○カーティス四重奏団(westminster)
この演奏の独創性は非常に大仰大胆な伸縮、アーティキュレーション付けとそれに反して分節をきっちり別けるように、音をいちいち切って思いなおすボウイングの細かく正確に計ったようなテンポ感、その両者の上に一種浅やかな音色が載っている点にある。前時代のロマンティックな演奏ではない、ロマン性を分析したうえでデフォルメし、あくまで譜面上に反映してから表現したような演奏ぶりはドビュッシーのこの曲に横溢する前時代的な音楽の激しさを、表層的な表現の過虐とは逆に落ち着いた客観的なものに引き戻すようなところがある。どちらかといえば硬質な音色についてはウェストミンスターの録音特有のものもあると思うが、楽器特有のものかもしれない。技術的には決して技巧派集団というわけではなく、技巧が表現しようとしているものについていかなかったりしているような場面も聞き取れる。面白い演奏で、ドイツ的アメリカふう解釈といったもので例えばロシア式とはまったく異なる感がある。○。
この演奏の独創性は非常に大仰大胆な伸縮、アーティキュレーション付けとそれに反して分節をきっちり別けるように、音をいちいち切って思いなおすボウイングの細かく正確に計ったようなテンポ感、その両者の上に一種浅やかな音色が載っている点にある。前時代のロマンティックな演奏ではない、ロマン性を分析したうえでデフォルメし、あくまで譜面上に反映してから表現したような演奏ぶりはドビュッシーのこの曲に横溢する前時代的な音楽の激しさを、表層的な表現の過虐とは逆に落ち着いた客観的なものに引き戻すようなところがある。どちらかといえば硬質な音色についてはウェストミンスターの録音特有のものもあると思うが、楽器特有のものかもしれない。技術的には決して技巧派集団というわけではなく、技巧が表現しようとしているものについていかなかったりしているような場面も聞き取れる。面白い演奏で、ドイツ的アメリカふう解釈といったもので例えばロシア式とはまったく異なる感がある。○。