大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

せやさかい・167『松任谷由実さん』

2020-09-04 14:53:36 | ノベル

・167

『松任谷由実さん』    

 

 

 松任谷由実さんが安倍さんの記者会見を見て切なさのあまり涙がこぼれたとNSSで書いていた。

 

 松任谷由実さんは安倍さんご夫婦とお知り合いで、つまりお友だちで、そのお友だちが体調悪化でやむなく総理大臣を辞めはる。

 それで、お友だちとしの付き合いの中で、安倍さんご夫婦のあれこれが思い出されて涙になった。

 えと、正直言うて松任谷由実さんのことは、よう知らんかったんです。

 でも、松任谷由実さんが切なくて、思わず涙したことに文句を言う人がネットニュースで目についたんです。

――安倍に泪するような荒井由実のまま夭折(ようせつ)すべきだった――

 そんな意味のことが書いてあった。

 大学の先生をしてるSさんという人。

 あんまりな言い方に背筋が寒くなって、そこから松任谷由実さんをググったわけ。

 松任谷由実さんは、六十を超えてはるみたいやけど、とてもそんな歳に見えへん!

 と思たら、松任谷由実二十五歳の写真(;^_^A

 その下に数年前の松任谷由実。

 やっぱり若い。

 うちの担任の月島先生と並んでもそん色がない。

 そんで、今度は動画をググる。

 

『やさしさに包まれたなら』

 

 え!?

 思わずクリックしたら、『小さいころは~神さまが居て~不思議に夢を~叶え~てくれた~(^^♪』

 これは、小さいころに観まくったジブリの名作『魔女の宅急便』のテーマソングやおまへんか!

 せや、お母さんが「やっぱり、ユーミンはええなあ(⋈◍>◡<◍)」と言うてた。わたしも好きで学校の帰りなんかに鼻歌で歌ってた。あのユーミンやった。

 Sさんは、とんでもないことを言うたと思うねんけど(じっさい、ネットでは叩かれまくりで、大学からも厳重注意をうけたみたい)ユーミンを思い出させてくれたことは嬉しい。

 それに夭折という言葉も覚えた。

 正直夭折は読めませんでした、コピーしてペーストして調べたた『ようせつ』と読む。

 なるほど、ひとつ賢なった!

 

 この感動を文芸部の部活で言うたら、留美ちゃんも夏目君も三日前から知ってた!

 SさんのSNSだけと違て、ユーミンも夭折も知ってた(;゚Д゚)。

 とんだ恥かきやってんけど。そう言えばジブリアニメはしばらく観てないなあという共通見解になって、次からはジブリアニメをいっしょに観ようということになった!

 

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ポナの季節・24『ミス世田谷女学院コンテスト③』

2020-09-04 06:25:13 | 小説6

・24
『ミス世田谷女学院コンテスト③』
         


 ポナ:みそっかすの英訳 (Person Of No Account )の頭文字をとった新子が自分で付けたあだ名


 ポチが死んで四日しかたたないが、初七日をやることになった。

 大ニイの船がドック入りして休みが大ネエの非番の日と重なって、みんなが集まれることが大きな理由の一つ。
 もう一つは、一番堪えているポナを間接的に慰めることであった。ポチが死んだ日こそ泣きくれていたが、その後はポナが健気に元気そうに取り繕っていることは肉親であるからこそ、よく分かっていた。いつものポナなら断るだろう『世田谷女学院ミスコン』にも喜んで参加したことでも察せられた。

 初七日といっても、別に坊主が来るわけではない。ピザの大きいのを三つばかりとって、パソコンに取り込んであるポチの写真や動画のあれこれを観て、家族みんなでポチを偲ぶのである。

 ポナがポチと同じくらいの大きさになったとき、ポチが正面からポナにじゃれついて、ポナが後ろにずっこけ、そのはずみで、ちょうど柔道の巴投げのようになり、背中から落ちたポチが「キャンキャン!」それ以来、同い年ではあるが、ポチはポナの格下と決定。そのシーンをエンドレスに編集されていたので、みんなで笑い転げていた。

 笑い死にそうになってきたところで、由紀から電話がかかってきた。

「なに、大事な話って?」

 由紀は、近所の公園まで来てくれていた。ポナは、まだ笑いの余韻の残った顔をしていた、由紀は、いつになく真剣だったが、たった今笑い転げてきたので、ポナは気づかなかった。

「ポナ、ミスコン出るのやめよう」

「え?」

「いや、だから……考えたんだけど、ポナにミスコンなんて似合わないよ」

「え、なにそれ?」

「ポナの魅力って、えと、その……ミテクレとかルックスじゃなくて、内から滲み出てくるようなものでさ。それって、とても自然な魅力で、ミスコンとか出たら意識的になって、なんというかわざとらしくなって、ポナの魅力を損ねると思うんだよね」

「なに……その取ってつけたような理由……」

「いや、その……ポナは大事な親友だから」

「ポナってお調子者だから、ミスコン用の表情とか振舞いとかやり出したら、えと、その、染みついちゃって取れなくなっちゃうてか、ポナの自然な魅力を損ないことになるんじゃないかって思うのよ。うん、ミスコンに出ろって、わたしの勇み足だった。ま、そういうことだから、ミスコンのエントリーは取り下げておくね。用事はそれだけ、それだけだから、じゃね!」

「待って」

「え?」

「嘘言わないでよ」

「嘘じゃないよ、友だちとして真剣に考えてさ、自分の思い付きだけでポナを振り回しちゃいけないって」

「嘘よ、だって、いつもと喋り方ぜんぜん違うもの。政治家の選挙演説みたいに張り付いたみたいな笑顔だし、目線逃げるし、嘘言ってますってサインでいっぱいだぞ」

「それは……う、う、う……」

「なんで泣くのよ?」

「泣いてなんかない……」

「ほんとのこと言って!」

「ポナ……」

「なに聞いても驚かないから。親友と思うなら、ハッキリ言って」

「ポナ……」

「うん」
「実は……………………」

「なに?」

「このポスター……」
「うわー、きれいに出来たじゃん!」
「うん、我ながら会心の作。お父さんも言ってた上出来だって……お父さん、人類学者で骨柄とか人相見るのは警察の鑑識以上」
「そのお父さんが誉めてくれたんだ。あたしも自信持っていいかなあ!」
「ここから大事な話し、しっかり聞いて?」
「うん、どこかのプロダクションがスカウトに来たとか!?」
「そんなんじゃない!」
「……だから、なによ?」

「ポナ、ポナと家族には血縁関係が無い。戸籍謄本には養女になってると思う」
「……なに……それ?」
「お姉さんやお母さんの写真と比べたら一発で分かるって、お父さんが……」
「お父さんが……」
「お父さん人類学者、それが一発で断言した……友だちなら、しっかり考えて対応してあげなさいって、だから、あたし……」

「………………!」

 ポナは無言のまま由紀の手を掴み、そのまま自分の家に連れて行った。

「この子親友の橋本由紀。大事な話だから、みんなにも聞いてもらいたい」
「…………」
 由紀は、ポナの家族全員を前にして、言葉が出てこなかった。
「これ、ミスコンのポスター。あたしの他にお母さんやお姉ちゃんの写真も載ってる。由紀のお父さんは人類学者。で、そのお父さんが断言した、あたしは家族の誰とも血縁関係が無いって……どういうことよ、これは!?」

 由紀が泣きだし、家族は硬い表情で無言になった。

「新子、あたしが話してあげる。着いてきな!」

 今度はチイネエに引っ張られてポナが公園に行くハメになった……。



父     寺沢達孝(59歳)   定年間近の高校教師
母     寺沢豊子(49歳)   父の元教え子。五人の子どもを、しっかり育てた、しっかり母さん
長男    寺沢達幸(30歳)   海上自衛隊 一等海尉
次男    寺沢孝史(28歳)   元警察官、今は胡散臭い商社員だったが、乃木坂の講師になる。
長女    寺沢優奈(26歳)   横浜中央署の女性警官
次女    寺沢優里(19歳)   城南大学社会学部二年生。身長・3サイズがポナといっしょ
三女    寺沢新子(15歳)   世田谷女学院一年生。一人歳の離れたミソッカス。自称ポナ(Person Of No Account )
ポチ    寺沢家の飼い犬、ポナと同い年。

高畑みなみ ポナの小学校からの親友(乃木坂学院高校)
支倉奈菜  ポナが世田谷女学院に入ってからの友だち。良くも悪くも一人っ子
橋本由紀  ポナのクラスメート、元気な生徒会副会長

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かの世界この世界:61『草上のバーベキュー』

2020-09-04 05:43:32 | 小説5

かの世界この世界:61     

『草上のバーベキュー』    

 

 

 教室ほどの広さに草が刈られている。

 

 特徴がある。

 ほとんど真円に刈られた草地は絨毯のようで、草の丈は二センチほどしかなくて、腕のいい庭師が精密に刈ったみたいなのだ。

「プレパラートの巣があったんだ」

 砲塔の上、双眼鏡で周囲を見渡しながらタングリスが言う。

「プレパラート?」

「クリーチャーさ。単体では一センチ四方ほどの薄いガラス片にしか見えないんだけど、生き物だ。川岸に巣を作って、蟻のように集団で生活している。多くなりすぎると巣を放棄して、新しい営巣地を求めて移動するんだ。全個体が集合するまで、巣の上を円を描いて飛びまわる。それで草が綺麗に刈り取られるんだ」

「相当鋭利に出来ているんだな……」

「ああ、大型のクリーチャーを集団で襲うことがある」

「そんな奴らの巣の上で休憩して大丈夫なの?」

 首だけハッチからのぞかせたロキが不安そうに言う。

「放棄した巣には戻ってこない」

「タングリス、どのくらい休むんだ?」

「二時間ほど。ここを出たら、一気にノルデン鉄橋を目指します」

「二時間あれば魚が釣れるな」

「釣りをなさるんですか?」

「流刑地じゃ自給自足だった。上手いものだぞ、闇の力で得物を引き寄せ、一気に仕留めるんだ。おまえたちも付いてこい」

「でも、釣り竿とかどうするの?」

 見ると、タングニョーストが四号のアンテナを外している。戦車の装備と言うのは無駄がないようだ。

「バーベキューにするから、用意をしておいてくれ」

「こんな草地で火を使うのか?」

「大丈夫だ、水を撒けば問題ない。念のために石ころで炉を作ってくれていると嬉しい」

「よし、わたしとケイトでやっておこう」

 あっという間に役割分担ができて、魚釣り組と設営組とに分かれた。

 

 ピピピピ ピピピピ

 

 ブリュンヒルデのCアラームが鳴りだして、緩みかけた空気が張り詰める。

「北西の方角……そんなに近くはないが」

 いったん降りた砲塔に駆けあがり、タングリスが双眼鏡を構える。

「プレパラートがメスシリンダーを襲っている」

「ほんとうか!?」

「メスシリンダー?」

 シリンダーの一種なのだろうが、初めて聞くクリーチャーだ。

「大型のシリンダーだ、プレパラートとは共存しているはずなんだが……どうやらクリーチャーの間でも異変があるような……」

 瞬間迷ったブリュンヒルデだったが、こちらにはやってこないと踏んで魚釣りに出かけた。

 やがて、目の下五十センチもある魚を二匹釣ってきて、バーベキューが始まった。

 魚の名前を教えてもらったが、みんなで食べているうちに忘れてしまう。

 楽しかったのだ。

 どうやら、六人はいいパーティーになりそうだ。

 

☆ ステータス

 HP:2000 MP:1000 属性:テル=剣士 ケイト=弓兵・ヒーラー

 持ち物:ポーション・25 マップ:3 金の針:5 所持金:8000ギル

 装備:剣士の装備レベル10(トールソード) 弓兵の装備レベル10(トールボウ)

 憶えたオーバードライブ:ブロンズヒール(ケイト) ブロンズスプラッシュ(テル)

 

☆ 主な登場人物

―― かの世界 ――

  テル(寺井光子)    二年生 今度の世界では小早川照姫

 ケイト(小山内健人)  今度の世界の小早川照姫の幼なじみ 異世界のペギーにケイトに変えられる

 ブリ(ブリュンヒルデ) 無辺街道でいっしょになった主神オーディンの娘

 グリ(タングリス)   トール元帥の副官 グニ(タングニョースト)と共にラーテの搭乗員 ブリの世話係

 グニ(タングニョースト)トール元帥の副官 グニ(タングニョースト)と共にラーテの搭乗員 グリの相棒 

 ロキ          ヴァイゼンハオスの孤児

―― この世界 ――

 二宮冴子  二年生   不幸な事故で光子に殺される 回避しようとすれば光子の命が無い

  中臣美空  三年生   セミロングで『かの世部』部長

  志村時美  三年生   ポニテの『かの世部』副部長 

 

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