大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

高校ライトノベル・紙模型 戦艦扶桑製作記・1

2018-08-20 17:40:24 | イレギュラーマガジン

紙模型 戦艦扶桑製作記・1

 

 戦艦扶桑は、今から103年前の1915年11月8日に竣工した旧帝国海軍の超ド級戦艦です。

  「戦艦扶桑」の画像検索結果

 1944年10月25日にスリガオ沖海戦で沈没するまで29年間現役で活躍し、その現役歴の長さは大戦中の12隻の戦艦の中では金剛に並びます。現役期間が長かったので何度も改装され2本あった煙突は1本にまとめられ、艦橋は洋上の違法建築と言われるほどに高く聳えてしまいました。日本の戦艦は扶桑ほどではなくとも積み上げ式が多くアメリカからはパゴダ型と揶揄されましたが、その特異な艦橋のため、今は世界的にファンが多いようです。

  

 今回手掛け始めたのは、日本の艦艇研究では日本以上に進んでいると言われるポーランド製の紙模型です。

 

 1/200というビッグサイズで、完成すると全長1メートルを超えます。このサイズをプラモデルやソリッドモデルだとキットだけで3万円から10万円しますが、この紙模型は7000円ほどでしかありません。

 また、冊子の形になっているので、プラモデルの箱のように場所をとりません。この扶桑から買い始めて、空母大鵬・戦艦比叡・空母赤城・空母信濃を買ってしまいましたが、棚の上に並べても幅が6センチに満たず、狭い我が家にはありがたいです。

 

 この紙模型シリーズはレギュラーというか廉価版とハイグレードがありまして、金属の砲身やエッチングパーツやレーザーカットされた骨材が点いているものは数倍の値段がします。紙模型なので紙だけで作るのが本道! と言うよりは高くて手が出ないわたしには紙だけの廉価版がありがたいです。

 

☆ 問題はボール紙

 船体の骨格を作るには厚さ1ミリと2ミリのボール紙が必要と書かれていますが。2ミリはおろか1ミリのボール紙が手に入りません。昔は文具屋に行けば売っていたのですが、近頃はホームセンターに行ってもありません。

 夏休みの工作用などで売られているのは、せいぜい厚が0.5ミリしかありません。

 それにボール紙というのは水性ボンドを使うと伸びてしまうので、全長が1メートルにもなろうかという艦船モデルではひずみや、ゆがみ、たわみの原因になってしまいます。

 

☆ スチレンボード

 そこで目を付けたのがスチレンボードです。ホームセンターや画材屋さんで手ごろなA4サイズで売っています。

 書店のポップなどに使われている発泡スチロールの目の細かい板状のあれです。ボール紙に比べると割高なのですが、一隻分買っても2000円くらいですみます。

 水性ボンドで簡単に接着できますし切削加工が紙よりも容易で、カッターナイフやデザインナイフでスラスラと切れます。

 むろんボンドの水分を含んで伸びたりたわんだりすることもなく、仕上がりがきれいです。

 そいいえば建築模型などは、このスチレンボードが使われることが多いですね。

 ただ一点問題なのは、厚みが3ミリあるので、キットの組み合わせの切込みが2ミリと1ミリ厚いので加工が必要です。

 切込みを1ミリ大きくするだけなのですが、ピッタリ正確にやるのが難しく、それが歪みの原因になって来るので、ちょっと気を付けなければなりません。

 

 

 キットにはペラペラの紙に骨材が印刷されているだけです。それをスチレンボードに貼り付けるのですが、水性ボンドは使いません。前述しましたが水性ボンドは伸び縮みやたわみがでてしまうので、スチレンボードに貼り付けた時点で誤差が出てしまいます。特にキール材などの船の全長に関わるパーツでは伸び縮みが大きな問題になります。

 割高ですが、スプレー缶式のノリを買ってきて、サッと吹き付けて手早く貼り付けます。

 まあ、写真のようになんとか組み上がりました。

 

 つづく

   

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

高校ライトノベル・ライトノベルセレクト・『明日天気になーれ』

2018-08-20 06:41:01 | ライトノベルセレクト

ライトノベルセレクト
『明日天気になーれ』



 絶対に雨が降ると思っていた。

 だって台風が来るんだし、天気予報はテレビでもネットでも大荒れの傘印だった。
 それが、快晴になってしまった。

 あいつの力は本物かもしれないと思った。

 テレビでは可愛い天気予報士が、言い訳めいた解説をしている。
「台風は予想より東側のコースをとり、コースの東側はバケツをひっくり返したような大雨と暴風になりましたが、西側は風こそ吹いたものの、所によっては快晴と言っていい日和になりました。この現象は……」

 あの日から、271/364になった……。

「ごめん、あなたといっしょにやっていく自信なくなたの……」
 決別のつもりだった。
「……弱気になってるだけだよ」
 テレビで野球の感想を言うように、省吾は気楽に言った。
「でも、考えに考えた末なの。鹿児島に省吾が転勤して、続いていく自信ないの。東京にいる間だって、いま、こうしている間だって、省吾には、いいとこ見せなきゃって……もう、疲れちゃったの」
「そんなこと気にしてたのか」
「あたしって、家にいるときは、もっとだらしないし、昔のあたしは……」
「昔の美奈穂が、どんなだったか知らないけど、今は、ちゃんとした美奈穂じゃないか。そんな昔の自分に囚われてるなんてナンセンスだよ。それともオレへの気持ちが冷めてしまった……それなら、諦めるけど」
「そうじゃない。いや……そうかもしれない……もう、分かんない!」
 あたしはプラタナスの枯葉が積もった歩道にしゃがみこんでしまった。省吾も同じようにしゃがみこんでくれた。
「じゃ、こうしよう。鹿児島に居る間、ずっと東京の天気予報をするよ。とりあえず一年間。オレ……75%の確率で当てて見せるから。それ以上だったら、オレは会社辞めてでも東京に戻ってくる。そして美奈穂の気持ちが変わっていなかったら……結婚しよう」

「あたし……ネリカンにいたの」
 省吾の気持ちをクールダウン……いやフローズさせるために秘密を言った。

「ネリカン……ああ、練馬鑑別所か」
「保護観察ですんだけど、省吾が思っているような女じゃないのよ」
「言ったろ、今の美奈穂がいれば、それでいいって。少年院だって、二文字変えれば美容院だ、いいじゃんか。じゃ、飛行機の時間だから。いいな、絶対75%天気あてるからな!」

 そして、明日で一年。

 省吾はスマホで天気予報を送ってきた。その全部が「晴れ」だった。で、271/364。
 明日が当たれば完璧な75%になる。

 そして当たった。

「どうして、どうして当たったのよ!?」
 羽田のロビーで省吾に抱き付いて聞いた。
「外れて欲しかったか?」
「ううん、そんなことない。そんなことないよ!」

 省吾は、秘密を二つバラした。

 一つは、東京の晴れの確率は75%だということ。でも、これって平均だから、下回る可能性も半分有る。よほどのハッタリか、一か八かの賭けだった。
 もう一つは、会社の人事命令に逆らって東京に帰ってきたので、会社を辞めざるをえないこと。
 嬉しかったけど、身の縮む思いだった。

 省吾は、持っていた免許を生かして、都立高校の常勤講師になった。楽な学校じゃなさそうだったけど、楽しそうにやっている。演劇部なんてマイナーなクラブの顧問をやって、地区大会で優勝させてしまった。その地区は生徒が独自に審査して出す賞もありそれも金メダルだった。金地区賞とかいて、通称コンチクショウ!

 あたしたち、来春には結婚します。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

高校ライトノベル・メガ盛りマイマイ 08『血の繋がった下僕』

2018-08-20 06:21:34 | 小説・2

 高校ライトノベル・メガ盛りマイマイ 
 08『血の繋がった下僕』




 チ またか

 声には出さないが、表情で分かってしまう。舞は舌打ちした。
 三日ほど途切れていた手紙が下足ロッカーに入っていたのだ。

 下足室に入って来た女生徒たちが、眩しそうに舞をチラ見して、何事かささやきながら靴を履き替えて階段を上っていく。

 あの子たちは誤解している。
 美少女の誉れ高き一年A組の芽刈舞が、ラブレターをもらってドキドキしている麗しい姿なのだと。
 たしかに、この瞬間の舞は、梅雨晴れの花壇に楚々と咲き誇る花のように見える。

 だが本心は怒っている――てめー、いいかげんにしろ!――

 関わるの嫌だから、一つ向こうのロッカーの山を迂回して教室への階段を上がる。

「生徒会室に来て」

 俺にだけ聞こえる囁きを追い越しざまに残して、舞は階段を上がっていった。
「挨拶もしてもらえねえんだな」
 後ろから来た武藤が憐れむように言う。
「俺は正門のとこで、にこやかに『おはよう武藤君』だったぜ」
 知ってるよ、俺以外には愛想のいい美少女を演じてるんだもんな。
「ま、腐るな。柔道部に入れば、芽刈さんは無理だとしても、彼女の一人くらいはできること請け合いだからな」
 そう言うと、ポンと肩を叩いて先に上がっていきやがった。

 憐れんでいるんだろうが、ちがうぜ親友。
 俺は、挨拶されただけで一日ウキウキ過ごせるモブキャラなんかじゃねえ、血の繋がった下僕……じゃねえ、兄なんだからな。

 生徒会室に入ると、舞が会長用の肘掛椅子にふんぞり返っている。

「ものを頼むんだったら、もうちょっと謙虚にしてろよ。パンツ見えるぞ」
「ウットシイのよ!」

 忠告を無視して、テーブルの上に件のラブレターをバサリ。
 仕方がないので、舞の斜め横の椅子に座る。

「こないだシブリン(渋谷林太郎、隣の一年B組の担任)がホームルーム中に手紙持ってきたじゃん、あれで、あたし宛てのラブレターだってバレバレ!」
 あれはお前が悪い。関根さんがまとわりついてきたとはいえ、お前が落としたんだからな。
 それをグッと抑えて結論を言う。
「こればっかりは、お前がなんとかするしかないだろ」
「そこをなんとかするのが、あんたの役目でしょーが」
「んなことしたら、兄妹だってバレてしまうぞ」
「だから考えたのよ!」

 勢いよく肘掛椅子を旋回させ、覆いかぶさるように身を乗り出しやがった。
 猿山のボスみたくマウント姿勢で結論を押し付けようという腹だ。

「なんだよ」
「あんたが、あたしに想いを寄せてるってことにして、このラブレターの主と対決するのよ! なんだったら柔道部の武藤君でも連れてってさ、威嚇とかしとくのもいいんじゃない!?」
「なんだ、その乱暴さは」
「青春てのは乱暴なもんよ! とにかくなんとかして!」
「後先考えろよ、んなことしたら、上手くいっても、次は俺との噂になっちまうぞ」
「それは平気。あんたとあたしだったら絶対月とスッポンだもん、そんときはあっさりフッたげる、誰も不審に思わない」
「評判落ちるぞ」
「なんでよ?」
「おまえを想って男と対決した俺をアッサリ振ったら、情のない女って思われる」
 これは効く。舞はマイナスのイメージを持たれるのが、ひどく怖がる。
「じゃ、どーしろって言うのよ」
「自分でやれ」
「じ、自分で……」

 めずらしくオタつく舞ではあった。
 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする