大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

高校ライトノベル・アンドロイド アン・10『あわわわ(*#O#*)』

2018-08-19 12:36:10 | ノベル

アンドロイド アン・10
『あわわわ(*#O#*)』

 

 

 地震かと思った!

 

 遅刻仲間の赤沢が「ぜったいおもしれーって!」と押し付けてきたラノベを読んでいるうちに居ねむっちまって、突然グラグラガシャガシャの家鳴りがして飛び起きたのだ。

 このー! くそー!

 家鳴りにアンの罵声が混じっているのに気付いて音源の玄関にまろび出る。

「な、なにやってんだ、アン!?」

「なにって、ドア開けて買い物に行くとこなのよ! この~! この~!」

「や、やめろ! おまえの力だと家が壊れる!」

「だ、だって……!」

「落ち着け!、玄関のドアは外に向かって押すんだ! 押すんだよ!」

「え? え? え……ほんと、開いた! 新一、エラーい!」

「の、のわーーーー!」

 

 無事にドアが開いたのが嬉しくて抱き付いてくる。その勢いで玄関ホールに重なって倒れてしまい、昨日の感電事故に続いて、アンの柔らかさに包まれてしまう。

「じゃ、行ってくるねー!」

「あ、ああ、気いつけてな……あ、おれも一緒に行くわ」

 アンを一人にしてはいけない気がして、俺はご近所お出かけ用のサンダルをつっかける。

 施錠していると、またしてもアンのトチ狂った声!

 

 ワ、ワ、ワ、アワワワワ!

 

「どうした?」

 家の前に出ると、町田夫人が急ブレーキをかけた自転車の前輪に跨るようにして至近距離でお見合いしているアンだった。

「ご、ごめんなさい!」

「いえいえ、こちらこそ💦」

 どうやら、道路に出たところで、自転車の夫人と出くわし、双方、互いの進行方向に避けてしまってお見合いになってしまったようだ。

「す、すみません、アンのやつが」

「いえいえ、わたしもドジっちゃって」

「アン、いつまで跨ってるんだ」

「え、あ!」

 前輪に跨ったものでスカートがめくれ上がって縞パンが見えている。 「縞パン」の画像検索結果

「わ、あわわわ(*#O#*)」

「アンちゃんも意外にそそっかしいのね(⌒∇⌒)」

「いえ、あ、はい、粗忽ですみません」

「ううん、こういう女の子って好きよ。運動会の時のスーパーウーマンみたいなのもいいけど、ドジっ子も好きよ。じゃ~ね」

 

 にこやかにペダルを漕ぎ始める夫人に真っ赤な顔でペコペコ頭を下げるアン。

「新一も頭下げる!」

「俺もか?」

 夫人がもう一度振り返って手を上げてドンマイのサイン。

 揃ってため息ついてスーパーに向かった。

 スーパーでも、エスカレーターに乗り損ねてアタフタしたり、特売に目を奪われてワゴンをひっくり返したりした。

 スーパーにはご近所の人もチラホラ居て、明るい笑いを誘っていた。

 

 どうも、感電事故から、ちょっとおかしくなってきたアンだった。

 

 

 ☆主な登場人物

 

 新一    一人暮らしの高校二年生だったが、アンドロイドのアンがやってきてイレギュラーな生活が始まった

 アン    新一の祖父新之助のところからやってきたアンドロイド、二百年未来からやってきたらしいが詳細は不明

 町田夫人  町内の放送局と異名を持つおばさん

 町田老人  町会長 息子の嫁が町田夫人

 玲奈    アンと同じ三組の女生徒

 小金沢灯里 新一の憧れ女生徒

 赤沢    新一の遅刻仲間

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高校ライトノベル・メガ盛りマイマイ 07『舞のスマホとモデル修行』

2018-08-19 06:24:12 | 小説・2

 高校ライトノベル・メガ盛りマイマイ 
 07『舞のスマホとモデル修行』





 緊張感無さすぎーーー!

 リビングのドアを開けるなりの文句だ。


 モデルになると決まったところで、画面が真っ暗になった。
 いきなりのことだったので、あたふたしてスマホを操作して、舞自身が電源を落としたことが分かる。
 うまくいったんだろうとは思うんだけど、帰りのことがあるので、三十分ほど自販機の横で待ち続けた。
 
 しびれを切らしてメールを打つと――どこほっつき歩いてんのよ! とっくに家に帰ってる!――

 で、急いで自転車こいで、リビングに入ったとたんの罵倒だ。

「車で送ってもらうんだったら、メールの一本もよこせよ」
「ハー、なに言ってんの!?」
「炎天下、自販機の横で待ってるものの身にもなれよ」
「あんた、唯とか他のモデルさんばっか見てて、ろくに任務果たしてないじゃん」
「んなことねーよ、ちゃんと目を見張り耳をそばだてて警戒してたよ」
「あのね、あんたがあたしの視線とズレてるところを見てるとアラームが点滅するのよ。変に思われるっしょ」
「そりゃスマホの故障だ、なんたって、まだまだの試作品らしいからな」

 この蒸し暑さの中、隣町まで自転車を往復させられた上の罵詈雑言にムカついている。
 麦茶を飲もうと、舞をシカトして冷蔵庫へ。

 瞬間の殺気に横っ飛び!

 バチコーーーン!

 横っ飛びが間に合わず、舞のハイキックが炸裂する。

「なにしやがる!」
「これ見ろ!」
 舞がスマホにタッチすると、百インチ液晶テレビに関根さんの胸のドアップが映った。
「え、えーーー!?」
 俺はうろたえた。
 たしかに注目はしてたけど、こんなアップにしては見てねー!
 画面は早回しになって、関根さんや四人のモデルの子のアップばかりになった。
「こんなのばっか、事務所の中とかプロディユーサーさんとかは一瞬しか写ってないんだもんね!」
「こ、こんな寄って見てねーし!」
「写ってるってことはそーいうことでしょーが! 言い訳すんな!」
「ぜってーアップになんかしてねー!」
「あーー見苦しい! 今日はリビングでモデルの勉強すっから、入ってこないでよね」
「あーー、もう二度と面倒なんか見てやらないからな!」

 麦茶のペットボトルを掴むと、俺は自分の部屋に戻った。

 あーーエアコンの掃除まだだったあ。

 スイッチを入れると、めちゃくちゃ臭い冷気が吹き出してきた。
 家のエアコンは、みんな掃除したけど、自分の部屋だけが後回しになっていたんだ。
 リビングに戻るわけにもいかず、俺はエアコンの掃除をすることにした。

 掃除をしながらも、舞の態度がムカついて仕方がない。

 ぜったい、あの画像は手が加えられている。
 掃除を終えると、俺は実家に電話した。
「あ、恵美さん、舞のスマホのことなんだけど……」
 この家と家の中の機器はお手伝いの恵美さんが仕切っている。
――ああ、それでしたら……――
 恵美さんの説明ではこうだ。

 観察者の目の動きや瞳孔の広がりを、あのスマホは検知して画像を加工と言うか処理をするらしい。だから俺が関心を持ったものは、デジタル処理されて、ああいう風になるらしい。
――ダッシュボードを出して解除すれば、元々の画像になりますよ――
「あ、そうなんだ」
――でも、注目していたものは画面の中央にきてしまいますから、あんまし変わらないかなあ――
「不便なもんだなあ」
――坊ちゃんが言うと言い訳じみてしまいますから、私の方から、それとなくお嬢様に伝えておきます――
「ああ、よろしく頼むよ」

 数分後、リビングで舞が電話を受ける声がした。

 どうやら今度来るときに必要なものの確認にかこつけて話をしてくれているらしい。
 持つべきものは恵美さんだ。

 リフレッシュしたエアコンで涼んでからキッチンに下りてみた。

 キッチンとリビングは続いているんだけど、別々のドアがある。
 冷凍ピザを出して、カウンター越しに舞の姿。

 テレビに映るモデルさんの映像をトレースしながら、モデルさんの歩き方や身のこなし、表情の作り方のレッスンに余念がない。

 こういうのには疎い俺だが、舞のそれは、もう充分にモデルさんのそれだった。
 なにをやらしても呑み込みが早い。

 それに、物事を吸収しようとする舞の目は、ちょっと怖かったりする。
 

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