスとアリアーヌ」にちょっと似た折衷的なロマン主義の気もあり、そのような音楽だと割り切れば楽しめよう。「牧神」という題名でホルン斉唱が入ったところで「即物的すぎる…」と唸ってしまった。
ノルウェーの新しい作曲家だが曲は古くさい。「パン」と聞いて期待するといきなりのシベリウスぶりにのけぞる。中欧的な重心が低い音楽はやはりグリーグに近いのかもしれない。その中にも軽やかなフレーズが舞い込むさまはストラヴィンスキー「火の鳥」だろうが、それほど強い影響は感じられず、通り越してリムスキーと言ってもいいような色彩だ。シェーンベルクを思わせる脳っぽい硬質の音も入るが一部だけで、この交響詩を形作る描写的要素がどのようなテキストに即して作られたかわからないので、そこでなぜその音があるのかわからない。ミュンシュだから聴けてしまうが、次のルーセル「バッカスとアリアーヌ」にちょっと似た折衷的なロマン主義の気もあり、そのような音楽だと割り切れば楽しめよう。「牧神」という題名でホルン斉唱が入ったところで「即物的すぎる…」と唸ってしまった。