大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

高校ライトノベル・メガ盛りマイマイ 06『俺たち兄妹の秘密・その二』

2018-08-18 06:31:22 | 小説・2

高校ライトノベル・メガ盛りマイマイ 
 06『俺たち兄妹の秘密・その二』





 ちゃんとしたお家に住めるわよ

 それが最後の言葉だった。

 いつもより軽い足取りで、アパートの階段を駆け下りて行ったお袋。
「勇者レイディーンを四週分くらい観たら帰って来るから」
 お気に入りのアニメをセットして「ちゃんとしたお家に住めるわよ」と続けたんだ。

 四週分観終って、玄関の呼び鈴を押したのは警察官だった。

 子ども心にも、お袋は殺されたと思った。
「あんたのお母さん、忘れたわけじゃないでしょ……」
 舞がガチガチのマジになって言ったのは、そういうことだ。

 俺は、自販機の陰でイヤホンを装着した。

 舞のスマホは親父の会社の試作高級機で、いろんな機能がついている。その一つがこれだ。
 舞がいる場所の映像が、俺のスマホに送られてくる。
 どんな仕掛かは分からないが、舞を中心の3D映像だ。

 舞の前にはヒッツメの女の人。

 化粧っ気はないけど美人だ。
 勘だけど、モデル上がりのプロディユーサーかなんかだと思う。
 以前、関根さんのブログを見ていて、そんなことを見たか読んだかした記憶がある。
 暇つぶしのネットサーフィンで得た情報なんで確実じゃないけどな。

 斜め前には関根さん。

 太めのボーダー柄のタンクトップにピンクのショートパンツ。膝の上に揃えた両手の指は淡い水色のマニュキア。
 ちょっと露出が多くてドキドキする。
 モデルをやっているとはいえ、冷房も効いてるんだろう、寒くないのかなー。
 と、思ったら、椅子の横にトートバッグを置いていて、中からサマージャケットみたいなのが覗いている。
 なるほど、怠りのない美人さんだ。
「ユイちゃん、あれを」
「あ、はい」
 ヒッツメさんに言われて、トートバッグを探る。
 当然前かがみになるので……胸の谷間が見えてしまう。

 !!

 関根さんて着やせするタイプなんだろうか……スゴイ。
 すかさずアップにしてみるが、ブツはすぐに見つかってヒッツメさんに渡される。
「こういう感じなの」
 ヒッツメさんが舞に手渡したんだろう、画面は手渡されたパンフだか雑誌だかの背表紙の陰になる。
「うわーー……」
 舞の感嘆の声、ブツが邪魔をして関根さんが見えなくなって、音もくぐもってきた。
 でも、さすがは親父の会社の試作品、カメラはブツから見えている関根さんの下半分にピントが合った。
 関根さん、教室では、よく足を組んでいる。
 モテカワイメージの関根さんなんだけど、そいう足を組んだ姿も、ちょっと大人びたイメージでイカシテいる。
 しかし、ここでは足を組まない関根さんだ。
 ここは、モデルとしては職場で、上役と思われるヒッツメさんがいるのでわきまえているんだろう。
 なかなか大したもんだと感じ入る。

 それにしてもきれいな脚だなあ……

 そうこうしているうちに視界を遮っていたブツがどけられ、一瞬トンネルから出てきた時みたいにホワイトアウト。
「「「「失礼します」」」」
「どうぞ、入って」
 女の子が四人入って来た。
 これは、関根さんのモデル仲間だ!

 俺は、一人一人に注目した。なんとも目の保養だ。
 ヒッツメさんの前だからではあるんだろうけど、派手なファッションのわりには、清楚って言っていいくらいキチンとしている。
 ちゃんとオヘソの前で手を組んで、脚もそろえて立っている。
 喋る時には、接頭語のように「ハイ」がつく。
 女の子がキチンとしているのは、清々しいだけじゃなくて、魅力を倍増させるよなあ。

 そうこうしているうちに、パチパチと拍手が起こった、

 ガサゴソとマイクが擦れるような音がしたのは、舞がお辞儀をしたせいだろう。
 
 どうやら、めでたく舞はモデルの仲間入りをするようだ。

 七つの部活に生徒会、加えてのモデル業の開始。

 妹ながらよくやるよなあ……。
 

コメント
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